第6話 魔の森へ

「ダイロン、このあと屋敷の周りの森を探索して研究のためにスライムを探そうと思うんだ。それについてきてほしいんだよ。」

「ふむ、ヨウイチロウを乗せて森を案内すればよいのか?スライムを集めるとは物好きよのう。なあミユさんもそう思わんか?」


「ダイロンさん、ヨウイチロウ様のことを物好きなどと言っては失礼ですよ。でも、実際私もそう思いますね。スライムはたいてい子供が棒でつついていじめるよう魔物ですから。」

「そうよのう、まあ、悪い主ではなさそうだし、いいだろう。屋敷の周りの森を案内してやろう。久々に外の空気を吸うのも悪くない。」


「ミユ、ダイロンだけでなく君までも俺のスライムに対する愛を物好きなんて思うのか、まあ、仕方ないね。これからスライムの有用性をアピールして、その考えを改めさせてみせるさ。じゃ、ダイロンついてきてくれるかな?地図を書斎からとってきたらそのあとすぐ出ようと思うから。」


「いや、ヨウイチロウ、うぬは相当魔力もあるし強力な攻撃魔法も使えそうだが、この魔の森には危険な魔物が多いから、わしが付いているとはいえ一応防具代わりになるマジックアイテムを装備していった方がいいと思うぞ。マーリンが身に着けていたものはまだあるのか、ミユさん?」


「ええ、マジックアイテムの保管庫にありますよ。ヨウイチロウ様お使いになりますか?私もダイロンさんと同意見で初めての森ですから、装備は整えて出かけられた方がいいと思います。」


「そうだね、その方が賢明だろう。じゃあ、先代の装備品も書斎に持ってきてくれるかな?俺は先に書斎に帰って地図を確認したいから。」

「かしこまりました。では後程書斎にお持ちします。」

「よろしく頼むよ。ダイロンはとりあえずディメンションホールの中に入ってくれるかな?すぐ出してあげるから。」

「わかった。ではまた後程会おう。」


ミユは先代の装備品を取りにマジックアイテムの保管庫へ。

俺はダイロンをディメンションホールへ入れて、書斎へ向かった。

ちなみに、亜空間収納では物は収納できても生き物は収納できない。

だから魔物などの生き物は空間魔法で作ったディメンションホールの中に収納する。


書斎に戻り、ミユに教えてもらった場所から屋敷周辺の地図を取り出す。

なるほどこうなっているんだな。

だったらまあ、ぐるぐる回ってもいいし、ダイロンに案内してもらうのもありかな。

とか何とか地図を見ながら考えているとミユが戻ってきた。


「ヨウイチロウ様、こちらがマーリン様がお使いになっていた装備品になります。まずは、隠蔽機能が付与されたドラゴンの素材で作られたドラゴンローブ。次に、治癒のネックレス。魔法及び物理攻撃に対してマジックシールドを展開するプロテクトリング。魔法の発動速度を上げるリング。最後が、オリハルコンとミスリルを素材とし付与魔法強化の魔石が象嵌されたショートタイプの魔剣でございます。」


「すごいマジックアイテムだね。これだけあったら安心だ。でも、装備品に頼り切らないように注意はしておこう。ありがとうミユ。じゃあ、さっそく森の探検に出かけることにするよ。」

「かしこまりました。お気を付けていってらっしゃいませ。」


ミユの見送りを受けながら屋敷の外でエアキックエルクのダイロンをディメンションホールから出してまたがる。


「ダイロンよろしくな。」

「うむ、案内は任せておけ。スライムを見つけるのはそれほど難しくないと思うぞ。まあ、気をあんまり緩めすぎず楽しんでくれ。」

「じゃあ、行ってきまーす。」


俺たちはさっそく森の中に駆けていくのだった。

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