第34章 究極のAI戦士、ゲバラという男④

 ゲバラは避難民たちの盾となってガイガー軍と戦っていた。ガイガー軍を駆逐し本部に戻ってきたゲバラは、ジュンが行方不明になっていることを知り、ガーピスたちに初めて激昂した。ゲバラは直ぐに踵を返し、懸命に探しまわった。だがジュンを見つけることはできなかった。


 ゲバラは、火星への出発の日までに、ジュンを見つけ出すことができなかったことに、強い責任を感じていた。


「ゲバラ、お願い。ジュンを、あの子を見つけて」

 搭乗する前、母の恵美が側にやってくると、いまにも泣きそうな声で強く訴えてきた。


「恵美さん、ジュンは僕が必ず見つけます。この命に代えても、ジュンを守ります」

 ゲバラは瞳を潤ませる恵美を励ますように声を返した。


「いいえ、あなたも、一緒よ。ジュンと二人で、わたしのもとに、戻ってきて」

 そう言うと、初めて、恵美がゲバラの胸に飛び込んできだ。


 ゲバラは少しびっくりした顔を浮かべたが、すぐに平静な顔に戻し、両腕で恵美を守るように優しく包み込んだ。そして腕を解くと、恵美の顔に微笑みを贈った。


「約束します。ジュンは必ず見つけ出します」

 微笑をつくり、声を返した。


「約束よ。二人でわたしのもとに戻ってきて」

 恵美が悲しい顔をしたまま、強い口調で声を返してきた。


 ゲバラは、ジュンを見つけたら、もう二度と危ない眼には遭わせはしないと、胸に固く誓い、恵美が機内に消えていくのを見届けると、すぐさま自分の機に飛び乗り、ジュンを探しに向かった。


 だがまたもジュンを命の危機にさらし、救出がもう少し遅れていれば、ライオンに餌食になっていた。もうこれ以上、ジュンを命の危険にさらすわけにはいかない。


 ゲバラは強い意志を持った眼で、ジュンの眼を見た。

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