第48話 まあ大丈夫だろう

「風早と病院関連は、まあ大丈夫としとくかな」


拷問を一通り終え、全員眠らせてから亜空間に放り込む。


風早剛一郎は、一族の人間に不法な移植の件を伝えていないとの事。

それどころか自分の体の状態すら伝えていない様だった。


理由は――


少しでも弱みがバレると、内外問わずハイエナが押し寄せてきて自分を食い殺そうとするから。

だとよ。

外敵はともかく、どんな親戚家族仲だよ。


「風早剛一郎は家族を守る為、出鱈目言ってる可能性もあるっちゃあるが……」


どれだけ地獄を見せても、口を割らない奴は存在する。

まあそれがあの男に当てはまるかは分からないが、堅固な精神で嘘を吐いている場合、短期間の拷問で口を割るのは難しい。


え?

それは他の奴らも当てはまるんじゃ?


それなら問題ない。

他のは情報源が多く、答えのすり合わせが出来ているからだ。

裏が取れないのは、情報元が単一の風早家関連だけである。


まあそいつらも、身内にぽろっと情報を漏らしてる可能性もあるが……


流石に風早剛一郎の為にその娘攫ってきて、移植手術したなんて詳しい話はしてないだろう。

この手の仕事に従事してる奴がペラペラ周りに情報を吹聴してる様なら、こんな商売成立しないだろうし。


漏れてもふわっとした程度の情報。

その程度なら、そこから山田んちに繋がる心配はない。


「ぶっちゃけ……万全を期すなら、山田んちを除く風早一族皆殺しが一番確実ではあるんだよな」


けどまあ、流石に俺もそこまで無情な真似をする気にはなれない。

風早剛一郎の話を聞く限り、家族の弱みに攻撃を仕掛ける様な屑が多いらしいが、全員が全員そうだって訳じゃないだろうからな。

現に山田の母親みたいな例もある訳だし。


それを無差別に殺すのは、流石になぁ……


「ま、山田達にはタリスマン渡しとけばいいか。今回、大量にタリスマンのを手に入れたし」


今回倒したレベルの相手なら、タリスマンを破られる心配は薄い。

攻撃を延々繰り返された場合は魔力切れが懸念されるが、そもそも攻撃を受けた時点で俺が認識するので、対処はどうとでもなる。

なのでタリスマンを渡しておけば、まあ大丈夫だろう。


「さて、じゃあ山田んちにお袋さんを届けてやるとするか」


帰りが遅いと母を心配させてしまうからな。

夕食時までには帰らないと。

亀井会を処分するのは深夜になってからだ。


そいつらに関しては……


ま、余程の末端以外は処分でいいだろう。

情報収集に時間をかけまくる気もないし、どう考えても救いのない屑の集団みたいだしな。

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