第32話 孤児院の子供たち
「それではユカワ様、ユカワ様に紹介したい子供たちがおりますので会ってはいただけないでしょうか?」
「ぜひよろしくお願いします、システィーナ院長。」
マリアさんは相談の途中で抜けて先に何人かの子供たちを呼びに行っていた。
俺はシスティーナ院長に案内されて孤児院の中のとある部屋に向かった。
そこには、これまで孤児院の中で見かけた子たち以上に個性的な子たちがいた。
システィーナ院長に集められたと思われる子たちは、人族以外の子たちが多かった。
「ユカワ様、先ほどうかがった話を参考にしてユカワ様のもとで働けそうな子たちに声をかけて集まってもらいました。」
システィーナさんが一人一人紹介してくれる。
ここでは、それを以下に簡単にまとめよう。
クレト:狼人族の少年。眼鏡をかけている。魔物への興味が強い読書少年。
シシリー:水色の髪に青緑の瞳のハーフエルフの少女。薬師のもとで手伝いをしており、薬学に通じている。
ユイ:黒髪の人族の少女。モフモフした生き物が大好き。生き物の世話が得意。孤児院のペットのウサギの世話係。
サリー:人族。両親は南方の島嶼連合国家ルグラン連合出身の旅商人だった。褐色の肌で黒い目。島国で幼少期を過ごしたため水生魔物に関する知識を持っている。
ガフ:ドラフ族の少年。筋骨隆々であると同時に穏やかな性格をしている。ユイと同じくウサギの世話係。
ルカ:銀髪赤眼のヴァンパイアの少女。人間の血よりもトマトが好き。お転婆だが植物の世話が得意。
パル:上級魔族の血を引くが両親は魔族の故郷であるツイン・コンティネントに帰ってしまい、とある理由で取り残された。クレトと仲が良い。冷静沈着で聡明。数種類の魔法を使える。燃えるような赤髪赤眼の少年。
「ここにいる子たちはみんな人族を基準にすると16歳から18歳といったところです。」
「初めまして、ユカワ・ヨウイチロウといいます。私はぜひ、皆さんを雇いたいと思っているのですが、どうでしょう?私のもとに来ることに興味がある方はいますか?」
すると、全員がうなずくではないか!
「俺はあんたのスライム研究に興味がある。助手にしてくれないか?」とクレト。
「私は薬草園の管理をしたいです。薬師のもとで働いていましたから多少の知識はあります。お役に立てると思います!」とシシリー。
「牧場?で動物のお世話をするのは興味あるかな?でも、私だけで全部するっていうのは無理っぽいからガフが一緒がいいです。」とユイ。
「僕も牧場で動物の世話をする生活には興味がある。ユイと一緒ならぜひ行ってみたいな。体力には自信があるよ。」とガフ。
「水生魔物を飼うんだって!?昔は色んな水生魔物をいじってたから扱うのは得意だよ!ラガドの周りじゃあんまり捕まえたりできないからもし本当にそんなチャンスがあるならぜひ!」とサリー。
「私はぁ、おいしぃトマトがぁいっぱい食べられるところならぁどこでも行くよぉ。植物を育てるのってぇ楽しいの~」とルカ。
「俺はあんたがすごい魔法使いだってとことに興味をひかれた。それに、クレトが孤児院を出たら俺の話し相手がいなくなるからな。スライム研究とやらの手伝いはつまらなくはなさそうだと思ってる。」とパル。
これは思った以上に素晴らしい。
この子たちが来てくれれば俺の研究体制はかなり充実しそうだ。
「ありがとう!君たちの言葉を聞いて君たちをぜひ雇いたいと思った。」
するとマリアさんが、
「ユカワ様、この子たちを本当に雇ってくださるのですか?先ほどは申しませんでしたが、この子たちの多くは人族ではないためにラガドで働き口を見つけにくい子たちなのです。」
「マリアさん、そんなことを私は気にしません。私という存在自体少々常識はずれなところがありますから、他人に対してもそういう常識基準では評価しないので。」
「そうですか。それは良かったです。」
さて、どうやら話はまとまりそうな気配だ。
だが、まだ伝えねばならないことが残っている。
これを言った後の反応が心配だ。
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