第84章 地球が凍える?⑤

 大王が去った地球では、地下に避難をしていた人々が地上に出てきて、それぞれの生活再建を初めていた。


「ようやく人間たちに平和が訪れましたね」

 キアヌが安堵したように、ガーピスの顔に眼をやった。


 体が元に戻ったガーピスは、キアヌの言葉に少し頷いて応じた。だが、まだ警戒を解いてはいなかった。

 なぜか大王があっさりと地球を去っていったからだ。また地球に戻ってくる可能性もある。それに備えて防衛対策をいまからでも、すぐに準備しないといけない。


「火星はどうなっただろうか?」

 ガーピスは改めて訊き返すように、空に眼をやり声をあげた。


「ゲバラと宮島さんが、彗星衝突回避の準備を進めているはずです」

 キアヌが即座に答えてきた。


 それは訊かなくても知っていることだ。だが、ガーピスは言い知れぬ不安を感じていた。大王が地球を捨てるように去っていったことと、なにか関係しているようにも思えたからだ。


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