第5話 エアキックエルク:ダイロン
「よしこれで、ひとまず準備は整ったね。あとは肝心のスライムだ。ところで、スライムってのはどこにいるものなのかな?さっきの話だとこの屋敷のスライムは食堂の普通のスライムとごみ処理用のスカベンジャーって話だったけど。」
「はい、この屋敷には2種類しかスライムがおりません。ですが野生のスライムであれば森に入ればどこにでもいます。屋敷の周りの森にもいるでしょうが、ここの森は世間一般には死の樹海と呼ばれて恐れられているほどに、強力な魔物が多数生息しておりますので、私はめったに森には入りません。そのため、詳しくはわかりかねます。スライムは基本的に弱い魔物ですからこの周辺では強い魔物によって淘汰されてまったくいないということも考えられます。ですが、実際のところどうなのかは存じ上げません。」
「なるほど、確かに強力な魔物がいるならいないかもしれないな。でも、ちょっと探検してこようかな。いなかったらいなかったでまた方策を考えればいいし。ミユ、この屋敷周辺の地図はあるかい?あと、先代は何か森で使えるような騎乗用の魔物をテイムしていたかい?」
「はい、まず地図に関してですが先代様がおつくりになった詳細な地図がございます。書斎にございますので後でご案内いたします。次に、騎乗用の魔物でございますが、第3階層の森の中に放し飼いにされているエアキックエルクという魔獣がおります。いかがいたしましょう?」
「そうか、地図も魔獣もそろえられそうなんだね。本当に先代には感謝だな。じゃあ、まずはこのまま第3階層に移動してそのエアキックエルクにあいたいな。」
「かしこまりました。それではご案内いたします。」
俺たちは第一ラボを出て転移魔法陣がある部屋に移動した。
さっきと同じように魔法陣を起動して第3階層に移動する。
部屋を出るとそこには空と森、遠くに湖と小川が見える。ここは地下だよな?
太陽もあるんだけど?
さっきダンジョンっぽくなってるって言ってたけどマジだったんだ。
どれどれ、賢者の知恵を引き出してみよう。
うん、うん、なるほど、なるほど、すごすぎだ。
先代はホント賢者と呼ぶにふさわしいお方だ。
こんなことを成し遂げるなんて。
これも研究のための実験の一部のようだし。
いったい何を研究していたんだ?
あとで時間があるときにミユに聞くか頑張って賢者の知恵から引き出そう。
とりあえず今は、この広い森からエアキックエルクを見つけないといけないんだよな。
はて、どうやる?ん?
なるほど、エアキックエルクに来るように思念を送ればいいんだな。やってみよう。
「ガサガサ、ガサッ」
近くの茂みから2m近くの体躯と立派な角を持った茶褐色の魔獣が現れた。
額には緑色の魔石と思しきものが見える。
これがエアキックエルクか。
凄いなぁ。かっこいいなぁ。異世界マジ最高。
「うぬが我の新たな主か?」
エアキックエルクが思念を送ってきた!
「そうだ。マーリン様の後継者に選ばれたユカワ・ヨウイチロウだ。よろしく。先代から従魔契約を継承している。」
「ふむ、我はエアキックエルクのダイロンだ。ヨウイチロウ、よろしく。それで、今日はいかなる用かな?」
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