第52章 衝突回避に着手⑤
心配していたことが、本当に起きてしまった。自分たちが乗ってきた船の核燃料を使うという情報が、いったいどこから漏れたのか? 住民が騒ぎだした。
「みんな! あいつらは、衝突の回避ができるかもわからないのに、俺たちの大事な船を壊すつもりだ。それでいいのか!?」
ホラップが指導者にでもなったかのような顔して拳を突き上げ、集まった群衆にがなり声を飛ばした。
「いや、そんなことは絶対にさせない! みんなでやめさせるんだ!」
男の一人が叫んだ。
「そうだ! 俺たちの船を守ろう!」
別の男が同調した。
二人とも、ホラップの手下だった。いわゆる桜だ。
「そうだ、そうだ。みんなで船を守ろう!」
同調する声があっちこっちから上がってきた。
「みんなで船を取り返しに行くんだ!」
ホラップの声に扇動され、集まった大半の群衆が船に方向に向かって、牛や羊の群れのように歩き出した。
その数は数百人から数千人へと膨れ上がった。中には、どこから手に入れたのか、武器を所持している者たちもいた。
暴徒化した群衆は宇宙船を格納してある駐機場になだれ込んできた。警備員たちも住民が相手では、銃を使うこともできない。誰も制せずにいた。
このままだと、ホラップたちに宇宙船を占拠されるのは確実だ。力ずくで取り返そうとすれば、下手をすれば銃撃戦で死者が出る恐れもある。
この騒動を止めようと、駆けつけてきたマルコフたちの必死の説得など、誰もが聞いてくれず、むしろ罵声が飛び交った。一触即発のような様相になった。
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