第33話 魔の森へようこそ?
「ところで、まだ私の屋敷がどこにあるかを告げていませんでしたね?」
「そういえばそうでしたね。」とシスティーナ院長。
「実はですね私の屋敷は魔の森の奥地にあるのです。」
「「「「「「「「魔の森の奥地だって!?」」」」」」」」
そうだよなぁ。そういう反応になるよな。いくら好条件でも、魔の森、別名、死の森の奥地だもんなぁ。やっぱりだめか?
「な、なあ、あんたあの死の森に住んでるのか?」とパル。
「そうだよ、パル。そして君たちに働いてもらうのは死の森のど真ん中。」
「そんなぁ」とユイ。
「だけど、死の森に君たちが近づく必要はない。そして君たちに働いてもらう予定の場所は私の屋敷の地下だから周囲の森の危険からは完全に隔離されていて安全なんだ。」
「え?牧場や、養魚場や、薬草園を地下に?一体どういうこと?」とシシリー。
「これはね、私の仕業じゃないんだよ。屋敷の地下をダンジョンのように改造したのは私の先代なんだ。」
「一体その先代はなんという方なのですか?」とマリアさん。
「その人の名はマーリン。大賢者マーリンだ。」
「まさか!?あのマーリン様が魔の森に住んでいらしたの!」とシスティーナ院長。
「システィーナ院長は先代をご存じですか?」
「いえ、うわさに聞いたことがあるだけですが」
「私は先代の後継者で、まぁ、好き勝手やってよいとのことだったのでこうしていろいろやってみようとしているところなんですよ。」
「で、でも、魔の森に入らず屋敷に行くことなんてできないだろう?」とクレト。
「それができてしまうんだ。試しに今から行ってみるかい?」
「一体どうやるっていうんだよ。まさか転移魔法なんて言わないよな?」とパル。
「お、パルは転移魔法を知ってるのかい?」
「そりゃ、名前だけは知ってるけどあれを使えるのは魔族でも王族とごく一部の上流貴族だけだ。人族が使えるなんて話は聞いたことがない。」
「そうか、そうか。じゃあ、私が今から使って見せてあげよう?」
「おい、本当にあんた転移魔法が使えるのかよ?」
「ちょっと、待ってくださいませんか、ユカワ様。」とシスティーナ院長。
「もし、本当に転移魔法をお使いになれるのであれば魔の森のお屋敷にこの孤児院から一瞬で移動できるのですか?」
「そういうことです。」
「ねえ、あなたたち、一度お屋敷に伺ってみない?どんなところなのか見てそれで決める方がいいと思うの。」
「院長先生が言うならそうした方がいいんだろうなぁ。」とユイ。
「では私も行きます。」とマリアさん。
しばらく相談がなされたのち、この場にいる全員で魔の森の屋敷に転移してすぐに戻ってくることになった。
念のためペレネ―には残ってもらう。
「え―――!私も転移魔法で言ってみたかったのにぃ。」
「ペレネ―はまた今度連れて行ってあげるから、今は少し頼まれてくれないか?」
「わかったよ。ヨウイチロウさん。」
部屋の中に集まった総勢11名での転移。
俺たちを中心に青白い魔法陣が展開する。
「テレポーテーション!」
俺たちは青白い光に包まれ次の瞬間には屋敷の目の前にいた。
「「「「「「「「「「えええええええええ」」」」」」」」」」
皆さん素晴らしいリアクションである。
システィーナ院長やマリアさんも驚きを隠せないようだ。
驚きの声に気づいて屋敷の中から怪訝な顔をしたミユが現れる。
「ヨウイチロウ様、突然のお戻りですね?そちらの方々はどちら様ですか?もしかして、またお客人ですか?」
「やぁ久しぶり、ミユ。パーカーさんとリリアン姫はどうしておられる?」
「ユカワ様、お久しぶりです。お屋敷でお世話になっております。」
「おお、パーカーさんお元気そうで。」
「ヨウイチロウ様、わたくしあのワイバーンのミラーさんのこと大好きになりましてよ!空の旅最高でしたわ!それにこのお屋敷のお料理はどれもおいしくって…」
「これはこれはリリアン姫、ご満足いただけているようで幸いです。ミユ、本当にありがとう。」
「いえ、これも仕事のうちですから。ところでそちらの方々は?」
「そうだったね、この人たちはラガドの街の孤児院から連れてきた。こちらがシスティーナ院長で、シスターのマリアさん。残りの少年少女は才能あふれる子たちで今度からうちで働いてくれるかもしれない子たちだよ。」
「かしこまりました。お待ちしております。」
「というわけで、皆さん、ここが魔の森の中にある私の屋敷です。彼女はとある王国の姫様でリリアン姫とその執事のパーカーさん。こちらは屋敷の管理をすべてしてくれているとても優秀なエルフ族のメイドでミユ。」
といった具合に驚く面々に紹介をし、多少その場に居合わせた人たちで歓談。
その後屋敷の中の地下階層をいくつか紹介して、帰ることにした。
ミラーの空中庭園にも連れて行ったがワイバーンにも驚き、地下に空中庭園があることにもっと驚いていた。
驚きっぱなしの面々を連れてもう一度屋敷の外に出る。
明日には帰るつもりであることを告げたのちミユたちに別れを告げて、転移魔法を発動。
次の瞬間俺たちは孤児院のもとの部屋の中にいた。
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