第2話 うれしい知らせ
2週間後、聖香から嬉しいメールが来た。
『募集来たよー。男の3人組。ベースとギターとドラムだってー。ちょうど良いんじゃない。』
『年齢は?』
『全員22歳だって大学生2人と社会人1人。』
いい感じ。年齢的にも悪くない。今度こそ現実味をおびてきた。私がキーボードで聖香がボーカルでもう出来るじゃん。
『いいね!いいね!会ってみようよ。』
『そうだね。すぐ会おう。連絡してみる。』
聖香が連絡をしてくれ、今度の日曜日の10時に渋谷であうことになった。3人とも住まいは横浜という事だった。こっち埼玉だからちょっと遠いけど別に問題はない。
待ち合わせは渋谷のモヤイ像の前。私はこの日までモヤイ像を知らなかった。像の前に2人で立っていると、改札口の方から3人の男の人がこちらに向かって歩いて来る。見た目は普通であまりバンドやってるようにはみえなかった。
「こんにちは川田さんかな」と色白で目の大きいピンクのシャツを着た人が話しかけてきた。川田さんとは聖香の名字だ。
「そうです。こんにちは初めまして。」
「とりあえずどこかファミレスでも入ろう」と眼鏡をかけた真面目そうな人だ。
「そうですね。」
一番近くにあったファミレスに入った。
「まずは自己紹介から」さっきのピンクのシャツに人だ。色素の薄いハーフ的な感じの人だ。目が大きくて整った顔をしている。彼が中心人物らしい。
「俺は河村弘人、大学4年生、ギター担当、作詞、作曲もするよ。バンド歴は5年ぐらい、ちょうど女性ボーカルを探していた所に募集見たんだよね…ということでよろしく。あっ、俺たちみんな同い年だから」
つぎはメガネくん「児島康太です。弘人と同じ大学生です。担当はベース、バンド歴は全員同じに始めたからみんな5年だね。目立つベースがやりたい。よろしく。」
目立つベース…どういうこと?楽器なんてやらなそうな真面目くんタイプなのに演奏の時に変わるのかな。
「徳長雅也です。会社員です。ドラム担当です。よろしく」ニコッと笑う。愛想がいいさすが社会人。3人の自己紹介が終わったので聖香が喋りだした。
「川田聖香19歳大学生ボーカルです。バンドを組むのは初めてです。作詞作曲はやったことないけど作詞はがんばってやろうと思ってます。よろしくお願いします」聖香がニコッと笑った。
「相川 柚です。19歳専門学生、キーボード担当です。バンドは初心者です。キーボードはまだ自身はあまりありませんが、一生懸命練習します。よろしくお願いします。」
「じゃあとりあえず課題曲を2曲ぐらい決めて3週間後ぐらいにスタジオ入ってみようよ」と河村さん。
「そうだね。やってみないとわからないし」と児島さん。
おおスタジオ!本格的だ!私は期待でワクワクした。課題曲を決めてその日は解散した。次回も渋谷で会うことになった。よく使うスタジオがあるらしい。
早速、バンドスコアを買うことにした。課題曲は今、人気の女性バンド【クール・プリンセス】からの二曲【Love is…】と【本気になるまで】両方ともアップテンポだがそんなには難しい曲ではない。これなら3週間で弾けるようになるかも…バンドスコアを買ってダウンロードしてお互い急いで家に帰った。家に帰ると早速スコアをプリントアウトして弾いてみる。リズムと曲は頭に入っている…でもやっぱり実際引いてみるとこんな所に音符あったのか!ってなる
「やっぱり聞くだけとはちがうな。まあでも不自然なところは飛ばしてもいいかもね。」
学校の勉強は全然身が入らないのに好きな事はすんなりと体に入ってくる。どこにも行かずにただひたすら練習…おかげでスタジオに入る3日前には完璧になっていた「私もやればできるもんだ。」
スタジオは午前10時からの予約だったので聖香と待ち合わせをして渋谷へ向かった。6月だが今日は少し暑い、早く着いたのでスタジオ近くのファミレスに入った。
「3週間あっという間だったね。歌の練習あんまり出来なかったけど、まあ最初だか
ら大丈夫でしょ。」
聖香は忙しくなかなか練習の時間がとれなかったらしい。
「私は練習すごいしたよ。だって久しぶりだったからさ。」
「えーまじで。やばい私だけ下手くそかも。」
考えてみたら聖香の歌を聞いたことがなかった。まあボーカルやるって言ってるぐらいだから上手なんだろう。時間が来たのでスタジオへ向かった。
「おはようございます」3人とも先に来ていた。中に入るとスタンドマイク、アンプ、キーボード、ドラムセットが並んでいた。
「ギターとベース以外はレンタルしたから」河村さんが言った。凄い凄い!!なんか自分が本物のミュージシャンになった気分だ。でもまあコピーバンドだけど。それぞれ配置についてチューニングなどをしている。私も電源を入れ、曲にあった音を探した。さすがプロも使ってるキーボードだ…色々な音がでる。ただ使い方が難しい。曲に合わせて合間に音をチェンジできるかな…。ドラム、ベース、ギターでセッションが始まった。慣れてるんだなこの人たち。ベースはチョッパーなんかやってる。目立つベースとはこのことか…凄いな…適当に合わせられるんだ。レベルが違う…私たち大丈夫かな初心者なのに。なんとなく自然にフェードアウトし、演奏が止まった…さあいよいよだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます