第49章 ガイガー帝国②
擬態機から降りたゲバラたちは原野をかき分けて、シールドが張り巡らされた地点から500mほど離れた荒れ地に身を伏せていた。しかも都合のいいことに濃霧で四方八方、視界不良だ。目には見えないが、楊貴妃と名乗った女たちのリーダーの話では、ここから先は透明なドーム状の巨大シールドにすっぽりと覆われていて、小さな虫さえも中に侵入できないそうだ。これまで仲間が何度も侵入しようとしたが、焼け焦げにされていた。
だが、侵入のチャンスが出てきた。北極海の大敗でガイガー軍の戦力が落ちたことで、大王軍が攻勢をかけるらしい。
「もうすぐ、攻撃が始まる。見ていて。シールドの一部が開いてガイガーの戦闘機が飛び出していくわ。わたしたちは、その穴が閉じる前に侵入する」
楊貴妃が前を睨みながら説明してきた。
ゲバラは北西の上空に眼をやった。目を射るような無数の白い閃光が走り、500m先の上空が巨大花火の乱れ撃ちのようになっていた。ドドーン! シールドに弾き返されたレーザー弾の破裂音が次々と聞こえてきた。すると、スズメバチの大群のように、次々とシールド内から戦闘機が飛び出してきた。
「いまよ」
楊貴妃が声を上げると、ゲバラたちも女たちの尻を追って、いや後に続いて空中に飛び出した。ゲバラたちはシールドに触れないようにしながら空中で待機し、最後の戦闘機が出ていくのを待った。
「行くわよ」
楊貴妃の声を合図に、ゲバラたちはシールド内に侵入した。
そしてすぐさま地面に降りた。このまま長く空中に留まっていたら、いくら擬態で体が見えないとはいえ、レーダーに捕捉されてしまう。
ゲバラたちは、また草木や岩に擬態しながら走り続けた。
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