第5話 遠い思い出(3)

 ダミアンは目覚めた。ダミアンは死んでいなかった。ダミアンは辺りを見渡した。だが、そこにはベリーもドラゴンもいない。あるのはまばゆい光だけだ。一体どこだろう。ダミアンは首をかしげた。


「こ・・・、ここはどこだ?」

「目覚めなさい! 解き放ちなさい! あなたは聖ダミアノス郷」


 突然、誰かの声がした。まるで放火殺人に会った時に助けた誰かに似た声だ。一体あの声は誰の声だろう。


「どうしてそれを知ってる」


 ダミアンは真剣な表情だ。その声は誰なのか知りたい。


「私は神様です。あなたの事をよく見てました。あなたは世界を救う存在・・・」


 その声とともに、神様が目の前に現れた。その神様は赤いドラゴンで、天女のような羽衣を着ている。赤いドラゴンは優しそうな表情だ。そして、『赤竜伝説』で出てきた赤いドラゴン、サラのようだ。


「そ、そんな!」


 ダミアンは信じられなかった。自分は世界を救う存在だなんて。そんなばかな事あるはずがない!


「私はこの世界の未来が見える。再び王神龍が蘇る時、世界を救う5人の英雄が現れる。あなたはその1人、聖ダミアノス郷だ」


 神様は真剣な表情だ。まるで全てを知っているかのようだ。


「そんな・・・、俺はあの力を捨てたのに!」


 ダミアンは聖魔導になりたくなかった。命を狙われると思った。聖魔導だったため両親は殺された。このままでは両親のように殺されてしまう。自分は普通の男としていきたい。どうして再び聖魔導にならなければならないんだ。


「その力は世界を救うための力! 今こそその力を解き放つ時なのです!」


 神様は必死だ。この世界を滅ぼしてはならない。かけがえのない命を滅ぼしてはならない。


「でも、その力で俺は両親を失った! その力を狙われたんだ!」


 ダミアンは泣き出した。どうしてその力を再び使わなければならないんだろう。自分が命を狙われるかもしれないのに。


「世界を救う力だからこそ狙われたんだ! 今こそあいつに復讐する時。その力を解放し、世界のために戦うのです!」


 ダミアンは拳を握り締めた。あの時の無念が蘇った。あの時、両親を守れなかった。あの時あいつを倒していればよかった。でも、過ぎ去ったこと。どうしようもない。


「そんなこと・・・」


 ダミアンは弱気だ。世界を救うなんてだれかがしてくれるだろうと思っていた。


「あなたはベリーが殺されてもいいのですか?」


 神様は怒っているような表情だ。友達をほったらかしにするダミアンが許せないようだ。


「そんな・・・」


 ダミアンは戸惑った。このままにしていいんだろうか? このままでは友達を失ってしまう。ダミアンは悩み始めた。


「ならばあなたの人生はここで終わりですね!」


 神様は冷酷な表情だ。今までの優しい声が嘘のようだ。ダミアンは頭を抱えた。ここで人生を終わらせたくない。神様に再び生きるチャンスをもらおうとしている。このチャンスを逃してはならない。


「そんなのやだ! もっと生きたい! ならば俺、ベリーを救う」


 結局ダミアンはベリーを助けるためにその力を再び使う事にした。


「そこまで言うのなら、あなたにチャンスを与えましょう。この祠の奥から聖衣と聖帽を取ってきなさい!」

「わ・・・、わかりました!」


 結局、ダミアンは再び聖魔導になるために聖帽と聖衣を取ってくる事になった。


 光が消えると、そこには雪の降る光景が広がる。まるでサイカシティのようだ。ダミアンはサイカシティで過ごした日々を思い出した。とても幸せな日々で、聖魔導になれたのに、放火殺人で何もかも失い、聖魔導を捨ててしまった。僕はどうしてこんな事をしてしまったんだろう。


 歩き始めてすぐ、敵が襲い掛かってきた。黄色いドラゴンだ。


「食らえ!」


 ダミアンは炎を帯びた三叉槍で突いた。だが、黄色いドラゴンはびくともしない。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンはダミアンに噛みついた。だが、ダミアンはびくともしない。


「覚悟しろ!」


 ダミアンは持っている三叉槍で何度も突いた。黄色いドラゴンの体から血が出たが、黄色いドラゴンの表情は変わらない。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。それでもダミアンはびくともしない。


