第43話 モフモフタイム
「かっわいい―!」とサリー。
「リコの実だよー!」とユイはモコモコウサギの中に突進。
「モフモフが、ああ、モフモフ早くしたい!」とシシリー。
「かわいいのぉ、私もリコの実あげるよぉ」とルカ。
「あっちにも、こっちにも、ここはモフモフ天国よ!」とリリアン。
女性陣は総じてハイテンションである。
一方、クレト、パル、ガフ、俺たちも、彼女たちほどではないにしてもテンション高めである。
「リコの実でおびき寄せるんだよな。ホントに来てくれるかな?」と少し不安そうなクレト。
「早く抱っこしてみたいな。」とガフ。
「うん、悪くない。抱き枕とかにしたい感じだな。」とパル。
それぞれ思い思いのモコモコウサギに向かってリコの実で気を引こうとしている。
モコモコウサギの反応はというと、突然現れた俺たちに驚いて一時は逃げようとしたものの、今はもう、リコの実に引き付けられている。
キュキュッ!キュキュキュキュッ!
といった感じの鳴き声があちらこちらから聞こえてくる。
よく観察するとモコモコウサギにも3種類いるようだった。
鑑定をしてみると、最も多いのが鮮やかなピンク色のロッズモコモコウサギ、雪のように白いスノーモコモコウサギ、ピンクとホワイトが混ざっているミックスモコモコウサギがいる。
そんな風にしばらく観察をしていたら、どうやらユイがテイムに成功したみたいだった。
「やったー!テイムできたよ!しかも3匹!」
それもかなり順調らしい。早速ピンクの毛玉に埋もれている。
リコの実を求めてまだまだモコモコウサギがユイに集まっていく。
ほかの子供たちもうまくいっているようだった。
みんなモコモコウサギに集まられているが、困っているようではなく、むしろ楽しそうな様子なので放置する。
初めてのテイムということもあるが、まあ、この愛くるしい見た目だから、たっぷり癒されてほしい。
その後、小一時間ほどで、魔法障壁の内側に集まったモコモコウサギはすべてテイム完了した。
モコモコウサギは全部で32羽だった。
あとは連れ帰るだけなのだが・・・
「ねえ、ヨウイチロウ、もうちょっと、この草地でのんびりしていたいわ~。」とリリアン。
「モフモフ最高なのぉ」とルカ。
「駄目だわ、これ、ほんともう、離れられない!」とシシリー。
みんなのろけているのでもうしばらくここで戯れることにした。
皆が初テイムと愛くるしいモコモコウサギになれたところで魔法障壁を解除し、転移魔法陣を展開。
俺たちは屋敷に戻った。
屋敷では第10階層にモコモコウサギもろとも転移。
牧場はこの地下第10階層に作ることにした。
この階層には水辺や草原、ちょっとした丘なんかもあってとても穏やかな時間が流れている。
広々とした空間でのびのびと魔物たちが暮らすことができるはずだ。
さっそくテイムしてきたモコモコウサギたちを放してみるがみんな新しい環境にきょろきょろしている。
だが、草地にリコの木が何本か生えているのを見つけて嬉しそうに近づいていく。
木の下には熟れたリコの実が落ちており、モコモコウサギたちはおいしそうに食べ始めた。
どうやら大丈夫そうだ。
「ユイ、ガフ、この階層を魔物牧場とする。」
「「了解しました!」」
「彼らの世話をよろしく頼むね?」
「「お任せください!」」
それからしばらくの間は第10階層を見て回ったりした。
あとから来る魔物たちの暮らす場所を相談したりもした。
魔物牧場の第一歩はこうして踏み出されたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます