第34話 引っ越し

孤児院に戻ってきてからは忙しかった。

子供たちが引っ越す準備をしなければならなかったからだ。

必要なものをそろえるのにかかりそうなお金をまとめて渡しておいた。

転移魔法が使えるので、忘れ物を取りに行ったり来たりすることになりそうだった。


翌日、ヴァンダールヴルさんのところから手紙が宿に届いたのでそれを回収してラガドの街を俺は出発することにした。


その後2,3日はこのラガドの街と魔の森の館を転移魔法で行ったり来たりした。

子供たちの引っ越しはなかなか大変だった。


ラガドの街の北門のウォーレンさんには俺が転移魔法を使えることを伝えて特別にノーチェックでも街に入ることを許可してもらった。


子供たちの事情はシスティーナさんたちがウォーレンさんに説明してうまく取り計らってくれたみたいだった。



魔の森の館では急に人数が増えて大変だったが、館には空いた部屋がまだまだあったのでそれらの部屋を子供たちに割り振った。

加えて、彼らにやってもらう仕事の都合上、地下の各階層に移動できないと困ったので転移陣を発動するマジックアイテムをプレゼントした。


「みんなにプレゼントがあるぞ!」

「「「なになにぃ?」」」とユイ、サリー、ルカがハーモニー。


「今度から転移陣を自由に使ってもらいたい。」

「え、転移陣って俺たち発動できなかったぞ?」とクレト。


「そう、まだ君たちの実力ではあの転移陣を発動することはできない。」

「ふん、いずれ使えるようになってみせるさ。」とパル。


「そこで、このペンダントをつけてくれ!」

「何!これ!すごい宝石が付いてるんだけど!」とシシリー。

「ん?俺のはシシリーと違う色だな」とガフ。

「あ、私のもガフと色が違うよ?」とユイ。


「そう、このペンダントにはそれぞれの魔力の波長に合った宝石をあしらっている。」

「それってどういうことだ?俺のは赤黒いんだが?」とパル。


「つまり、そのペンダントは君たちが魔法を使うとき補助具となるってことさ。」

「えぇ、それって、すっごいマジックアイテムなんじゃないのぉ?」とのんびり屋のルカ。

「私のは青いけど、これってただの宝石だったとしても凄い価値あるよね?ただの宝石じゃなくて魔力強化のアイテムだってことは、、、その値段となると、、、想像したくない!」とサリー。


「確かに、世間に出せば相当な値打ちものだ。だけど、この屋敷で俺のサポートをしてもらうためにはこれがないと今のところは困ってしまう。」

「確かにそうね。ありがたくもらっておくわ。」と冷静さを取り戻したシシリー。


「そのペンダントには転移陣の発動や普通の魔法強化以外にも君たちの身に万が一危険が迫ったときに防御魔法を自動で発動するといった保護機能も付与してある。肌身離さずに持っておいてほしい。」

「わかった。」とユイ。


「よし、それではこれから君たちが仕事をする部屋に案内する!ついてきてくれ!」


俺はそういって7人の少年少女を地下の各階層に設置した仕事場へと案内するのだった。

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