第十五話 ヤミのささやき

2004年8月27日、金曜日 ~


 私の覚醒を知った宏之君がお見舞いに駆けつけ、今この病室に居る。

 正常な私の精神状態に彼はとても動揺をしていた。

 私は事故に遭い入院してから三年間ずっと眠ったままだった。

 それを私は今理解している。

 そして、その事を彼は酷く驚き動揺していた。

 自分の知っている事、香澄ちゃんと宏之君の関係以外の事、全部を彼に話していた。

 今、私の口から彼に何かを求めるように言葉を出していた。

「私はちゃんと今を理解しているの。だから、何を聞いても驚かない。ねぇ、だから、ちゃんと答えて、宏之君」

 驚きを隠せていない彼は動揺しっぱなしで言葉を出せていない。

 だから、強く彼に言う。

「答えて・・・、宏之君は今でも私の恋人なのよね?」

 どうして、私は彼にこんな嫌な聞き方をするの?

 藤原君が死との境界線で今のすべてを教えてくれたのに。

 宏之君と香澄ちゃんが付き合っているのを知ったのに、なんでこんな卑怯な聞き方するの?香澄ちゃんには感謝している。

 私が居ない間、彼を救ってくれたから、支えていてくれたから。

 でも、私って嫌な女。

 そんな彼女から宏之君を奪ってしまおうとしている。

 でも、私にだって彼が必要なの。

 宏之君が大好きだから、彼が居ない現実なんて要らない。

 彼が私の傍にいない世界なんて欲しくないの。

 それが叶わない様ならこんな所に戻って来たくはなかった。

 だから、私を信じさせて宏之君、アナタの口から私に言ってよ。

『私の事好をき』だ、って肯定して。


『今でも私の事を愛している』ってそう言って欲しいの、宏之君に。

 そうして、私を安心させて欲しいの。それに藤原君は教えてくれた。

 宏之君の心の中には私がまだ存在しているって。

 だから、口を動かし言葉を続けていた。

「・・・・・・、駄目なの?」

 一体この時どんな顔を創って彼にそう言っていたのでしょうか?

「フゥ、バカ言え、春香。俺はオマエの恋人だ」

 宏之君やっと望んでいた答えを返してきてくれた。

「ホント?」

「アァ、本当だ!」

「ホントォ~~~に、本当?」

「何度も、同じ事を言わせるなよ」

「だったら、宏之君態度で示して見せてよ」

 彼の言葉だけでは信じ切れなかったの。だから、言葉には出さなかったけどキスを彼に要求した。

 私の方から彼を促すよう自分自身の瞳を瞼で覆った。

 刹那な時が流れて、唇に彼の温盛を感じた。

 私は彼に執拗に迫り、彼の心を貪る様にキスを交わしていた。

 やがて、満足した私は私の方からその行為を終わらせていた様だった。

「春香、これで俺の気持ち、判ってくれたか?」

 宏之君はそんな風に言葉をくれていた。だけど、本当はこれくらいじゃ完全に信じ切れないけど、今は私の気持ちを彼に返しておく。

「私、宏之君の事、好きだからこの気持ち、今でも変らないから、だから、貴方を信じます」

「オオ、信じろ、春香!じゃ、俺帰る。これからバイトだし」

「無理しないでね」

「怪我人が言うセリフじゃねぇよ。それじゃな」

「バイバイ、宏之君」

 その言葉と一緒に彼は病室を去っていった。

 これから、宏之君は私と香澄ちゃんの元を行ったり来たりするようになるの。

 彼は私と彼女の間で何かに彷徨い、葛藤をするようになるの。

 でも、私はそれを黙認する事にした。

 だって、そう簡単に彼が香澄ちゃんとの仲を断つ事が出来ないのを勘で分かっていたから。

 彼の優しさがそうさせないって。

 彼の決断力の弱さ、優柔不断が彼を彷徨わせるって。

 だから彼の性格を分かっている積りの私はそう感じていたの。でも、それは私のエゴでしかないのに・・・。


~ 2004年8月28日、土曜日 ~

 早朝の診察の時、調川先生は藤原君が目を覚ました事を教えてくれた。

「今朝方ですね、貴女のお友達、藤原貴斗君が睡眠の欲求から開放されたようです」

「えぇっ、それって・・・?」

「変に、比喩してしまいましたね。彼が目を覚ましたのですよ。身体の方はかなりダメージを負っていますが脳波の方はとても安定しています」

「調川先生、彼の部屋にお見舞いにいけますか?」

「可能ですが・・・・・・、藤原君にお会いしても貴女の事は憶えていないでしょう」

「そっ、それって、どう言う事ですか?」

 どうして、先生がそう言ったのか不安になってそう聞き返していた。

「藤原君、彼、過去の記憶を取り戻し、新しい記憶を失ってしまったようです」

「過去の記憶?新しい記憶?何の事を言っているの?ごめんなさい調川先生、言っている意味がよくわかりません」

「貴女がご存知だったか私は知りませんが彼は記憶喪失だったのです」

「知っています」

「それなら話は早いです。彼のその記憶が甦った代わりに記憶喪失後に構築されていた記憶が失われてしまったようです」

「どうしてそんな事になってしまったの?」

「残念ですが、それは分かりません」

「そっ、そんなぁ」

 何故にこんなにも現実は非情なの?一つの事が解決したと思ったら、また新たな問題が浮上してくる。

 それの繰り返し。それはまるで終わりなきロンドのよう。

 表情が翳っていたのか調川先生は私を励ますように声を掛けてくれた。

「涼崎さん、確かに悲しい事かもしれませんが彼が新しい記憶を思い出すと言う可能性がない訳ではないのですよ。ですから気を落とさないでください」

「アリガトウ、御座います」

「話は変わりますが、今日から貴女にはリハビリをしてもらいます」

 そして、今日から私のリハビリテーションが始まる事を教えられた。

 私の身体は三年間も寝たきりだった為、筋肉が削げ落ち自由に歩けない状態。

 それを克服するためのリハビリだと先生に口にしていた。

 調川先生は〝頑張って三週間程続ければ私生活に支障ない状態まで戻す事が出来るでしょう〟とも教えてくれました。


*   *   *


 今はリハビリを終え、藤原君のいる病室へと車椅子を使って移動していた。

 彼に会ったら一体どんな言葉を掛ければいいの?私を忘れてしまっている彼にどんな表情をすればいいの?そんな不安を押し殺し彼の部屋の扉をノックしそこへ入る事を決意した。

『コン、コンッ!』

「涼崎春香って言います。お部屋に入っても言い藤原貴斗君?」

「す・ず・さ・き・は・る・か?涼崎春香なのか?」

 エッ?藤原君の今の言葉は私がその人であるかを確認する様な言い方。

 どうして?藤原君は新しい記憶がないって調川先生が言っていたのに、どうして彼はそんな言い方をするの?

 私の事を知っているかのような言い方をするの?

 若しかして、調川先生は私を驚かそうと思ってあんな事を言っていたの?

「ううん、そうだよ」

 期待と不安が入り混じった声で返事をしていました。

「ソッカ、良かった無事生還したんだな。そんな影にいないで顔を見せてくれないか?」

 藤原君にそう言われたので車椅子を移動させ彼の元へと向かった。

 何でか、藤原君の口調は私が知っているものではなかったような気がする。

 私は彼の間近にいる。

 彼は全身を包帯に巻かれとても痛々しい。

 でも、包帯の隙間から見せる彼の瞳は何故か温かくとても安らぎを与えてくれるそんな感じを受けた。

 宏之君の瞳に・・・、似ている。言い様のない心地よさを感じるの・・・。どうして?

 藤原君の前に来たのに黙ったままの私を見て彼は言葉を掛けてきた。

「どうした、黙ったりして」

「よかたぁ」

「なにがです?」

「だってぇ、調川先生、藤原君が私や宏之君の事を忘れちゃったって言ってたからとても不安になっちゃって」

「宏之くん?誰だ、そいつは?」

「えっ、何を言っているの?藤原君」

「俺は君の事を知っているが宏之と言う人物は知らない」

「藤原君・・・、冗談ヨねぇ?」

「俺はそう言う冗談は好きじゃないんだけど」

「それじゃ、あの時の約束は?」

「あの時の約束?・・・・・・?俺がなぜキミを助けたのか・・・、と言うことだな?」

 藤原君は何かを考えながら途切れ、途切れそんな風な言葉で私に確認してくる。

 暫く彼は目を瞑り再び、何かを思い出そうとしているようだった。

 それからゆっくりと彼はその説明を語ってくれた。

 どうして、藤原君は私を死の境界線から救い出す事が出来たのか?

 それは、同じ状況下にあった彼が命と引き換えにその尽きる魂の力で救ってくれたからだと彼は言葉にした。

 占いとか、お呪いは好きだけど、オカルトの様な物は信じていなかった。

 でも・・・、現に私は彼によって彼岸から、此方へと戻してくれたのだから、この事実をちゃんと受け止めないといけないの、これから彼が語ってくれることも。でも・・・。

 それから、どんな理由で彼はそこまでして私の事を救おうとしたのか?

 それは、私が事故に捲き込まれた原因が彼にあるからだと口にした。

 なぜ、命を使い果たしたはずの彼が生還出来たのか?

 それは、死の境界線で既に亡くなっている彼の知っている人が彼を救ったからだそうね。

 でも、その時の彼の言葉はどうしてか悲しそうな感じだった。

 どういう訳で、彼は過去の記憶を取り戻す事が出来たのでしょうか?

 それは、その人が彼の心を繕い彼の苦しみを取り払ってくれたからだと彼は言いました。

 どのような原因で彼は新しい記憶を失ってしまったのでしょうか?

 それは、その人の力が足りなかったからだろう、と彼は答えてくれましたが口調が曖昧でした。

 なんで彼は私だけを憶えているのでしょうか?

 その事だけ彼は私に答えてはくれなかった。

 唯、『分からない』とだけ言葉に出していました。

 彼の聞かせてくれた事を胸の中で整理していた。

 彼に言葉を掛ける。

「うぅん、違うの、私が事故に遭ったのは藤原君の所為でも宏之君の所為でもないの、誰の所為でもないのぉ。だから、藤原君、自分を責めないでね」

 目に薄っすらと涙を浮かべながら彼にそう答えたの。

「・・・春香、俺を赦してくれるのか?」

 今、彼は私の事を名前で呼んでいた。でも、今はそれを気にしていても仕方がない。だから、彼の言葉に返事を返す。

「許す、赦さないもないよ。藤原君は何も悪くないんだよ。それに私を凄く暗いヤミの中から救ってくれたじゃない」

「・・・、そうか、アリガトウ」

 藤原君それだけ言うと何かを考え始めるような仕草をした。

 暫くして、再び口を開く。

「ただ一つだけ春香に言いたい事がある。誰が原因でと言うのは関係なしにキミは三年間と言う月日を奪われてしまったこれは変えられない事実。だが、それがどうしても罪と言う意識で俺を縛り付ける。俺はその罪を償いたい。だから、もし春香が望むならオレの出来る事は何でもしてやる。俺のその気持ちが治まるまでは・・・」

「アリガトウね、貴斗君」

 どうしてなのか私は彼のその言い分を断る事が出来なかった。

 それを断りきれなかった所為でこれから先の数ヶ月、私は人との関係で苦悩する事になるの・・・。そして、また私の心に何かを感じていた・・・・・・。

 それの所為なのか彼が私を名前で呼んでいた様に私も彼を名前で呼び返してもいた。

 すべてを聞き終えた後、彼と話してから私は藤原君に彼の失ってしまった記憶を教えて上げようかどうか躊躇していた。

 でも、結局、言葉に出来たのは香澄ちゃんと詩織ちゃん、私が友達だったと言う事実だけだった。

 彼と詩織ちゃんの関係だけはどうしても口に出せなかったの。

 どうしてなのかそれは私にも分からない・・・。

 それは・・・・・・、若しかして、彼女を赦せなかったからなのかもしれない。

 どうして?詩織ちゃんは一度彼を見放しているから・・・。

 それから、話が尽きかけた頃に誰かが藤原君のお見舞いに来たの。

「貴斗、お見舞いに参りました」

 その声は私の知っている声。さっきまで話していた藤原君の幼馴染みの一人、詩織ちゃん、そして私の親友。

「アッ、詩織ちゃん、コンニチハ。」

「こんにちは春香・・・、ちゃん。具合はよろしいの?」

 彼女は私を心配してくれるようにそう言葉を掛けてくれた。

 私との遣り取りに藤原君が割って入り、詩織ちゃんに言葉を向けてる。

「ヘェ~、本当に知り合いだったんだ、春香」

 彼は私が話していた事からそう彼女に言ったんだと思う。

「えっと、そのぉ、6年ぶりぐらいか?ソッ、それとズッ、ずいぶん綺麗になったな、詩織」

 藤原君の言葉に詩織ちゃんは何か戸惑っているような感じ。

 彼の言葉は彼女からしたら普通ではなかったから無理もない。

「えっ、貴斗、いったい何を言っているのですか?」

「ああっ、えっ、だから6年ぶり、久しくあってなかったけど綺麗になったと・・・」

「6年ぶりって、貴斗!」

「詩織ちゃん、二人きりでお話しがあるの、いいかなぁ?」

 彼女のそんな様子がとても、もどかしくて誘うような瞳で彼女を見た。

 でも、何だか厭なココロが私の中を支配して行くそんな感じがしたのはどうして?


