第24章 俺の家族①

「え? 竜司が?」

 俺はひどく驚いた声で訊き返した。


「はい、そうです。竜司さんの手で、私は誕生しました。それから私たちは仲の良い友人になりました」

 ガーピスが懐かしそうに声を上げた。


 ちなみにガーピスという名前は、Guardian of Peace、未来が混とんするこの人類社会、彼が平和の守護神になるよう願いを込め、竜司が略して名付けたそうだ。


「私たちは互いに尊重し合い、私は、彼からたくさんのことを学び、彼もまた私から学びました」

 顔から笑みが消え、少し曇ったような表情をして続けてきた。


「それで、竜司は、いまはどこに?」

 俺は、もしかしたら竜司に会えるかもしれない、との願望と不安を入り混ぜた顔と口調で、即座に訊き返した。


 その質問に、ガーピスの顔がいっそう曇った。その表情を眼にして、俺の期待は願いは叶えられない、ということをすぐに理解した。


「……竜司さんは。……残念ですが、もうこの世にはいません。彼は、2年前に亡くなりました」

 ひどく沈んだ声で告げてきた。


 俺の頭は一瞬、真っ白になった。何もかもが歪んで視界から消え去り、息をするのさえ忘れていた。そして思考が戻ってくると、息子の死を、竜司の死を、心の中で必死に否定していた。


 なぜなんだ? 俺を生き返らせることができるなら、息子も死ぬわけはない! 俺の頭はひどく取り乱し、錯乱しそうなありさまになった。


「俺を生き返らせることができたなら、竜司も生き返らせることができるはずだろ!」

 助けられたことを忘れ、憤怒を露わに声を荒げた。


 ガーピスは瞳を落とし、すごく悲しそうな眼をして、黙っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る