第49章 ガイガー帝国④
西の上空からゴゴォーという! 空気を切り裂くような飛行音が聞こえてきた。木々が途切れた合間から空を見上げると、シールドを飛び出していった戦闘機たちだった。戦闘を終えて戻ってきたようだ。どうやら、大王軍の攻撃は失敗したようだ。
「あの上空にシールドがある限り、いくら攻撃してもガイガーを倒せないわ。攻撃は失敗したわけではないわ。わたしたちを侵入させるための囮よ」
楊貴妃が横に並ぶようにして空を見上げながら吐いてきた。
「シールドを消せば、総攻撃できるようになる」
眼に見えないシールドを睨むようにしながら言葉を続けてきた。
「あなたはガイガーを直接、自分で殺害することを考えているようだけど、わたしたちが百人いたとしても、それは絶対に無理よ。彼の力は、あなたが考えている以上に強力よ」
今度は眼を合わせて強い声で告げてきた。
ゲバラはすぐには声を返さず、楊貴妃の顔をじっと見た。
「それで? どうやって、ガイガーを倒す?」
ゲバラは楊貴妃と眼を合わせたまま、少し声を落として訊いた。
「シールドの装置を破壊する。そして200か所から核弾道弾で攻撃する。そのうち一発でも迎撃を避けてシールドが元に戻る前に中で爆発したら、ガイガーたちは全滅する」
楊貴妃が淡々と説明してきた。
「なるほど。ということは、シールドを破壊した俺たちに、逃げる時間はないということか」
ゲバラも平静な顔で訊き返した。
「あなたの目的はガイガーを倒すことでしょ。この方法以外に、ガイガーは倒せないわ」
楊貴妃も顔色一つ変えずに返してきた。
「確かに、俺の目的は、ガイガーを倒すことだ。だが核を使えば、ここにいる全員が死ぬことになる」
ゲバラは少し強い口調を吐き、全員に眼をやった。
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