第8話 スライム収集
「リオン、逃げたお前の群れの残りはどうするんだ?」
「あいつらきっと別の群れに入るっすから放っておいて大丈夫っすよ!」
「そうか、ならとりあえずお前たちだけついてきてくれ。」
「うっす!」
フォレストウルフについてはこれで大丈夫だ。
では、そう、本来の目的であったスライムを確保しよう!
スライムはというとフォレストウルフの包囲が解けたのをいいことにのろのろと逃げようとしていた。
だから、今テイムしたばかりのフォレストウルフに命じて集めさせてみた。
「よし、お前ら、さっきいじめてたスライムを集めてきてくれないか?俺は今、スライムを集めてるんだ」
「え、スライムっすか?ご主人様、物好きな人間っすね。でも、ご命令とあらば集めてきやす!」
フォレストウルフにまで物好きな人間扱いされてしまった。
いいもんね。なんだか慣れてきたな。
スライムを集めることはそれほど変なのだろうか。
まあ、気にしても仕方ないから。
フォレストウルフたちは散らばってさっきまでいじめていたスライムを集めてきてくれた。
「よしよし、集まったな。早速鑑定っと。うん、普通のスライムが7匹に、ストーンスライムが1匹、苔スライムも1匹いるな。幸先がいいな。どうしよう、この場で契約してしまおうか?」
「ヨウイチロウ、うぬはまだまだスライムを集めるつもりなのであろう?だったら、いちいち鑑定をしたり契約をしていたら効率が悪い。とりあえずディメンションホールに放り込んでおいてあとでまとめて鑑定と契約を済ませてしまった方がいいのではないか?」
「確かに、言われてみればそうだな。よし、じゃあとりあえず全部ディメンションホールにサイキックで持ち上げて放り込んで…捕獲完了。次に行こうか?」
「それがいいだろうよ。でも、このフォレストウルフたちはどうするんじゃ?」
「うーん、そうだな、なあお前たち、スライムってこの森の中にどれくらいいる?」
「え、スライムっすか?いっぱいいますよ。」
「種類とかはどうなのかな?」
「スライムの種類っすか?あんまり気にしたことないっす。」
「スライムを今から集めてきてくれって言ったらイヤ?」
「ご主人様のご命令とあらば、全然嫌じゃないっす!」
「そうか、じゃあ、今からスライムを可能な限りいっぱい集めて、そうだな、屋敷の位置はわかるかい?」
「え、お屋敷っすか?あの魔法使いの爺さんが住んでた?」
「お、よく知ってるじゃん。あそこの家の前にスライムを集めておいてほしいんだよ。」
「わ、わかりました。お屋敷に近づいて殺されたりしませんかね?」
「たぶん大丈夫。近づくときは必ずスライムを持って近づきな。そうすればミユも察してくれるだろうから」
「わたりましたっす!よし、お前ら行くぞ!」
「「「「うっす!」」」」
そういってフォレストウルフたちはバラバラに森の中に駆けて行った。
「これでスライム収集が楽になるね。」
「そうじゃな、じゃが、集めたスライムは放っておいてよいのか?」
「そうだよね、やっぱり何か囲いか何か欲しいな。一度帰って準備してくるか」
「もうちょっとスライムを捕まえながら帰って囲いを作って入れておこう。そうすればフォレストウルフたちもわかってくれるだろう。」
「じゃあ、帰るか?」
「うん、そうしてくれ。途中スライムを見つけたら止めるから、よろしく。」
「うむ、ではいこう。」
そうして、俺とダイロンは屋敷に引き返すのだった。
途中でサーチを使って木のうろや茂みの中にいたスライムを5,6匹捕まえた。
屋敷の前にはもうすでに4匹スライムが集められている。
スライムたちはもぞもぞしながら逃げようとしていたから、簡単な土魔法でスライム用の柵を作って逃げられないようにした。
その中に捕まえてきたスライムを入れておいて、玄関のそばに近寄ると、ミユが出てきた。
「ヨウイチロウ様、お早いお戻りで。フォレストウルフがスライムを玄関先に置いて行ったのですが、これはあなたの仕業ですか?」
「ごめんよ、ミユ、スライムを探していたらたまたまフォレストウルフに遭遇して、なんとなくやってみたかったからテイムしたらできたんだ。で、スライムを集めさせてみた!」
「はあ、そうですか。フォレストウルフをテイムしてスライム集めに使役しなさっているのですね。」
「その通り、で、この通りスライム用の柵を設けたからフォレストウルフが来てるのを見かけたら、柵の中にスライムを入れるように言ってくれないか?言葉はちゃんと理解できるはずだから。」
「かしこまりました。スライムはもう集まりつつあるようですが、ヨウイチロウ様はこれから何をなさるんですか?」
「俺はちょっと森の中をもう少し駆け回ってレアなスライムを探してくるよ。日が暮れるまでには帰ってくるつもりだから。よろしく」
「かしこまりました、お気をつけて」
ミユに一通りの事情を説明したら、俺はもう一度レアスライムを探しに森の中にダイロンとともに分け入っていくのだった。
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