第9話 マジックスライム

「さて、もう一度来たはいいが、どこを探そうか。フォレストウルフたちがある程度のスライムは見つけてくれそうだし、この魔の森とやらにしかいない貴重なスライムを探すとしようかな、ダイロン」

「まあ、レアとはいえ、スライムだろう。そんなにすごいのが見つかるとは思えんがな。」

「いや、レアスライムは重要だよ。きっと見つけてみせるさ。」

「そうか、見つかるとよいな。」

「じゃあ、さっそくサーチを使ってスライムを探すとしよう。今度はさっきよりも広範囲をサーチしよう。ダイロンはかなり早く移動できるんだよね?」

「そうじゃよ。空中を移動すれば障害物にもぶつからず大抵の場所には行けるぞ。」

「じゃあ、半径を50キロくらいに設定して、、、サーチ!」

自分の魔力があたりの森の中を水面に波紋が広がるように広がるのが感じられる。どうだ、レアスライム引っかかってくれないかな?

「おっ、なんか真っ白に光る点が見つかったぞ。確か、真っ白の光といえば…確かめったに見つからない赤よりもさらにレアな魔物だよな。ドラゴンくらい珍しかった気がする。なあ、ダイロン、なんか心当たりあるスライムいる?」

「わしは、スライムなんぞ気にして暮らしておらなんだからな。そんなの知るわけないじゃろ。」

「スライムをサーチしたはずだから、ドラゴンってことはないはずなんだよね。ドラゴン並みにレアなスライムっていったいどんなスライムだよ。よし、行ってみよう。ダイロンここから北西の方角へ進んでくれ。」

「わかった、だが、そのスライムは遠いのか?」

「うん、かなり遠いね。25キロくらい先みたい。」

「そうか、それはかなり通そうじゃな。じゃあ、空を駆けて行ってみるか?」

「お、いいね。じゃあ、よろしく頼むよ。落とさないようにしてくれよ。」

「うむ、落としたりせんよ。しっかりつかまっておいてくれよ。」

「よし、じゃあ行ってくれ!」

「よし、行くぞ!」

エアキックエルクのダイロンは走り出すと徐々に加速して急にふっと宙に浮いた。そのまま空気を蹴ってどんどん進んでいく。こんなことができるなんて、サンタのトナカイもびっくりだ。そのままどんどん高度を上げていき森を見渡せる高度まで上がると、地面に水平に駆け始めた。

「すごいね、ダイロン。本当にこんなことができるなんてびっくりだよ。」

「ふん、もっと加速することもできるが、このくらいが心地よかろう。そのレアスライムとやらが近づいたら合図してくれ、地上に降りるから。」

空から見渡すと地図で見た通り湖や川らしきものが遠くに見える。見渡す限り森が広がる景色なんて、これまで見たことがなかったから感動せずにはいられない。だが、ダイロンの移動速度は予想以上に早く、もう、件のレアスライムが近づきつつあった。

「ダイロン、そろそろ地上に向かってくれるかな。そろそろ近づきつつあるから。」

「お、もうなのか。すぐだったな。もっと空をかけていたい気もするが、仕方ない。降りるるとしよう。」

そういって、ダイロンは地上に向かってくれる。レアスライムまであと少しだ。

「おお、無事地上に戻ってこれたよ。じゃあ、このまま真っ直ぐ進んでくれ。速度はすこっしゆっくり目で頼む。」

「うむ。ヨウイチロウはそのスライムどんな見た目だと思う?」

「うーん、全く見当もつかないけど、なんか特殊っぽいから突然変異体とかかもしれない。ドラゴンみたいに巨大だったりして。」

「それは恐ろしいの、スライムに殺されるとか冗談でも嫌じゃ。」

「そろそろなんだけどな、ン~、なんかあそこ洞窟っぽくなってる?倒木と巨岩のせいでそんな風に見えるだけかな?」

「恐らくそうじゃろう。あそこにそのレアスライムはいるのか?」

「サーチによるとそうっぽいんだよね。」

「よし、ではさっさと行くぞ!」

その場所についてみると、巨岩の上に倒木があり、薄暗くなった窪地があった。ダイロンから降りると俺はそこにいるはずのドラゴン並みにレアなスライムを探した。

「うーん、見つからないな、石の裏とかかな?ダイロンも探してみてくれない?」

「わかった、サーチはもっと詳細には使えんのか?」

「んー、このあたりってとこまではわかったんだけど、これ以上は難しいかな。」

「そうか、それは残念じゃ。」

「えーと、この茂みの中とかにいたりして…わっ!ダイロン!!見つけたよ!こっち、こっちに来てくれ!!」

「お、見つかったか!ドラゴン並みのレアスライムいったいどんな見てくれをしておるんじゃ?」

「んー、なんか普通のスライムと違うのは色だけなんだよね。見てみて、透明でしょ。で、核がちょっと虹色に光ってるとこが特別だよね。今鑑定してみるよ。」

『鑑定結果:マジックスライム:魔力が高濃縮し生じた魔宝石を吸収したことによって生まれた特殊スライム。魔物の魔石を吸収して魔法を使えるようになる。』

「なんだって!こんなスライムがいるのか!これは大発見だよ、ダイロン!そして、実験しがいのあるスライムだよ!こんなスライムが手に入るなんて俺は本当に運がいいよ!やったよ、奇跡だよ!」

「すごい喜びようだな。じゃが、こんなスライム今まで見たことも聞いたこともないぞ。しかも、今の鑑定結果を聞く限り、こ奴、魔石を吸収させたら成長するそうじゃないか。おっそろしいスライムがおるもんじゃの。」

「じゃあ、さっそくテイムしようっと。君、俺の魔力を受け取ってくれ。ぜひ、君に私の従魔になってほしい。」

そうして、フォレストウルフをテイムした時と同じように無事、マジックスライムのテイムに成功した。どんな成長を見せてくれるのかこれからがものすごく楽しみだ。

「よし、じゃあ、ディメンションホールに入っておくれ。収納完了。じゃあ、ダイロンそろそろ日も暮れそうだし少し森の上を駆けまわったら屋敷に帰ろうか。」

「そうじゃな、目的は達せられたようじゃし、帰るとするか。」

ダイロンにのせてもらって俺は魔の森の上空を少しの間駆け回り、屋敷への帰路に就いた。今日はマジックスライムも見つけられたし、フォレストウルフもテイムできた。リオンたちが収集してくれたスライムも待っていることだろうし、今日はいい一日だった!

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