第38話 農園

さて、次は農園だ。

トマト好きのヴァンパイアであるルカに担当してもらう予定の区画である。

俺たちは第2階層に移動する。


「ここが農園だ!」

「「「「すごーい!!」」」」

ルカ、ユイ、ガフ、サリーがはもる。


第2階層の農園にはさまざまな作物が植え付けてある。

俺の好きな果物を列挙すると、マンゴー、ブドウ、リンゴ、モモ、などなど。

前世にあった果物のほとんどがあるようだ。


さらに、この世界に来て初めて目にする果物も豊富だ。

ラマンの実、リコの実など甘酸っぱい果実が豊富である。


もちろん、野菜類も充実している。カボチャ、ほうれん草、レタス、キャベツ、キュウリ、バジルなどのハーブなど、ニンジン、ジャガイモ・・・


そして、食用以外の植物も育てている。

代表的なものをあげると、ソプナの実といって石鹸の材料になる実があったり、ゴムの木なんかもある。


一体全体どうやってそんな多種多様なものを育てているのかって?


これまた先代の偉大な遺産なのだが、ガラスのドームがいくつも設けてあり、それぞれの中は魔法によってそこで育てている植物に最適化された環境となっている。

え?世話する必要ないじゃないかって?


いやいや、世話はやはり必要だ。

だが、俺やミユが直接作物の世話をする必要はない!というかこれまでなかった!そしてこれからもその必要はない!


なぜならば、この農園にはドリアードたちが住んでいるから!


「「「「ええええええええ!!!!」」」」

ルカ、ユイ、ガフ、サリーがはもる。


「ああっ、頭にお花をつけたちっちゃな女の子がお世話してる!」とユイ。

「あっ、こっちにも、あれ、あっちにもいるわ!」とサリー。

「僕たち、ここでやることホントにあるの?」と不安そうにガフ。

「私わぁ、早くぅ、トマトがぁ食べたいのぉ」とルカ。


木の精霊たるドリアードたち。

彼らは先代がどこからか連れてきたらしい。

もちろん拉致してきたとか奴隷商から買ったとかではなく、どこかの森が山火事に会ってなくなってしまったとき逃げ場を失った彼らを連れてきたとか。


「あ、もしかしてご主人様でしゅか?」

「お、こんにちは。ヨウイチロウという。いつもこの農園を管理してくれてありがとう!」

「いえいえ、お初にお目にかかります。この農園の管理を担当しているドリアードのミミといいましゅ。以後お見知りおきを!」


「自己紹介ありがとう。では、ルカ、ユイ、ガフ、サリー今後しばらく君たちにはこの階層を任せる。ドリアードたちと協力して頑張ってくれ!」

「「「「はーい!」」」」


「ユイとガフにはいずれ牧場を任せる予定だが、現時点ではその牧場で飼う魔物を確保できていない。そこで、その魔物を確保するまでの間、この農園の管理を頼む。」

「「了解です!」」


「次に、サリーだが、ユイとガフと同様、まだ養魚場で飼うための水生魔物が確保できていないので、そっちの用意ができるまでこの農場でサポートを頼む!」

「わかったよ!」


「というわけで、本日のところは解散とします!みんな自由にやりたいことをやってくれ。」


散会していく7人を見ながら、俺は次の計画を考える。

牧場を開くためには魔物を捕まえないといけない。

魔物を捕まえるためには彼らだけだと少し心もとない。

魔の森の中の移動手段が欲しい。

俺にはダイロンやミュラーがいるから問題ないが、彼らにもそうした従魔が必要だろう。

数日以内には従魔契約できるようにしよう。


でも、この後はスライムの様子を見に行こう。

しばらく放置していたストーンスライムの様子が気になる。

第8階層の廃鉱置き場に俺は向かうことにした。

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