青い春のお帰り

赤羽春あかばねはる生まれて異性に告白されたことなど今まであるはずもなく、

(いや、アニメオタクの僕には分かる。どうせ買い物に付き合ってとかそういう意味だ)

「明日の日曜日、14時に近くの駅に集合ね。私の買い物に付き合ってもらうから」

「・・・うんやだ」

「なんで、そんなガッカリした感じなの?」

覗き込むように、僕の顔を見てくる。

(そういう仕草が世の中の男性を狂わせる元凶なんだよ)

覗き込んでくる青井さんに思春期男子の意味わからない妄言を吐きつつ、お出掛けに意義を唱える。

「別に自分の関係無い事で休日出るのが嫌なだけ、、、いや、やっぱり行くよ」

(決して、異性の付き合いを微レ存でも期待してた訳じゃない。けど男女2人で買い物ってそれはもうデートでは?)

手がネジ切れんばかりの切り替え。

これが若さだよ。とかなんとか適当に誰に言い訳してるのか分からない自分を余所よそに話を勝手に進める青井さん。

「あっそう。でも言っておくけど、わざわざ自分の買い物に意味もなく陰キャボッチ高校生君を誘わないよ。赤羽くんにも意味がある事だから」

(自然にディスられた。事実だからなにも言い返さないけどさ)

「じゃあその意味って?」

「それは、明日のお・楽・し・み」

あざとい スマイルとウインクのセットを提供してっいった青井さんは代金として僕の休日を貪る予約だけ残し帰っていった。

(まぁ こんな可愛い女の子と2人きりで買い物も悪くないか)

バタッ

「ごめん、1ついい忘れたことあった」

閉まったドアが開いたと思えば、帰ったはずの青井さんがドアから顔だけちょこっと出していた。

「なに?」

「明日は、私とは別でもう1人男の子が来るからよろしく それじゃ」

とりあえず赤羽春あかばねはるは学んだ。

ラブコメの展開を3次元に求めてはいけないと。

グゥゥゥゥ

「・・・あっ」

その後、僕が無心でハンバーグを温め直したことは言うまでもない。


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