*   *   *


 今、詩織ちゃんと二人して病室の外にいる。彼女に藤原君の事を説明し始めた。

「詩織ちゃん、驚かないで聞いてね。貴斗君ね、昔の記憶を取り戻した代わりにね、その後からの三年間の記憶を失くしちゃったみたいなの。私達に会ってからの記憶。詩織ちゃん、貴女と彼が恋人同士だったって記憶を忘れちゃっているみたいなの」

「ネッ、春香ちゃん、春香・・・、嘘だと言って、嘘だって」

 彼女は必死になってその事を否定して欲しいって訴えてきたの。でも、私の口から出た言葉は残酷にも彼女を苦しめてしまうものだった。

「詩織ちゃん、今の貴斗君を見たでしょ。彼が嘘をつけるような人じゃないって知っているでしょう」

〈やめてぇよぉ、何で私は詩織ちゃんにそんな言い方するの。詩織ちゃんを苦しめるようないい方はよしてよぉ〉と心の中で叫んだ。

 そして、暫くまた廊下で彼女とおしゃべりは続いていた。

「ネぇェ、春香・・・・・・、ちゃん」

「エッ、何々・・・、アッ、分かった!私のこと呼び捨てにしたいって言うんでしょ?別に詩織ちゃんの好きなようにして良いわよ。だって私達親友でしょ?」

 彼女の今までの会話から察してそういったの。

 詩織ちゃんは私の言った事に吃驚したみたい。

 少しだけ間が空いてしまった。でも、また直ぐ彼女は口を開いてくれる。

「アッ、エッ、ア・・・、うん、ありがとうございます。春香、それでは私、帰りますから。お体をお大事に」

「詩織ちゃん、貴斗君とお話していかないの?」

「そうしたいのは山々なのですけど、今からはずせない用事がありますので」

「そうなんだ・・・・・・・・意気地なし。そんなんだと・・・・・・・・・奪っちゃうもん」

 彼女のそんな嘘の対応に心の中で嘲る様にフフッと笑っていた。

 貴斗君に別れを告げると詩織ちゃんをそこに置いて自分の病室へと戻って行く。

 その帰り際で心の中の自分に問いかけていた。

 宏之君の時もそうだけど、どうして私は彼や彼女達を傷付ける様な言い方をしてしまったの?

〈答えて、私!〉と心の中で叫んでいた。

 でも、答えなんて返って来るはずもなく、その叫びは虚空へと吸い込まれてしまう。

 正常に歩けるようリハビリをとても頑張っていた。

 どうして、そうするのかは出来る限り早く退院して宏之君や私を心配してくれる人達の不安を取り除きたいからかな。

 だから、痛くても、辛くてもそれを頑張るの。

 宏之君にこの事を話したら〝頑張れ!春香、お前なら出来る〟って応援してくれた。

 簡潔な言葉だったけど貴斗君も似たような事を言ってくれたの。

 だから、尚更頑張らなきゃ。


*   *   *


 毎日じゃないけど私が丁度リハビリを終え病室に戻った頃に宏之君が来てくれていた。

 彼と取り止めないお喋りに華を咲かせていた。彼は昔と変らず、私に優しい瞳を向けてくれる。

 時折、宏之君の目がどこか遠くを見ているような時があった。

 私ではない誰かを見るようなそんな感じで。

 その時だけ、私と彼の距離が離れてしまったように感じ不安に怯えてしまっていた。

〈私はずっと宏之君を信じて、好きでいられるの?〉とその不安の中でそう想う。

 彼に逢うたびにこの想いが強くなり始めていた。だけど、宏之君がお見舞いに帰った後どうしてか貴斗君に会いに彼の病室へと足を運んでしまうの。

 彼と色々なお喋りをする。それがとても楽しかった。

 宏之君とはまったく違う感性を持った貴斗君。対照的な二人。

 彼に会うたびに私の心の中に一つの感情が芽生え始めて来ていた。

 それはずっと昔に宏之君と逢った時と同じ感情。

 そして、それが日に日に増して来くるの。止められない。


~ 2004年9月18日、土曜日 ~

 今日も宏之君にあった後、貴斗君の病室へ足を運び彼の元でお話をしていた。

 今は彼の事を名前で呼ばせてもらっている。

 彼も普通に私の事を名前で呼んでいるの。

 それは昔から彼が誰でも関係なしに苗字じゃなくて名前やあだ名で呼ぶ癖があったらしく今もそれが続いているみたい。

 貴斗君は今でも体中に包帯が巻かれている。でも、それも徐々に本当に少しだけど少なくなっているようだった。

 彼は酷い怪我で苦しいはずなのに私と逢うたび優しい瞳で私を見てくれました。

 貴斗君は最近少しずつ本当に少しずつだけど新しい記憶を取り戻してきているって教えてくれたの。

 特に彼の親友である宏之君の事を、更に、私と宏之君の関係を。そして、今、私は貴斗君から詩織ちゃんの事についてとんでもない事を聞かされる。

「貴斗君、それ、本気で言っているの?」

「春香、何故そんなに驚く?」

 詩織ちゃんの事について彼に質問していたけど、彼の答えてくれた言葉を信じ切れなくて驚くように聞き返してしまっていた。

 生死の境から助けてくれたとき、貴斗君が詩織ちゃんに対する思いがどれだけ強いか知ったのにどうして?

『若し、詩織ちゃんが貴斗君に告白をしてきたらどうするの』と訊ねたら、彼は淡々とした口調で、

『それは受け入れられない』と答えを返してきたの。

「春香、もう一度聞きます。どうして驚いた」

「・・・、だって、貴方記憶をなくす前、詩織ちゃんと付き合っていたのよ!」

〈それに私は貴斗君の詩織ちゃんに対する想いをあの時知ったのにどうして〉

「・・・・・・、その事を春香も知っていたのですね」

「えっ、どういうこと?」

「八神慎治君、春香も知っているとおもう」

「うん、宏之君と貴斗君の大事なお友達。勿論、私にとっても」

「彼から以前の詩織と俺の関係は聞かされている。それに詩織には既にその結論を伝えてもいる」

「貴斗君・・・、・・・、・・・、冗談よね?」

「俺の話が信用出来なければ詩織に直接聞くといい」

 彼の言葉を聞いた時、心の奥で何かがうずいてしまった。

 彼の中に眠る詩織ちゃんの想いを知っているのに・・・、そんな彼に私は言葉を発していたの。

「ねぇ、貴斗君、若し私が貴方に恋人になって欲しいと言ったら?」

〈やめてぇーーーっ、どうしてそんな事を言うのよ、私!若し彼がそれに応じてしまったらどうするの?詩織ちゃんが悲しむような事やめてよ!っねぇっ、私。彼女が傷付く様な事はよしてよ・・・。彼女が私に何か嫌な事した?そんな事ないよ、彼女は私をいつもお見舞いのたびに励ましてくれていたのに・・・・・・・・・、私がしようとしている事は香澄ちゃんと一緒の事じゃない〉

 私は自分自身の心と対話をしていた。

《奪われたから奪い返すの》

〈奪い返すって?誰から何を?〉

《彼女の幼馴染みに宏之君を一時でも奪われたから彼女から貴斗君を奪うの》と中に何かが囁きかけていた。

〈いやぁーーーっ、駄目そんな事絶対しちゃだめぇーーーーーーッ!〉

 言葉には出せなかったけど、そう心の中で叫んでいた。

 でも、私の心の中の否定を無視するかのように貴斗君は答えをくれる。

「・・・・・・・・・春香はそれを俺に望むのか?」

 否定の言葉を出そうとしたのに一言も喋れなかった。黙ったままだった。

「春香がそれを望むなら俺はそれを叶えてやる。約束だからな。宏之との関係が修復するまでオレはキミの望むまま、振舞おう。必要としなくなったらいつでも捨てて構わない・・・、何時死ぬか分からないからな」

 彼は最後に何かを呟いていたけど、私には聞き取れなかった。だから、そんな彼の言った事に思ったままの答えを返していたの。

「貴斗君、冗談はよして」

「フゥ、冗談か・・・、ならどうしたら春香は俺を信じる?」と彼は嘲る様にそう聞き返してきた。

〈今なら私の言った言葉を冗談で終わらせられる。だからちゃんと彼に伝えなきゃ、私は香澄ちゃんの事も、誰の事も恨んでないんだから。もちろん貴斗君の事も。だから・・・、彼に甘えちゃ駄目!甘えちゃ駄目なんだから・・・〉

《駄目よ、自分に正直にならなきゃ》

 また、私の中に嫌な言葉が囁いていたの。

 私の口がその囁きに仄めかされて勝手に動いてしまう。そして、私は彼にキスを要求してしまう。

「貴斗君の言葉が冗談じゃないのなら、行動で示してよ。私にキスしてみせて!それが出来ないんだったら私は信じないよ」

〈ダメッ!貴斗君。私の言葉を真に受けないでお願いッ〉

 私は私の意思?と反した言葉を彼に言っていたの。

「俺は余り体が動かせない、だから、もう少し近くに来てくれないか?」

 貴斗君のその言葉に心が惹き寄せられるように、私の身体は彼の方へ近づいて行ってしまった。

 彼の手の届く範囲に到ると、彼は怪我していない方の手で私の頬に触れてきたの。そして、ゆっくりと柔らかく優しく貴斗君は私の唇を彼の唇で覆い被せていた。

 どのくらいの時間が流れたのでしょうか私には分からなかった。

 それから、いつの間にか彼の方からその唇を放していた。

〈・・・、私は取り返しのつかない事をしてしまった〉

《違う、これは私の望んだ事》

〈そんな事ない、私には宏之君がいるのにこんな事をしても意味ないよ、いい筈ないよ〉

《本当かしら?私は彼を信じているの?》

〈・・・・・・・・・・・・・・・〉

「春香、どうして涙を流している?俺は間違った事をしてしまったのか?」

 彼が言うように今私は涙を流しているのでしょうね。それを確認するように自分の手でそれを拭ってみた。ヒンヤリとした感触が私の人差し指につたってきた。そして、彼に言葉を創って返していた。

