第4話 第一ラボオープン!

「うーん、美味しかった。またこのアップルパイ食べたいな。でもミユはほかのお菓子も得意なんだろう?今度はどんなお菓子が出てくるか楽しみにしてるよ。」

「はい、ご期待ください。」


「じゃあ、さっそくで悪いんだけど研究室として使えそうな部屋に案内してくれるかな?」

「かしこまりました。ではご案内いたします。」


ミユに案内されて俺は屋敷の奥に進んでいく。

すると床に魔法陣が描かれた部屋についた。

部屋はかなり大きく、床の魔法陣もかなりの大きさだが複雑な文字やら記号やらが美しく配置されている。


「それではヨウイチロウ様、魔法陣の真ん中に立ってください。地下の各階の間はこれと同じ魔方陣を用いて移動します。先代様がかなり研究のために複雑な設計をされましたから、この屋敷の地下はダンジョンのようになっております。これから行くのは第一階層です。先代様の蔵書や魔法研究のための道具類などが保管されている部屋が複数あります。使われていない空き部屋もいくつかございますのでその中から気に入った部屋をお選びになられたらよいかと思います。では魔方陣を発動いたしますが、ヨウイチロウ様、ご自身で試しに魔法陣を起動してみてはいかがでしょうか。」


「そうだね、やってみよう。やり方は…なるほど、思い出したぞ。魔法陣に魔力を通すイメージで、行先は地下1階っと。」

賢者の知恵の中から転移魔法陣の起動方法を思い出して、魔力を流すと魔法陣が青白く発光して次の瞬間には地下1階に到着していた。


「お見事です。問題なく転移できました。ほかの階層へもこのようにして移動できますので、ご自由にお使いください。階層によっては湿度や温度、明るさなどが異なりますが、転移魔法陣が設置してある部屋はどの階層も共通の作りになっておりますので、移動に際して危険は特にございません。」


「なるほど、よくわかったよ。ありがとう。ではさっそく部屋に案内してもらえるかな?」

「はい、かしこまりました。こちらです。」


案内された先には地下にしては天井が高く幅も広い廊下といくつもの扉が並んでいた。

地上の屋敷は内装が木だったがこちらは大理石のような光沢のある、しかし落ち着いた石材で作られているようだ。

光はランプの明かりのような穏やかな光を放つ壁にはめ込まれた魔石によるもののようだ。

いくつかの扉を開いて、大量の本や、文書、鉱物標本や魔石のコレクション、魔物のはく製や、錬金術の実験に使うと思しき道具がある部屋を確認する。


その後、何もない部屋に案内された。

大学で使っていた研究室は狭かったが、ここはかなりの広さがある。

必要なものをこれからそろえていけば充実したラボになりそうだ。

似たような空き部屋をいくつか案内されたのち、スライムを研究するのによさそうな手ごろな広さの部屋が見つかった。


「ミユ、この部屋がいいな。適度な広さがあるし、なんとなく落ち着く。ここにするよ。」

「かしこまりました。ではこの部屋の呼称はどういたしますか?」

「そうだな、第一ラボでどうだろう。」

「では、こちらのプレートに名称を書き込んでください。どこも似た部屋ですから迷わないようにするのに書いておいた方がよいので。」

「そうだね、えーと、指をあてて念じながら、スーと滑らせると…お、できた!これでいいかなミユ?」


「はい、問題ございません。では、中に研究道具を搬入なさいますか?どのようなものがご入用でしょうか?ある程度の道具であれば、この階層から集めてくることが可能ですが」

「そうだね、このラボでは、まずはスライムにいろんなものを与えてどんなスライムに進化するかを観察するところから始めたいから、机と、椅子と、仕切り、あと、餌箱や水槽なんかが必要かな?」

「かしこまりました、でしたら倉庫に向かいましょう。今伺った範囲のものであれば全部そろいそうです。」


「よかった、じゃあたびたび申し訳ないが案内よろしく。」

「はい、かしこまりました。こちらへどうぞ。」


俺はミユに案内してもらって倉庫に向かった。

倉庫もかなり広く、備品が項目別に整理されていた。

ホント、必要なものが簡単に手に入るって最高だな。

目的に合いそうな道具を一通り空間魔法で亜空間に収納したので、ラボに戻ることにした。


ラボに戻って一通りセッティングをしてみる。

机は重たいが無属性魔法のサイキックを使えば簡単に動かせる。

指先でひょいひょいと、いい感じに配置が終わる。

うん、とりあえずはこんな感じでいいだろう。

不便があればおいおい修正していけばよい。


あと足りないのは肝心のスライムとスライムの餌だな。

さて、スライムをどうやって集めようか?

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