第42話 モコモコウサギ

魔物図鑑で牧場で飼いたい魔物を選んだ翌日。

早速モコモコウサギをテイムしに行くことにした。


魔物図鑑によると、モコモコウサギはリコの実が大好きらしい。

だから、リコの実を餌にしておびき寄せる作戦で行こうと思う。


リコの実とはサクランボくらいの大きさの赤く甘酸っぱい木の実である。

農園で育てられている果物の一つなので、子供たち7人にはその収穫を頼む。


その間、俺がダイロンに乗って魔の森を探索する。


「ダイロン、今日は魔の森を上から探索したい。」

「ふむ、何を探すつもりなんじゃ?」

「今日は、モコモコウサギを探すつもりだ。」

「あぁ~、あの丸っこい奴らか。確か、森の開けた草地にいたような気がするが?」

「そうらしいね。だから、魔の森の中でそれらしい場所に連れて行ってくれるかな?」

「了解した。よし、行くぞ!」


ダイロンはそういうと俺を乗せて宙をかけていく。

しばらく行くとうっそうとした森の中にぽっかりと開けたところが見えてきた。

「ちょっと近づいてみてくれる?」

「うむ。」


ダイロンに頼んでその開けた草地に近づくと、運よく目的のピンクのモコモコを見つけることができた。

彼らに気づかれない距離まで近づいて、30羽ほどがいるのを確認した。

これだけいれば十分だろう。

ダイロンにもう少し近づいてもらって、森と草原の境界を丸く取り囲むように魔法障壁を展開していく。

これで、この魔法障壁内には危険な魔物が侵入することはできない。

そして、モコモコウサギが逃げ出すこともできない。

上空にも一応、気取られないように魔法障壁を展開して下準備は完了。


「よし、ダイロン、屋敷に戻ろう。」

「もういいのか?」

「うん、場所も覚えたし今日はあのモコモコウサギをテイムするつもりだからね。あんまりのんびりしてられないんだよ。」

「そうか、では屋敷に戻るとしよう。」


宙をかけるダイロンに乗って屋敷に戻った俺は、第2階層の農園に向かう。

そこにはリコの実を籠いっぱいに収穫し終えた7人が待っていた。

いや、一人増えている。

リリアン姫も加わったようだ。


「ヨウイチロウ、楽しそうなことしてるじゃないの?私も混ぜて頂戴!」

最近リリアン姫が俺に対してずいぶん砕けた感じになってきてる。

ようやくリラックスできるようになったようだ。

最初のころは堅かったからな。


「もちろんです、姫様。」

「リリアンと呼んでくれて構わないわ。もう姫ではありませんし。」

「そうか、リリアン。じゃあ、このあと一緒にモコモコウサギをテイムに行こう。」


というわけで、その場にいた俺を除いて8人で先ほどダイロンと下見に行った草地に行くことにする。

「よし、みんな、準備はいいかな?リコの実はちゃんと持ってるかい?」

「持ったよ!早くモコモコウサギに会いたい!」とユイ。

「わかったわかった。でも、向こうに行く前にテイムの方法を教えておこう。」

「そうだ、魔物のテイムってどうやるんだ?」とパル。

「君たちに渡してあるペンダントに片手を当てながら、もう一方の手を魔物にかざす。」

「テイム契約をしたいことを念じて相手の魔物が受け入れてくれたらテイム成功だ。」

「そんなに難しくなさそうね!」とリリアン。

「うん、ペンダントが補助にもなるはずだから、モコモコウサギくらいの魔物であれば問題ないはずだよ。」

「よし、じゃぁ早くモフモフしに行くわよ!」とシシリー。


俺はせかされるように転移魔法陣を展開。

先ほど魔法障壁で囲っておいた草地に転移したのだった。


ついた先にはスライムとそれほど変わらない大きさのモコモコした物体が温かい陽光のさす草地に点在していた。


さあ、モコモコウサギをテイム開始だ!

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