第45話 ワイバーン討伐

俺はさっきくぐったばかりの北門をくぐる。

門の外でカモフラージュの魔法をかけたミラーを呼ぶ。

「ミラー!ちょっと狩りに行くことになったぞ!来てくれー」

ゴォーと一陣の風が吹いたかと思うとミラーが上空から急降下して目の前に着陸した。

「なあ、ヨウイチロウ、呼び出すの早すぎないか?さっき別れたばっかりじゃないか。」

「いや、その通りなんだが、今から村の家畜を襲っている9体のワイバーンを討伐することになった。」

「ワイバーン討伐?俺もそれについていくのか?」

「ああ、よろしく頼むよ。ミラーほどのワイバーンだったらそこら辺のワイバーンくらい余裕だろ?」

「ふん、家畜を襲うような低級のワイバーンと一緒にするな。一ひねりにしてくれる。」

「よし、じゃ、行くぞ!」


俺を背に乗せてミラーは飛び立った。

ラガドの北東の村を目指す。


すぐにそれらしき村が見えてきた。

同時に、3体のワイバーンが家畜を襲っているのが見える。

警備隊やラガドの冒険者が攻撃を放っているがほとんど効果がないみたいだ。


ここは強烈な一撃を加えたほうがいいかな?

「ミラー、威圧の咆哮使えるか?」

「いいぞ、あいつらを脅かせばいいんだな。」

「ああ、俺も脅しのための魔法を打ち込むから。あの3体が巣に逃げ帰るように仕向けよう。」

「巣を作ってる小山で一網打尽にするつもりだな?」

「そうだ、じゃあ行くぞミラー!」


ミラーの威圧の咆哮が轟く。

それに気づいたワイバーンたちが慌てて家畜への襲撃をやめる。

そこに魔法陣を展開してサンダーボールを打ち込む。

サンダーボールは3体のワイバーンに接近したところで轟音とともに爆発。

すさまじい光と音を放つ。


ひるんだワイバーンたちはこちらの思惑通り巣の方へ逃げようとする。

それを俺たちは追跡した。


村から北の方にしばらく飛ぶと目的の山が見えてきた。

「ミラー、9頭ともいるか?」

「ああ、いるぞ。」

「よし、じゃあ、まずは奴らが逃げられないように包囲魔法陣を作る。山の周りを旋回してくれ。」

「わかった。」


ミラーの高速飛行能力のおかげであっという間にワイバーンたちを閉じ込める魔法陣は完成。

結界を展開して逃げ道を断つ。


次は、9頭を無傷で捕縛するべく闇魔法の魔法陣を複数同時展開する。

用いる魔法はダークウェーブ。

ワイバーンといえど、この闇の波動に触れれば意識を保つことは難しい。

瞬時に魔物の意識を奪う。


ダークウェーブを発動。

魔法陣から次々と漆黒の波がワイバーンの周辺に押し寄せる。

あちこちから帯状に広がりつつあるダークウェーブを避けようと必死に逃げ惑うワイバーンたちだが、次々と意識を失って墜落していく。


あくまで、無傷で捕まえるのが目的だから、昏睡状態に陥ったワイバーンをディメンションホールに回収していく。

落下地点に展開した転移魔法陣をディメンションホールに直結させる方法で、回収した。


最後まで逃げ回っていたワイバーンが堕ちた。


ワイバーン狩りはなかなか楽しかった。

こいつらで編隊飛行をやるためには、子供たちの従魔としてしっかり鍛え上げねばなるまい。


「なぁ、ミラー、お前、あいつら鍛えてくれないか?」

「ん?あの軟弱ワイバーンを鍛える?」

「多めにスクエアボアの丸焼き持ってくからさ?」

「それなら仕方ないなぁ~やってやらなくもないぞぉ。」


猪型魔物の丸焼きで釣れるワイバーンちょろい。


「今なんか失礼なこと考えなかったか?」

このワイバーンなかなか鋭い…


というわけで、俺はワイバーン9頭を難なく捕獲したのだった。

まだテイムしていないが、それはまた今度。

魔の森に帰ってからだ。


とりあえず今はラガドの街に戻って依頼達成の報告をしないとな。


ミラーと俺はラガドの街に帰還すべく飛ぶのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る