第46話 マロンバロン商会
ラガドの街に着くまでの間、ミラーとワイバーンの竜騎兵隊での編隊飛行の計画について話す。
「編隊飛行をするとなるとかなり訓練が必要だぞ?」
「そうだよな、それに曲芸飛行なんてやろうものなら落とされないように何か道具がいるかな?」
「だったら、宝珠を俺たちワイバーンに装着すればいいな。」
「宝珠?」
「ああ、騎乗用魔物に装着してテイマーとの活動をしやすくするマジックアイテムだ。」
「馬に着ける鞍みたいなものか?」
「そうそう、それに魔石をはめ込んで能力アップや防御力アップの付与魔法を付けたマジックアイテムだ。」
「なるほど、それは便利そうだな。ラガドの街についたらヴァンダールヴルさんにでも頼んでみよう。」
ラガドの街についてからはミラーと別れた。
ミラーは城壁の外を飛び回ってくるらしい。
ウォーレン隊長とギルマスを訪ねて昏睡状態になっているワイバーン9体を見せる。
ディメンションホールを開いて見せたところ、驚いていたが依頼完了ということで報酬をもらった。
孤児院に顔を出したいところだが、その前にさっきの宝珠のことをヴァンダールヴルさんに相談しに行くことにした。
「すいませーん、ヴァンダールヴルさんはいらっしゃいますか?」
「おお、ユカワ殿じゃないか。今ちょうど商談が終わったところだ。」
「お久しぶりです、ヴァンダールヴルさん。」
「もしや、あなたが街で噂になっている冒険者のユカワですかにゃ?」
「バロン、初対面の人を呼び捨てしちゃダメだにゃ!」
「いえいえ、呼び捨てで構いませんよ。ところであなた方は?」
「今、商談をしていたマロンバロン商会のマロンさんとバロン君だよ。」
「初めましてにゃ、私がマロンですにゃ。」
「僕がバロンですにゃ。夫婦で商会を営んでいる猫人族にゃ。」
「初めまして、ユカワ・ヨウイチロウと申します。」
「お噂はいろいろと耳にしてますにゃ。なんでもギルマスとウォーレン隊長の推薦でいきなりAランクの冒険者登録をしたとか?」
「ええ、そうなんですよ。さっきもちょっとワイバーン討伐に行って帰ってきたところです。」
「「「ワイバーン!!!???」」」
俺が9体のワイバーンを討伐したことはまだ町のうわさにはなってないようだ。
だってさっきだもんね。
仕方ないよ。
「見たところお怪我はないようですが、本当に討伐してこられたのですかにゃ?」とバロン。
「ええ、そのワイバーンに宝珠をつけたいと思って、せっかくなのでヴァンダールヴルさんに相談しようと思ってうかがった次第です。」
「ちょ、ちょっと待つのにゃ。ワイバーンは討伐したんじゃなかったのかにゃ?なんで従魔用の宝珠の話になるのにゃ?」
「ユカワ殿、まさかと思うがワイバーンをテイムしたとかか?」
「ええ、テイムはまだですが、おおよそそのまさかです。討伐対象だった9体まとめて捕まえてきました。」
「「「ええええええーーーーー!」」」
息がよく合う3人である。
「ユカワ殿、そのワイバーンは今どこにいるのだ?もしよければ一目見てみたいのだが。」
「見ますか?いいですよ~。ディメンションホールオープン!」
工房の前の開けたスペースにディメンションホールを開くと中には9体のワイバーンが転がっている。
「「「ホントにワイバーンだぁあああ!!!」」」
「生きてるんですかにゃ?」とビビりながらバロン。
「生きてますよ。ただ眠ってます。」
「起きないんですかにゃ!?」とこちらもビビりながらマロン。
「大丈夫です。魔法で眠っていますから、解除用の魔法を使わないと起きることはありません。」
マロン、バロン、ヴァンダールヴル、3人とも目を見張ってあんぐり口を開いたまましばらく呆然としてしまったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます