死神は涼しげに帰っていく
(刺された!?そんな、、、こんなところで意味も分からず死ぬのか?)
痛みとか感じない。ただ胸から血が止まらず流れていく気色悪い感覚だけは感じれた。
「さぁ出てきて私の最愛の人」
人殺しになるというのに彼女は、恋する少女の瞳で僕を見つめている。
(グッ なんだ急に体が熱く、ウガァァァァァァァァ)
血が止まらないはずの胸から中から焼けるような熱さを感じ、その時始めて「痛み」を感じた。
痛みのおかげで霞んでいた視力が一瞬だけ戻ったとき愕然とした。
胸から流れ出る血が発火し、燃え盛っている炎が生き物のように自分の胸に帰っていく光景に、、、
(な、んだ?なにがお、こってる?)
いきなり刺してきた青井楓も大概だと思っていた自分がそれより大概な事をしている事実を死にかけのはずだった僕は受け止めきれない。
(刺された傷がない!?さっきまでの中から焼かれるような痛みもない)
「やっぱりこの程度じゃ出てきてくれないんだね」
約束をすっぽかされた女の子みたいな顔をするが、今の僕にはここにいる青井楓の言葉、表情全てが不気味に感じてしょうがない。
「まっ仕方ないか。それじゃあ赤羽くんまた明日ね」
なにかに吹っ切れたような涼しげな顔で誰にでも言う別れの挨拶をして帰っていく青井楓が死をもてあそぶ死神のように見えた。
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