第46話、地獄?のブートキャンプ
「──ということで今回の功績を以てユウジ君をDランク、アルテアさんをEランクに昇格させます」
翌日ギルドに行ってみるとマリアが、忘れていた人のために言うと王都に来てからずっと対応してくれている体の一部が大きな受付嬢から微笑みながら昇格を告げられた。
「あと、国王から招集がかかってますので明日の午前に騎士団の本部まで行ってください。服装は普段通りでいいそうですよ」
「ヱっ?」
「だから、明日騎士団の本部まで行ってくださいって」
思わず聞き返すと、話を聞いてなかったと思ったのか少し怒ったようにマリアさんが再び説明を始める。
「ちなみに何故国王に呼ばれたのに騎士団本部に集まるんだ?」
こういうのって王城に行くのがお決まりのような…
「あ〜、それは…」
「それは私から言うわ」
マリアさんの視線が揺らぎ、躊躇いがちに口を開──
直前に、後ろからそんな声がした。
「えっと王女様?」
「ソフィアよ‼︎いつまで王女様呼びなのよ…」
「いつまでも何も今初めて名前を知ったんだが?」
「そ、そう……王女の名前を知らないなんて……」
なんかゴニョゴニョ言ってるのはいいとして、
「ところでどうしてか説明してくれるんじゃないのか?」
「そうね…まず、簡単に言うと私のせい」
「えっと〜、それはどう言う…」
「何処からか聞いたかもしれないけど私、この国の王女だけど継承権を持ってない…と言うより捨てたの」
想像より重そうな話がでできたんだが…
「私はお継母様…今の妃様とは血が繋がってないの。」
「妾の子なんだけど本当のお母様は体が弱くて死んでしまって…」
そこで少し息を吐き、何かを思い出すような遠くを見るような表情を浮かべる。
「お母様が死んでしまった後、お継母様が私がお母様の代わりになるって言ってお継母様の子供と同じように扱ってくれた」
「それに、 お兄様も良くしてくれた。だから、このままお兄様が王になるのを支えようと思っていたた」
だけど、──、何かを思い出したのか可憐な顔がクシャリと歪む。
「お母様は私に膨大な魔力を遺していったみたいで、私のマナが普通の人より圧倒的に多いと分かると周りの貴族達が騒ぎ出した。王になるべきはお兄様ではなく私だと」
それを告げる表情は苦痛に堪えているかのようだった。
「それでも、お兄様やお継母さま変わらなかった。だけど、周りはどんどんエスカレートして…」
「だから、お父様に相談して、国というしがらみに縛られない職業に就いて継承権を捨てたの」
「そんな中、今回のことがあったと…」
「そう、でも今、功績を引っ提げて王城に戻れば必ず欲に目が眩んだ貴族は再び私を王座に押し上げようと画策する。だから、あくまでも私達が騎士団の客人として招かれたところに偶然お父様が視察に来たとういう体をとりたいの」
それに、騎士団と私を担ぎ上げようとしている奴らは仲が悪いしね…
でも、迷惑をかけてごめんなさい。
しんみりした空気ぐ流れたかと思うと──
「それはそうと、今日空いてる?」
いきなりハイテンションでそんなことをきいてくる。
あまりの切り替わり様に驚いていると
「ちょっと。聞いてるの?」
「あ、うん…えっと」
「今日暇?」
「暇だから近場の依頼でも受けようかと」
「なら、約束、果たしなさいよ」
「てぃあとの魔法の特訓だっけか」
「そうよ‼︎」
そうか〜、人死にが出そうな予感?
「悪いことは言わん、やめておいた方がいいぞ?」
「どう言うことよ」
「死んじまうぞ?」
「は?魔法の特訓で?詠唱に失敗して暴走したり、それこそ禁呪でも使わない限り…」
「違うんだティアは訓練になるとおni─イダダダダ」
後ろから頭を掴まれて
「ティア!誤解だ‼︎こめかみがががが」
「私との特訓がどうなんです?」
「いえ、生き残るためにはとっても良い訓練になるなぁって、本当ですからこめかみ許してください…」
このままいけば、数年後にはこめかみが変形してそうだぜ
「それで特訓はどうします⁈ちょうどユウジを鍛え直さなければと思っていたところですが」
「ぜひご一緒させてください‼︎」
こうして地獄?のブートキャンプが幕を開けた。
変な世界に迷い込みました ^_^たなはわたは @mshun
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