第39話 進化したスライムたち

第8階層に来た。

おかしい。

廃鉱の山が半分くらいになっている。

確か、相当な量があったと思うんだが。


ここに放したストーンスライムは全部で15匹。


目の前にはストーンスライム数匹と数種類の金属光沢を帯びたスライムがいる。

そして彼らは今も黙々と廃鉱を食べている。


これはしっかり調査する必要がありそうだ。

とりあえず鑑定!


ふむ、まず、最も多いのがストーンスライムで10匹。

次に、メタルスライムが8匹。

そして、アイロンスライムが6匹。

カッパースライム3匹。シルバースライム2匹。ゴールデンスライム1匹。

合計30匹!

その数は2倍に増えていた。


スライムたちが廃鉱の山を食べている様子をよく観察すると、どうやら順番があるらしい。

まずゴールデンスライムが対象の鉱石を飲み込みすぐに吐き出す。

金の含有量は少ないからだろうか。

次にシルバースライムが包み込んでこれまたすぐに吐きだす。

銀の含有量も少ないのだろう。

まぁ、廃鉱だから仕方ないだろう。


その後はカッパー、アイロン、メタル、ストーンスライムの順に廃鉱をむしゃむしゃとやっている。

廃鉱はストーンスライムにまで行きついた時点でかなりくすんだ色になっており、それはストーンスライムに吸収されてしまうようだった。

ストーンスライムが廃鉱を吐き出すことはなかった。


つまり、この一群のスライムたちは、廃鉱から自分の好みの好物を抽出吸収しているということだろう。

では、このスライムたちは吸収した物質をどうしているのか?


試しに一番重そうなゴールデンスライムを持ち上げてみる。


身体の大きさは20センチほどで、元のストーンスライムよりも縮んでいる。

重さは、おそらく同じサイズの金塊よりは軽い。

だが、それでもかなり重たい。


マジックスライムは、大量の魔石を吸収した後、魔晶石の結晶を吐き出した。

この金属スライムたちにも同じことができるのだろうか。

試しに命じてみよう。


「君たち、金属の塊を今吐き出せるなら吐き出してみてほしい。やってみてくれ。」

スライムたちがもぞもぞし始める。中にはぴょんぴょん跳ねてるものやグルングルン回転し始めたものもいるが、しばらくすると・・・


「ポン!ヒュポ、ボト。」

という音ともに、床に金塊や銀塊、銅や鉄の塊が飛び出した。


「すごいなぁ。」

ただ、ストーンスライムやメタルスライムたちはもぞもぞしているが何も吐き出していない。

これはどういうことなのだろうか。


ストーンスライムはとりあえずおいておいて、先にメタルスライムの方に対処しよう。

「メタルスライム、合金で構わないから出せるかな?」

といってみた。

すると通じたようで、メタルスライムたちがここバラバラに様々な合金の塊をヒュポヒュポ吐き出した。


なるほど。進化したスライムたちは高純度の金属を生成できるが、進化以前のメタルスライムは合金しか生成できないということだな。

でも、これはこれで使えそうじゃないか。


今日はスライムたちにお礼を言って、吐き出してくれた金属の塊を回収し、廃鉱の山に戻っていくのを見送る。


このスライムたちを魔物討伐後のモリアの再開発に投入することは可能だろうか。

鉱物の精錬が省エネでできるようになる気がする。

もう少し観察を続けることにしよう。

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