「違うの、嬉しかったからうれし泣きなの」

 私の口にするその言葉は勝手にどんどん違った方向へと進行してしまう。取り返しのつかない方向へと向かって。

「そうか、だったら泣くより笑って応えて欲しかったな」

 貴斗君の言葉に私の顔が微笑へと換わっていた。

「うん、女の子は笑顔が一番だ」

 昔、小さい頃、彼から聞いた事がある様な言葉が返ってきていた。

「春香の笑顔を見たら何だか眠くなって来た、君に悪いが休ませてもらうよ」

 彼はそう言うと静かに身体を寝かせ本当に眠りについてしまった。

 そんな彼の姿を見ながら私は指を自分の唇に当て、さっき彼の感触が嘘でなかったかどうか確かめるような仕草をしていた。

 そして、複雑な気持ちで私が居るべき病室へと戻っていた。

 それからはベッドの中で分からない感情のまま静かに涙を流している自分に気付いたの。


~ 2004年9月19日、日曜日 ~

 リハビリの為に今トレーニングルームにいた。昨日の行動は一体なんだったのでしょうか?でも、もう貴斗君は私の恋人になってしまった。

 本当は許されるはずないのに、いけない事なのに、私の心はそれを否定していないの。

 寧ろ、喜んでいる。

 じゃあ、宏之君に対する気持ちが薄れてしまったの?・・・、

 それも違う、貴斗君を好きになって行くように宏之君の事もどんどん好きになって行っちゃう。

 私は一体どうすればいいの?でも、今、自分の気持ちの整理をつかせないまま、必死になって歩行練習をしていた。

「春香ちゃん、がんばってぇ!目標まであと一息よ!」

 リハビリの付き添いに看護婦の玲子さんと愛さんが毎日交代で看てくれていました。そして今日は玲子さんの方だった。

 両サイドの歩行補助手すりに手を掛けながら一歩、一歩前進していた。

 目標の玲子さんが立っている所まで9m。

〈9・・・、6・・・、3・・・・〉と心の中で縮まる距離をカウントしていった。


「ハイッ、到着!春香ちゃん、今日もいっぱい頑張ったわね。これなら再来週仮退院、確実ね」

 彼女は私を励ましてくれるようにそう言ってくれる。

「玲子さん、有難う御座います。もっと頑張って早く退院したい」

「フフフッ、そうね、早くそうして貴女の恋人を安心させてあげなさい」

 彼女はそんな風に言ってくれるけど・・・、私の恋人って誰?

 宏之君、それとも貴斗君?

 決められない。二人とも好きになってしまったもの。

 私って嫌な女の子。

「今日のリハビリはこれで終了、病室に戻りましょう」

 玲子さんにそう言われたから壁に立てかけていた松葉杖に手を掛けた。

「よいしょっ」と掛け声を自分に掛けそれで歩行を始めようとした。

「頑張るのもいいけど無理も禁物だからネ、春香ちゃん」

 調川先生に無理にお願いをいって今日から車椅子じゃなくて松葉杖を使わせてもらう許可をもらっていた。

 でも、一日中ズぅッと使うって訳じゃない。少しの距離を歩く時にだけ。そして、それを使いながら玲子さんと一緒に病室に戻って行った。

 自分の病室に戻りベッドに腰をかけると他に仕事がある玲子さんは直ぐに挨拶し、この場から去って行く。

 少しの間ベッドに腰をかけながら色々な事を考えたの。

 宏之君の事、貴斗君の事、詩織ちゃん事、香澄ちゃんの事、そして、自分のこれからについて。

 二人の男性を同時に好きになってしまった私は一体どうすればいいの?

 詩織ちゃんにこの事を何て話せばいいの?彼女だって自分の恋人が友達に取られたとなったら普通ではいられないはず。

 香澄ちゃんに私の今の気持ちを伝えたらもう友達でいられなくなっちゃうのかな?

