第40章 AI覇権戦争④

 大王軍の戦力は、ガイガーとほぼ互角だった。いや一時は優勢だった。だがアフリカの争奪戦で大敗北したことで流れが変わった。遅かれ早かれ、大王帝国は滅亡するだろう。そうなると、ガイガーが地球を完全に支配することになる。大王も極悪だが、ガイガーのガーピスたちへの攻撃を減らしてくれる面もあった。その大王が倒されたら次の標的は、ガーピスと生き残った人間たちだ。


「予想外の展開だな」

 ゲバラは画面を睨むように見ながら、声を零した。


「みんな作戦変更だ。あの上空で命令を出しているガイガーも、本物ではないことが判明した。あそこにいるのはアバターだ。本物は旧合衆国にいる」

 ゲバラは、戦闘機の操縦席で待機している全員に周知した。


「これから、大王軍を助ける」

 ゲバラは特殊な副音声に切り替えて指示を出した。万が一、ガイガー軍に傍受されても中身を知られないようにするためだ。


「え? 大王軍を?」

 部下の1人が驚いた声で訊いてきた。


「ああ、そうだ。まずは、あの巨大ロボットたちの進撃を止める。みんなロボットの眼を狙え。視界を遮れば、後は大王のロボットたちが片づけてくれるだろう」


 ゲバラは作戦を指示すると、暗号を送った。送った先には、25機の別動隊が待機していた。東シベリア海の海中だ。当初の作戦は、両軍の戦闘を利用して、ガイガーが乗っている旗艦を急襲する計画だったが、アバターを倒しても意味がない。

 ゲバラたちは海面を飛び出した。


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