「えいっ!」


 ダミアンは氷を帯びた三叉槍で突いた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ギャオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。ダミアンは少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンはダミアンを引っかいた。だが、ダミアンはびくともしない。


「食らえ!」


 ダミアンは持っている三叉槍で何度も突いた。黄色いドラゴンは表情が苦しくなった。


「ギャオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。それでもダミアンはびくともしない。


「とどめだ!」


 ダミアンは炎を帯びた三叉槍で突いた。黄色いドラゴンは倒れた。


「何としても取らなければ」


 ダミアンは再び進み始めた。だが、またしても敵が襲い掛かってきた。2匹の赤いオオカミだ。


「天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。2匹の赤いオオカミは大きなダメージを受け、1匹は体がしびれた。


「ガオー!」


 赤いオオカミはダミアンに噛みついた。だが、ダミアンはびくともしない。


「炎の力を!」


 ダミアンは魔法で巨大な火柱を起こした。2匹の赤いオオカミは再び大きなダメージを受け、少し表情が苦しくなった。


「グルルル・・・」


 赤いオオカミはダミアンに噛みついた。ダミアンは少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「ガオー!」


 赤いオオカミは炎を吐いた。ダミアンはびくともしない。


「炎の力を!」


 ダミアンは魔法で巨大な火柱を起こした。2匹の赤いオオカミは大きなダメージを受け、しびれた赤いオオカミは倒れた。


「グルルル・・・」


 赤いオオカミはダミアンに噛みついた。ダミアンは表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「ガオー!」


 赤いオオカミはダミアンに噛みついた。だが、ダミアンはびくともしない。


「とどめだ! 天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。赤いオオカミは倒れた。


「教会だ!」


 目の前に教会が見えてきた。だが、あと少しの所で、敵が襲い掛かってきた。黄色いドラゴンと赤いオオカミだ。


「氷の力を!」


 ダミアンは魔法で2匹を氷漬けにした。2匹は大きなダメージを受け、赤いオオカミは氷漬けになった。


「ガオー!」


 黄色いドラゴンは炎を吐いた。だが、ダミアンはびくともしない。


「食らえ!」


 ダミアンは持っている三叉槍で何度も突いた。だが、黄色いドラゴンはびくともしない。


「グルルル・・・」


 黄色いドラゴンはダミアンに噛みついた。それでもダミアンはびくともしない。


「天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。2匹は大きなダメージを受け、赤いオオカミは倒れた。


「グルルル・・・」


 ドラゴンは雷を吐いた。だが、ダミアンの体はしびれない。


「次はお前だ!」


 ダミアンは炎を帯びた三叉槍で突いた。黄色いドラゴンは少し表情が苦しくなった。


「ガオー!」


 ドラゴンは炎を吐いた。ダミアンは少し表情が苦しくなった。


「癒しの力を!」


 ダミアンは魔法で自分を回復させた。


「グルルル・・・」


 ドラゴンは炎を吐いた。だがダミアンはびくともしない。


「とどめだ! 天の怒りを!」


 ダミアンは魔法で強烈な雷を落とした。黄色いドラゴンは倒れた。


 ダミアンは教会の前にやって来た。その教会は聖クライド記念講堂のようだ。入口にはバズ・ライ・クライドの銅像がある。


 ダミアンは教会に入った。だが、誰もいない。客席にも、ステージにも。今日は休みだろうか?

 ダミアンはステージに向かった。中央の教壇の上には、聖衣と聖帽がある。それは、自分が聖魔導になった時に渡された聖衣と聖帽だ。


「これが、聖衣と聖帽」

「さぁ、早く取りなさい!」


 突然、神様の声がした。神様はどこかでダミアンを見ているようだ。ダミアンはじっとその様子を見た後、聖衣と聖帽を手に取り、身につけた。すると、ダミアンはまばゆい光を放ち、天から降り注ぐ光を浴びた。ダミアンは再び聖魔導となった。持っていた三叉槍はより大きく、神々しい見た目となった。


 ダミアンは驚いた。聖衣と聖帽にはこんな力が秘められているのか。自分がどうしてこんな力を捨てたんだろう。両親を殺されただけで、どうして逃げていたんだろう。その男を懲らしめればいいだけの事なのに。

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