 期待、不安、嬉しさ、悲しさが同時に込みあげてくる。

 複雑な心境でいると部屋のドアを『コンコンッ』とノックする音が聞こえて来た。

「ハイ、どうぞ」

「春香ァ~~~、時間取れたから見舞いに来たわよぉ」

 声の持ち主はさっき考えていた中の一人だった。隼瀬香澄ちゃん。

「香澄ちゃん、いらっしゃい」

「元気してたぁ~~~?」

 彼女は私の安否を気遣う様にそう声を掛けてくれた。

 さっきまでしていた複雑な表情を取り払い、笑顔で彼女に答えをかえしていた。

「うん、ヨシヨシ、元気そうだね」

 香澄ちゃんに椅子を進めて、しばらく話を交わした。

 彼女の楽しい?お喋りもそろそろ終わりを告げようとしていた時、私は感情の赴くまま香澄ちゃんの心を痛めつける言葉を言ってしまうの。

「香澄ちゃん、私のいない間、宏之君を支えてくれて有難うね。貴女が彼と今どんな関係なのか知っているの。・・・、でも恨んだりしないから」

「エェッ!!何で春香がその事、知ってんのよっ?宏之はまだその事アンタに言ってない、って言っていたのに」

 私が口にした言葉に彼女は驚愕と不安の色を同時に見せていた。

「・・・私がそれをどうして知っているのか、誰から聞いたのかはどうでもいいの。でもね、宏之君が貴女の元から私の元に戻ってきても私を恨まないでね」

 香澄ちゃんにそんな言葉を平気で口にしていた。

『ビシッ!!!』

 彼女が目に涙を流しながら私の頬を叩いていた。

 彼女はそれをすると何も言ってくれないでこの場所から去ってしまった。

 叩かれた頬を撫でながら何かを考えていた。

 あんな事を言われたら香澄ちゃんだって腹が立って当然、平手打ちをしてきてもおかしくない。でも、今、私は罪悪感と言うモノを感じていなかった。

 その感覚が麻痺してしまったの?どんどん自分が厭らしくなって行っている。

 今、私がしている事は悪い事なの?

「誰か答えてよぉ!」

 そんな言葉を誰もいなくなったこの病室で独りそんな風に口にしていた。でも、今、その声はただこの空間に誰に聞かれる事も無く空しく響きわたり消えて行くだけだった。

 もう、みんなとの関係はあの頃の様には戻れないの?その考えさえも今は唯虚しく私に心の中で散り行くだけだった。

 香澄ちゃんにあんな言い方したのに私は彼女との仲を終わりにしたくない、そんな風な我侭な気持ちも同時にこみ上げていた。

 それの所為で、誰も居ない静かな部屋で独り、独りで悩みもがき続け泣いていた。

 どうして、どうして、こんな風になっちゃったの?やっぱり、私があんな事故に巻き込まれちゃった所為なの?こんなに長い間、目を覚まさないで居た所為なの?どうして・・・。


~ 2004年9月20日、日曜日 ~

 昨日、香澄ちゃんにあんなに酷い言葉を口にしてしまったから、もう二度と私のお見舞いになんか、来てくれないと思っていたの。

 でも、彼女は二日と経たない内に、私の所を訪れてくれた、面会ぎりぎりの時間に。

「はるか・・・、・・・、・・・、その、昨日はごめん、あんたの事をひっぱたいたりして、あんたが悪いわけじゃないのにね・・・」

 香澄ちゃん、両瞼を細めるその双眸は私を捉えて居ない、私の方を向いていない。

 何かの感情を押しとどめるようにした唇を噛んでいるその表情、右手でスーツ胸元の部分を握り締めているその姿、香澄ちゃんから本当に昨日の事を謝っているって雰囲気を感じ取れる。

 悪いのは香澄ちゃんだけじゃないのに・・・。でも、私は彼女の心の奥底まで覗くなんて出来ないから、どうして、そこまでして彼女がそんな風に謝ってくるか、なんて分かるはずもなかったの。でも、香澄ちゃんに何時までもそんな風な姿で居て欲しくないから、言うの、

「香澄ちゃん、いいの、いいの。香澄ちゃんが感情のまま私の事をひっぱたいた事で、私は怒ったりしないよ・・・、・・・、・・・、だって、だって私だって、若し同じ立場だったら、香澄ちゃんの事をひっぱたいちゃっているかもしれないからね」

 その言葉に香澄ちゃんは完全に瞳を閉じ切り、溜息を吐いていたの。

 そして、聞こえたけど小さな声で

〝ご免、それとアリガト〟

て言っていた。私の傍に来てくれるようにお願いして、彼女が、私の目の前においてある椅子に座ってから、また私の方から話しかけていた。

 若し、私と香澄ちゃんの立場が逆で、もとから、宏之君が彼女の恋人で、香澄ちゃんが私と同じ状況になっていたら、宏之君の心が壊れてしまいそうな、そんな現実に私がそこに居たのなら、絶対に香澄ちゃんと同じ行動をとっていたと思うの。

 でもね、私のその言葉に香澄ちゃんは言う。

「フッ、笑わせないでよ、春香?あんたが、あたしと同じ事するって、ありえないわよ、そんな事。そんな度胸、あんたのどこにあるって言うの?」

 彼女は呆れた表情を私に見せながらそんな言葉を口にしてくれた。

 彼女は別に嫌味を言っているわけじゃない。

 私を馬鹿にして言っているわけじゃないの、それは事実だったから、宏之君と付き合う前の私なら有り得ない事、でも、その後の私だったら・・・。

「それはずっと前の私、宏之君と一緒になってからの私だったら・・・。うぅうぅん、それも違うよね。香澄ちゃんや詩織ちゃんがいてくれたから・・・、少しずつ私を変える事が出来たの」

