第9話 面白い情報

 瀬島はサイボーグみたかった。頭を何度もフライパンで叩いても死ななかった。奴は自力で鍵をかけて籠った。

 俺はあんな強者を今まで見たことがない。

 ユニクロのカーキ色のフリースを羽織った。

 肌寒くなってきた。

 ボンバーグの腕時計、最近買ったばかりのお気に入り。カラフルで、短針が緑で長針が紫だ。

「2017年の10月に流行った奴だよな?」

 時任が気安く喋りかけた。

「先生はファッションに詳しいんですね?」

 俺はDUOのソファーに深く腰掛けた。

「まぁな?」

 時任は様々な薬を俺たちに無料で提供してくれた。

 セロクエルって精神安定剤は随分気持ちが楽になった。

「何で瀬島さんを殺したんだ?」

「時任さん、あの人は俺のやり方にいろいろ口を挟む。うるさくて仕方がなかった」

「まっ、やっちまったことは仕方ないよな?」

 時任は石田衣良の書いた『池袋ウエストゲートパークXII 西一番街ブラックバイト』を読んでいた。

 俺は『北海道プレーンヨーグルト』にブルーベリージャムを入れて食べた。

 

 俺は赤いアウトランダーに乗って片倉ダムに向かった。車中泊には最適だ。

 堤高42.7メートルの重力式コンクリートダムで、千葉県営の多目的ダムである。千葉県内の多目的ダムの中では堤高が最も高い。ダム湖の名称は笹川湖ささがわこ。小櫃川流域は豪雨による水害や旱魃などの災害が頻発しており、これに加えて都市化に伴う生活用水需要の増加や地下水汲み上げ規制などの要因により、多目的ダムの建設が必要とされるようになった。

 千葉県は1961年(昭和36年)から調査を行い、1974年(昭和49年)に事業を開始。水没する地域の住民との合意が1993年(平成5年)に取れたため翌1994年(平成6年)に建設工事が開始され、2000年(平成12年)に本体が完成して同年末に試験湛水が開始された。 翌2001年(平成13年)に完工し、2002年(平成14年)からダムとしての管理が開始された。


 ダム周辺には公園などが整備されている。またダム湖の笹川湖はヘラブナやバスの釣り場として知られる。


 周辺には道の駅ふれあいパーク・きみつ、片倉ダム記念館、亀山少年自然の家、三石山、観音寺などがある。

 道の駅で面白い情報を得た。

「巨大な栄螺さざえの怪物を最近見たんだ」

 白髪ボーボーの老人が言っていた。

 房総半島の伝承では、一人旅の女性が宿を借りに来るのは栄螺鬼が化けたものとされ、泊めた家は亭主を取られる、もしくは亭主を殺されるといって恐れられたという。また紀伊国(和歌山県)の波切の伝承では、かつて海で溺れていた美女を海賊が見つけ、下心をもって助け上げ、海賊たち皆で女を犯したが、実は女は栄螺鬼が化けたものであり、海賊たちの睾丸をすべて食いちぎってしまった。海賊は睾丸を取り戻すため、栄螺鬼に莫大な黄金を支払ったという。


 栄螺鬼は30年生きたサザエが化けたもの、もしくは好色な女が海に投げ込まれてサザエと化し、さらに歳月を経て化けたもので、月夜には海中から海上に姿を現し、うかれたように踊り出し、その姿は龍のように見えるという説もある。

 

 

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