第16章 生死をかけた脱出①

 通路に出ると、灰色の煙が充満していた。何かが焼け焦げたような、鼻を強くつく異臭もある。目鼻と喉が強く刺激されて咳き込みそうだ。


「こっちよ!」

 女の叫ぶ声に、すぐさま従い、その背中を追った。


  いったい、何が起きているというのだ? おかれている状況がまったく呑み込めないまま足を動かし続けた。今は女に従うしかない。


 誰か目の前に飛び出してこないか、後を追いかけてこないか、冷や冷やしながら、女の後を追い続けた。幸いにも、俺たちの後を誰も追いかけては来なかった。

 爆発現場に、みんな集まっているのだろうか?  いや、そうではなかった。


「壁に隠れて!」

 女は叫ぶと同時にすごい力で、俺を壁にめり込むように強く押し付けた。右腰から銃のようなものを取り出し、前方に向けて発砲した。


 鈍い音が俺の鼓膜を刺激した。キューン! キューン! という白光のレーザー光線が飛んでいく音だ。青白い糸でも引くように、標的に向かって飛んでいった。標的は、突如現れた3体のロボットたちだ。ロボットたちもすぐに銃を構えて発砲しようとしてきた。だが構えただけだった。女が先に放ったレーザー弾が、3体の胴体に風穴を開けていた。3体とも吹っ飛ぶように背後に倒れた。


「さあ、行くわよ!」


 今度は壁から俺の体を引き離すと、女はまた駆け出した。

 その背中を追って、俺も金魚の糞のようについていった。


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