第20話 ラガドの街
「ユカワ様、そろそろラガドの街につきます。ついてからのことなんですが、ユカワ様は身分証明書をお持ちですか?」
「ん?持ってないな。それが必要なのか?バルトロは持ってるのか?」
「はい、ラガドの街に入るには冒険者カードなどの身分証明書が必要です。私は商人ギルドに登録しているのでそのカードがあります。ユカワ様はカードを守衛所で作る必要がありますね。」
「そうなのか。わかったよ。ありがとう。」
「ラガドではどういたしましょう。別行動のほうが良いかと思うのですが。」
「そうだね。ラガドについたら分かれることにしよう。バルトロはしばらくラガドで暮らしていけそうかい?」
「はい、大丈夫だと思います。ただ、馬車は私のものではないので、預かっていただけると助かります。」
「わかった。馬車はこっちで預かろう。門についたら分かれるとしよう。」
「はい。」
そうして、俺たちはラガドの街では別行動をすることにした。
「ユカワ様、城門につきました。」
「よし、ここまでご苦労。報酬はもらってるか?」
「はい、前払いでいただいておりますので、ここで失礼させていただきます。」
「よし、じゃあまた用があったら声をかけるかもしれない。そのときは商人ギルドに行けばいいのかな?」
「そうですね、あそこを通してもらえば確実です。」
「じゃあ、達者で」
「はい、失礼します。」
さて、まずは馬をディメンションホールにしまって、次は馬車を亜空間収納で片づける。次は、守衛所に行ってカードの作成と盗賊の引き渡しもしないとな。
「すいませーん。身分証明書がないので手続きをお願いできますか。それと盗賊をとらえたので、そちらもお願いしたいのですが。」
「こちらにどうぞ―。」
守衛所の警備隊の詰め所に移動して事務手続きを済ませる。水晶玉のようなものに手を当てると名前や年齢が魔法具によってカードに刻印されていく。
「これで仮の身分証明書は作成完了です。今後正式な身分証明書は冒険者ギルドが商人ギルドに行って手に入れてください。これらが通行証にもなりますのでなくさないようにしてください。」
「わかりました。では次は盗賊を引き渡したいんですが」
「了解です。ところで盗賊はどこにいるんですか?」
「空間魔法でしまってあります。今ここで出してかまいませんか?50人ほどいるので、ある程度の広さが欲しいのですが?」
「え!そんなにいるんですか!しかも空間魔法で仕舞ってるだって?」
「少々お待ちください。上のものを呼んで来ますので。」
どうやら、この警備兵では手に負えないと判断されたようだ。しばらくすると警備兵のまとめ役らしき人物がやってきた。
「お待たせして申し訳ない。ラガドの街の警備隊で隊長を務めているウォーレンだ。盗賊を50人ほど捕まえていると聞いてきたんだが、こちらに来てくれ。そこでなら50人くらい収容できる。」
「ありがとうございます。」
そして俺たちは城壁内に作られている収監用の部屋に向かった。
「ここに出してもらえるだろうか。」
「わかりました。ディメンションホール!サイキック!」
目の前の空間を切り裂くように穴を開き、そこに放り込んでおいた盗賊たちをサイキックで取り出した。
「ほ、本当に何もない空間から50人もの盗賊が出てきたぞ!?なんてこった」
「ウォーレン隊長、これで大丈夫でしょうか。それと今、彼らは魔法で眠らせています。起こした方が良いですか?」
「ん?そ、そうなのか。なんだがあり得ない光景を目にしたせいで、頭が働いていないが、そうだな、牢に鍵をかけてから外からでも可能かな?」
「はい、大丈夫です。」
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