第15章 マネキン女は敵か?味方か?②

 気色悪さを覚えながら見ていると、電光掲示板のようになった眼に表示してきたのは、「ここは四方、カメラで監視されている。気づかれないよう平静な顔で、続きを見て」との横文字が流れてきた。


 そして、続けてきた文に、びっくりした。


(あなたを助ける、ここから脱出させるから、わたしの後に従って)


 その文面にひどく驚き、女の指示を忘れて、思わず声をあげそうになったが、どうにか平静を保った。そして、俺の見間違えではないのか? と、じっと文字を凝視しながら、思考を巡らせた。敵だと思っていたマネキン女に、いきなり助けると言われても、簡単に信じるほど、俺はアホではない。


 だが自力で、ここから脱出することは絶対に不可能だ。この絶望的な状況下では、女の真意は分からなくても、いまは従うべきだと本能的に思った。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る