「春香・・・、嬉しい事言ってくれるんだね・・・」

「ねぇ、香澄ちゃん、私たちの仲はもう戻すことが出来ないの?昔みたいに、みんなで笑えるようにはいられないの。私は、私は・・・、ずっと、ずっと香澄ちゃんや詩織ちゃんとお友達でいたいのに・・・」

「春香・・・、・・・。どうしてこうなっちゃったんだろう。分かっている事、全部・・・、わ・・、が・・・るいのよね・・・私が」

 香澄ちゃんはまた一瞬だけ、私には分からないくらいのわずかな時間、辛そうな表情を作っていた。

 何かを呟いているようだった。

「えぇ、何か言っているの香澄ちゃん?」

「なんでもない、なんでも・・・。でも、私だってあんたとはずっと上手くやって行きたいけど、やって行きたいけど、全ては宏之しだいなのかもしれない・・・。ご免、本当はこんな話をするつもりで来たんじゃないのに。しらけちゃうわね、まったく」

 香澄ちゃんは両腕を胸下で組むとまた溜息を吐く。

「また、香澄ちゃん溜息吐いたね、クスっ」

「しょうがないでしょっ、こう見えても色々と悩みも多いし、苦労してんのよ。まあ、あんただって、三年近くも眠ったままだったんだから、その分を取り戻すのに苦労するでしょうけどね」

「フフッ、それは宏之君とかのことかな?」

「笑い事じゃなんだよ、あんた。まあ、いいわ。もう面会時間も終わり見たいね。仕事もまた忙しくなり始めたし、多分、あんたが入院中、見舞いにはこられないかも。あと一週間とない内に退院なんでしょ?」

「今月の27日、香澄ちゃん、それと詩織ちゃんは来てくれるの?」

「私はまだ、分からないは。でも、しおりンは無理ね。今はね、国家試験の試験勉強中で殆ど手付かずよ」

 本当に、そうなんだろうか?

 やっぱり、会話中に詩織ちゃんの事とか貴斗君の事一切話してくれなかった彼女。

 香澄ちゃん知らないの、私と貴斗君の今の関係?詩織ちゃんは今、確実にその事で悩んでいるはず、試験どころじゃないと思うの。

「どうったの、春香?なんか不思議そうな顔しちゃってさぁ」

「なんでもないの、気にしないで。それよりも、できるなら私の退院の日、来てくれると嬉しいなぁ~~~、なんてぇ」

「ハッキリとした返事は返せないけど、取り敢えず気には留めておくわ、そんじゃ、本当に帰るから・・・」

 香澄ちゃんは言葉と一緒に手を振って私の病室から出て行きそうになるのをふと思いついた事があって呼び止めていた。

「待って、香澄ちゃん。たか・・・、えっとその藤原君の藤原君のお見舞いには行って上げたの?ねえ、香澄ちゃん?」

「えぇぇっと・・・、そのまだ・・・、でも、今はなはははっ、そんじゃマジでバイバイね」

 香澄ちゃん、無理に笑顔を作ると私の答えをはぐらかしたまま、行ってしまう。

 彼女が貴斗君に会いに行かない理由なんとなく分かっていた。

 それは彼がここに入院してしまう切っ掛けを作ってしまったのが彼女だと思い込んで居るだろうから・・・、貴斗君に逢う事を怖がっているの。

 躊躇っているの彼に会うことに・・・、でも、今はそれの方が都合いいのかもしれない。

 はぅぅ、そんな事を思ってしまう私自身に嫌気がさすけど・・・、でも・・・。

 何で、私は彼女との会話中あんなに冷静で居られたのか不思議に思えてしまう。

 普段の私なら、自分から口を滑らせて言ってしまいそうな事も今回はなかった。

 宏之君を好きであるのと同じくらい、香澄ちゃんの幼馴染だった男の子の貴斗君にまで惹かれている事を彼女に言ってしまう事はなかった。

 香澄ちゃんその事を耳にしたら、一体どんな反応を返してくれるんだろう?

 でも、そんな事、怖くて言えるはずない。

 今以上に私たちの関係がおかしくなってしまうように思えるから・・・。

 でもね、宏之君と貴斗君、私の二人を好きになる感情の暴走はもう止められそうもない・・・。

 このまま突き進んで、私が皆をバラバラにしちゃうのかな、私が全部壊しちゃうのかな・・・、・・・、・・・、それだけは絶対嫌、嫌、そうなって欲しくない。

 でも、これから先も恋するこの我侭な感情の起伏は激しくなるばかりだった。

 皆を傷つけるだけしか私には出来なかった。

 私の本当の想いとは裏腹に・・・。

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