第21章 予想外の仲間①
飛行ロボたちを破壊した相手は、300メートルほど後方の上空にいた。ここから遠いので戦闘機なのか、空飛ぶタクシーなのかはわからないが。その正体を識別しようとする間に、ものすごい速さでこちらに飛んできた。あっという間に側に近づいてきた。機体は意外にも大きかった。CG制作のSF動画にでも登場しそうな斬新な形状をした飛行物体だった。
ひょっとして、茶の間のネタになっていたUFOは、これなのか? なぜか変な想像をしている間に、俺のすぐ横に静止すると、円盤の後方が自動ドアのように開いた。
「さあ、それに乗って」
アマールがワイヤーを登りながら声を張り上げてきた。
俺はその催促に反応して、物体に乗り込んだ。続いてアマールも飛び込むように入ってきた。
「アマール、大丈夫か?」
操縦席の人物が声をかけてきた。声からして、男だ。人間であれば。
「大丈夫よ、カストロ。さ、行って、またすぐに襲ってくるわ」
すぐに応えると、外を一瞥していた。
俺は二人の会話を耳にしながら、さっきまで必死に逃げ回っていた建物に眼をやった。最上階から1階まで半分以上なくなっていた。さらに瞳を動かし周りを見渡すと、爆心地から2~3キロの範囲は見るも無残な光景になっていた。無傷の建物はなかった。中には横倒しになって倒壊している建物もあった。
改めて隕石の破壊力を思い知らされた。
落ち着きを取り戻してきた俺の胸の内に、疑問がわいてきた。超高性能の機能を有している飛行ロボたちのレーザー弾が、なぜ俺に当たらないのか? すごく不思議だ。別に当たってほしいと、願っているわけではない。ひょっとして、AIたちが俺を弄ぶために、サル芝居でもしているのか? だから、冷徹だったアマールが、いきなり味方になったふりをしているのか?
俺の頭の中は、不思議マークのデパートになっていた。
そういえば、初めに助けた男の名はゲバラで、目の前の男はカストロとは。もしかしてキューバ革命家の名前の次は、ケネディとかキューバと敵対するアメリカ大統領の名前の男が登場するんじゃないのか?
目の前の男の名前を聞いて、二人の胡散臭さが、俺の頭に強く芽生えていた。
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