第10話 スライム狂…
「ただいま~!ミユ―ミユ―聞いてくれーめちゃくちゃ珍しいスライムをゲットしたんだよ~!!」
「おかえりなさいませ、ヨウイチロウ様、出て行かれた時も楽しそうでいらっしゃいましたが今は一段とハイテンションでいらっしゃいますね。面白いスライムを見つけられたようでよかったですね。」
「ミユー、君にももっとこう、『わー!!凄いですね―!!!ヨウイチロウ様ー!!おめでとうございます!!!』って感じで喜んでほしいんだけど」
「わー凄いですね―ヨウイチロウ様―おめでとうございますー」
「なんか、すごい棒読みで傷つくんだけど」
「ふん、ヨウイチロウ、お主やっぱり中身がアレだな。」
「はッ!ダイロン、俺の中身がアレってなんだよアレって。」
「いや、アレはアレだろ。ミユさんがドン引きするのも仕方ないな。」
「な、ふん、ミユ、ドン引きなんてしてないよね?」
「ヨウイチロウ様私はドン引きしております。スライムに熱中なさるのは構いませんが変態的情熱を私にまで向けられては、困ります。」
「あーあ、ヨウイチロウ、ミユさんに嫌われちゃった。」
「そ、そんな、ミユ、俺は別に変態じゃないぞ。スライムに熱中しているのは否定しないが、断じて変態的に熱中はしていないぞ!」
「いえ、ヨウイチロウ様、ヨウイチロウ様は十分一般人基準からして変態です。」
「なぁあああああ、ミユに変態認定されたら、俺はこの先どうやってこの屋敷で暮らしていったらいいんだあああああ」
「まあ、大丈夫なんじゃないかの。先代のマーリンもかなりの奇人だったから、ミユもこの程度では問題なかろう。」
「そうですわね、よくわかっていらっしゃいますダイロンさん。あの奇人マーリン様にお仕えした私が、ヨウイチロウ様程度のスライム変態野郎を見捨てたりしませんわ。」
「なあ、ミユ、俺はスライム変態野郎なんかじゃないんだが」
「食事の用意が整っておりますので食堂にいらっしゃいませんか?それともフォレストウルフたちが集めてきたスライムをご覧になりますか?かなりの量が集まっているようですけれど。それとも・・・」
「そうだった!スライムだ。スライム。リオンたちが集めたスライムを回収しなきゃな!スライムたちよー今行くぞ!ヤッホーい!」
「ダイロンさん、先代マーリン様よりもヨウイチロウ様の方がヤバい気がするんですが、この先大丈夫でしょうか?」
「うーむ、ねじが2,3本抜けてる気がするな。放っておくと延々スライムに埋もれてそうだ。ミユさん、大変だな。」
「ダイロンさん、お世話をするのが私だと思って他人事のようにしていらっしゃいますけど、この先ヨウイチロウ様がお出かけになる際はダイロンさんも一緒に行くことになるのですよ。スライムがいるとわかれば洞窟だろうと火山だろうと。」
「あ、そ、それは考えてなかったの。こ、これはまずいことになったぞ、わしは老後はゆっくりこの屋敷の地下の森で余生を過ごすつもりだったのに。。。ど、どうしたらよいのじゃミユさん?ヨウイチロウを止めることはできぬのか?」
「ダイロンさん、わかっておいでだと思いますが、あのスライム狂を止めるすべは皆無でしょう。」
「ああ、そうだよな。スライム狂が新たな主人とは、わしらも運がないな。」
「スライム狂である点以外はまともそうですから、まあ、何とかなるんじゃないですか?」
「そうだといいのぉ。」
「ヒャッハー!こんなにいろんな種類のスライムがこんなに、こんなにスライムヒャッハー!」
「スライムで踊り狂ってるヨウイチロウ様、やっぱり、んー、ダメな気がします。」
「あのマーリンの後継者と聞いてどんな奴かと思ったが、ま、アレの後継者だけあって、やっぱザンネンなやつじゃな。」
「ダイロンさん、そろそろスライム狂のご主人様に食事のことを伝えてきてもらえますか?私は先に食堂に戻って準備をしておきますので。」
「わかった、伝えてくる。ところで、わしの食事はどこかな?ダイロンさんの食事はキノコ類とフルーツをご用意しておりますから、後で、ヨウイチロウ様にことづけておきますわ。」
「わかった、わしの好みをよく理解してくれているミユさんには感謝しても感謝しきれんな。」
「いえいえ、ではお先に失礼します。」
「じゃ、わしもあのスライム狂殿を現実に引き戻さねばな。おーいヨウイチロウ、食事ができているそうじゃぞ。わしも腹が減ったからミユさんから、わしの分をもらってきてくれ~」
「え、食事?あ、そういえばもう暗いね。スライムに囲まれて幸せすぎて周りが見えなくなっちゃってたよ。あれ、ミユは?もう、戻った?」
「そうじゃ、食事を用意しとくと言っておったぞ。」
「そうか、じゃあこのスライムたちをいったんディメンションホールに収納してっと、ごめんーんお待たせ、じゃあ食事に行こうか。」
俺は、こうして転生初日にしてたくさんのスライムを手に入れることに成功した。これからの生活が楽しみだ!
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