第17話 王女リリアンーその2

そうして、2人が馬車に向かって歩き出すとともに俺は無属性魔法のサイキックを発動して盗賊たちを宙に浮かべ1か所に集めた。闇魔法のフォーストスリープで全員を強制的に眠らせる。そのままディメンションホールを開いて50人程度の盗賊たちを放り込んだら作業完了だ。


「パーカーさん、リリアン様、盗賊は片づけましたので早速街に向かいましょう。」


「ユカワ様はあの大賢者マーリン様の後継者だけあってすさまじい魔法の実力をお持ちですね。やはり、ぜひ、姫様の保護をお願いしたく存じます。」


「ちょっと、パーカー、確かに彼の魔法はすごいけれど、だからと言ってなぜ私の保護を頼むのよ。私は私の身くらい自分で守れるわ。」


「そうはいきません。先ほどもユカワ様が助けに来てくださらなかったら死んでいたやも知れないではないですか。」

「そ、それは、さっきはほんの少しばかり油断していたからで・・・」


「ユカワ様、ワイバーンのミラー様で護衛をしてくださるとのことでしたが、ぜひ、事情を説明したく思います。一緒に馬車に乗ってはいただけないでしょうか。」

「いいのですか。さっき会ったばかりの私をそんなに信用してしまって。」


「ええ、あなたは我々、いえ、姫様に危害を加えるようなお方ではありません。」

「信用していただいてうれしいです。では、ついでにワイバーンが街に近づくと恐らくパニックが起きそうですから、ワイバーンには不可視化の魔法をかけます。それと、見かけだけにすぎませんが、騎士団を護衛として連れていくことにしましょう。」


「え、あなたは何をおっしゃっているの?こんな辺境に騎士団をどうやって呼ぶというの?しかもワイバーンを不可視化するなんてどうやるのよ。」


「では御覧に入れましょう。まずは、ワイバーン・ミラーにカモフラ―ジュの魔法を!」

「あら、あんなに大きな巨体が見えなくなったわ。どういうことなの!?」


「続きましてミラージュの魔法で幻影騎士団を出現してご覧に入れましょう。馳せ参ぜよ幻影騎士団!」

「え!?今度は突然100騎を超える精鋭騎士が現れたは!?あなたいったい何者なの!?」

「私はユカワ・ヨウイチロウ、賢者マーリンの後継者でございます。」


「今目にした何もかもがにわかには信じがたいですが、これで道中の不安はなくなりました。これだけの騎士が警護している馬車を襲う愚か者はそうそういないでしょうな。」

「では、そろそろ出発しますか、パーカーさん。」


「はい、そういたしましょう。幸い馬も馬車も傷つけられる前にユカワ様に救っていただけましたから。」

「なんなの。ホント、私今何を目にしているの?もう頭の整理がついていかないわ。」


脳内大混乱の幼いお姫様とその執事兼護衛の初老の紳士とともに俺は改めてラガドの街に向かって出発したのだった。

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