第81章 不死鳥のごとく④
俺のひどく落ち込んだ姿に気を使ったのか、治療室を出ていたゲバラとジュンが、側にやってきて少し休むよう促してきた。俺はアリーナの傍を離れなかった。アリーナの死、など到底受けいれることはできない。胸が張り裂けそうな気持ちを、どうにかなりそうな頭をかろうじて正常に保ち、哀切な眼で変わり果てたアリーナの顔を見つめた。
「ア、 アリーナ……」
見つめたまま、唇を震わせ声を落とした。涙が目尻に溜まり、頬に零れ落ちていった。彼女との思い出が、走馬灯のように頭に浮かんでいた。
始めは、彼女が大っ嫌いだったのに、いまは……。誰もいなければ、大声を上げて泣きたかった。俺は堪えきれず、咽び泣いた。
先に死ぬのは、年寄りの俺が先だ。おまえは、まだ死ぬのは早いぞ。涙を流しながら、心で訴えた。
ヒューマノイドが再生できないほど、ダメージを負いながら、俺を守ろうとして。
もう、おまえは……俺にとって。大事な、大切な存在だ。
胸が本当に張り裂けそうだった。
「アリーナ……」
彼女にしがみつくように腰を落とし、涙を流し続けた。
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