第13話 スライムにエサやりをしよう

さて、スライムは一通り分類し終わったし、とりあえず餌を何とかしないとだめだな。プレーンスライムは特別なエサが用意できるまでは魔力水を与えて、数をキープするとともに、増えてくれるといいんだが。


「そうだな、ほかのスライムたちの餌はどうしよう?賢者の知恵で何とかなるかな?」


俺は石や葉っぱ、毒物など、ラボにいるスライムたちの餌になりそうなもののありかを脳内検索する。


「ストーンスライム用の鉱物は第5階層の鉱物保管庫から何種類か持ってこよう。苔スライム用の苔類は第7階層の多湿エリア、特に、沼地と洞窟、雲霧林から適当に見繕ってとってくればいいかな。プランツスライム用の餌は、第3階層のダイロンの森から葉っぱや枝をとってくればいいだろう。ポイズンスライム用の毒草と、後試しに薬草を第4階層の薬草園からとってこよう。第4階層には授粉用にハニービーが放し飼いにしてあるみたいだから、ハニービーのためのはちみつもそこから持ってくればいいね。ブラッディ―スライム用の血はどうしよう。ミユに頼んで料理の前に血抜きで生じる血を分けてもらおう。ドランクスライム用の熟しすぎてアルコール発酵してる果物は…第2階層の農園で余っているのを持ってこようか。シャインスライムは光と水があればいいみたいだが、水はちょっと特別な聖水を魔法で作って与えることにしよう。マジックスライムには第6階層の魔石保管庫から弱い魔物の魔石をいくつか持ってこよう。」


こうして考えてみると、一人でこのスライム研究をするのはかなり大変に思えてきた。この研究には助手が必要だ。ミユは屋敷の管理で忙しいから、魔の森の外のどこかから適当に助手になりそうな人を見つけてくる必要がありそうだ。


「とりあえず、今考えたことをやってしまおう。」


俺は、あっちへこっちへ階層移動をして、屋敷の中の空間とは思えない光景をたびたび目にしながら、先代が集めたり育てたりしていた素材を集めて回った。


「さすがに疲れたな。エサによって進化を左右すると思われるから、これが大切なんだが、ラボで実験するっていうのが間違っているのかもしれないな。ちょっと方法を考えないといけないぞ。」


独り言をこぼしながら、俺はスライムたちにどの餌をやるか分けていった。

まず、プレーンスライムには魔力水。ストーンスライムは3匹ずつに分けていたから、それぞれに鉄鉱石、金鉱石、ミスリル鉱石、大理石、水晶を与えてみることにした。苔スライムには毒のある苔、薬効のある苔、そのどちらでもない苔をそれぞれに与えた。プランツスライムには木の枝、葉っぱ、木の実(ドングリっぽいものやクリっぽいものを拾った)を与えた。ポイズンスライム4匹には何種類かの毒草、残りの4匹には何種類かの薬草を与えてみることにした。


ブラッディ―スライムには血抜きによって余った捨てられる予定だった魔物の血液をミユからもらって与えた。ハニースライムにはもちろんハニービーのはちみつ。ドランクスライムには農園で余っていた何種類かの熟れすぎた果実を与えた。シャインスライムには光魔法で作ったライトボールに持続の魔法をさらにかけてランプ代わりとして、後は聖水を聖魔法で生み出して与えた。


「マジックスライム。君は魔石の吸収ができるそうだね。とりあえず、普通のゴブリンの魔石でも吸収して見せてくれないか?」


マジックスライムの前にゴブリンの魔石を置いてやるとマジックスライムはいやいやそうにゴブリンの魔石を吸収した。


「ン?いやいやそうじゃないか。好きじゃなかったか。じゃあ、ホーンラビットの魔石なんかどうだ?」


今度はちょっとおいしそうに吸収した。魔石はマジックスライムの中に取り込まれると光を発しながらシュワシュワと溶けていった。なかなか奇妙な光景だが、スライムにこれといった変化は起きない。何か起きれば面白かったのだが。

「まあ、これから色々食べさせていけばわかるだろう。」


ひとまずすべてのスライムにエサをやったわけだが、やはり張り切って手を広げすぎたせいか一人では疲れてしまう。それに、この屋敷の資源をいつまでも使っていてはいずれ足りなくなる。屋敷以外にスライム研究用の拠点を新たに作るべきだろう。今後は新たな拠点確保と人員の増員が目標だ。今日はひとまず、もう休むことにしよう。。。

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