第39章 アリーナ誕生②
呼び名なんて、どうでもいい話を終えた俺とジュンは、施術台でまだ昼寝をしている、いや眼を閉じ横たわっているアマールの前にやってきた。
新しく生まれ変わった、アマールの姿を眼にして驚いた。美しい金髪は黒髪に代わり、顔も以前より柔和になったように見える。人間の若い女に混ざってもヒューマノイドとは誰も気づかないだろう。ただし、その美しさは飛びぬけているが。
「彼女はもうアマールではありません。新しい名前は、アリーナです」
ガーピスの言葉を思い出した。
そうだ。目の前の女は、もうアマールではないのだ。アリーナという名前の女だ。その名前で思い出した。フィギュアスケートのオリンピックの金メダリストと、同じ名前だ。そのゴールドメダリストも絶世の美少女だった。金髪が黒髪になったことで、どこか似ているようにも見える。
「この女、生きていたのか!」
ジュンが怒声を上げると、レーザー銃を腰から取り出し、アマールに、いやアリーナに銃口を向けた。
「ジュン! やめろ!」
俺は銃口を遮るように、ジュンの前に立ちはだかった。
「宮島さん、いや、ジーヤ、そこをどいてください! この女はガイガーの手下です! 生かしていたら、人間がどんな目に遭うか」
いっそう強い口調で声を飛ばし、いまにも引き金を引きそうに構えていた。
「俺は彼女に助けられた。撃つなら、俺を先に撃て!」
俺は両手を広げ、声を張り上げた。
その言葉が彼女に聞こえたのか? アリーナの目尻が少し濡れていたことに、ジュンを制止していたことで、俺は気付かなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます