第43話、精霊襲来

 RPGゲームで良くある、〝〜は仲間を呼んだ。〟というのを見たことはあるだろうか。ゲーム内では、っかぁ〜めんどくせぇーと愚痴って終わるが、実際にその場面に陥ると1人を倒そうとする間に徹底的ににボコされそうな気がする。


 モンスター数体倒して思った事がある。

あの亀裂みたいなのを何とかしないとまるでエンドレスワニワニパニ○クだ

 自慢じゃないが、俺は棒二刀流でやって棒一本でやった同級生にスコアでボロ負けした事がある。

 何がともあれ、倒せども倒せども宙に浮かんだ亀裂から魔物がわんさか湧いてくるわけで減っている気がしない。どころか、増えているのではとも思える。ワ○ワニパニックみたいに後半になるにつれ難易度が上がるのかな?

 そもそもあの亀裂はどうにかできるものなのか?

『魔物が出尽くせば自然に消えるけど、先に消したいなら魔力をぶつけることね。アレは空間の歪みだから少ない魔力で繊細にやるか魔力でゴリ押せば直るわよ』

 

 ちなみにゴリ押すのに必要な魔力量は?


『宮廷魔術師三人分ね』


 oh、やったら怪しまれるやつ…


『王女様にやって貰えば?』

 

 いやいや、あの性格で繊細な魔力操作とやらが出来るわけ…


『出来るわよ?あの子魔術師としての素養は凄いし…まぁでもあの子の場合魔力量も多いからチマチマやるよりはゴリ押した方が早いけどね』


 まじですか…アレかな?〝王女だけど継承権が無いので魔力チートを活かしてスローライフ〜あら?私また何かしてしまいましたか?〜、ってやつか?


『……』


 ち、違うよな?いや分かってたからさ


『…さっさと頼んできたら?』


 まったく、お言葉の通りで。てか、王女様って名前なんだっけ?デレてないツンデレ王女で良いかな?


『……』

 

 すんません。さっさとやるので無言はヤメて…


「王女さん王女さんあの亀裂どうにか出来ない?」

「どうにか出来ないかって…あんなの初めて見たんだけど…」

「こう…なんか魔力をぶつけまくればなんとかなるって」

「……それ…どこ情報?」

 from神さまです…

「偉い人……そ、そう故郷にいた偉い魔法使いの人が言ってた」

『…嘘下手』

 どうも正直者で通っているので。

「とにかくアレをなんとかしないと埒が開かない」

「…分かったわよ。やってみる、援護宜しく‼︎…それと、後でその偉い人について詳しく教えなさいよ‼︎」

「分かった‼︎頼む‼︎」

 どうしよー‼︎偉い人って誰だよぉ〜。

 後で嘘でしたってのはダメですかね


『あれでも王族だから…牢屋行きか、最悪首が空を飛ぶかもだけどセーフ?』


 セーフになる要素がねぇ⁈

 夜逃げ…


『考え事している暇はないんじゃない?』

 

 そうだ王女様を援護しなきゃ。

 こんな時は…

『突っ込め〜』

 

 近くにいたムカデ擬きを蹴散らし、前方の魔物の群れに身を躍らせる。


 キシャシャシャ


 うげぇ


 目の前に蜘蛛

 鋏を大きく開け突っ込んでくる──のを躱し、すれ違いざまに斬りつける。


 振り下ろされる鎌を掻い潜り蟷螂の姿勢を体当たりで崩す。そのまま剣を突き刺しティアとの鍛錬で身についた回避能力でその場から離脱───そして、再突撃。がむしゃらに斬りつけていく。


 魔物の数も少しずつ減ってきた。


『ユウ君来るよ‼︎』


 バキバキッバリバリバリッ


そんな音と一緒に亀裂が広がる。王女は…まだだ。


『精霊が来たわ』


 亀裂から燃え盛るトカゲが這い出てくる。


「っサラマンダーぁ⁈」

 王女の驚く声が聞こえる。


「王女様‼︎アレは俺がなんとかする。亀裂を頼む」

「えっアレを⁈」

「いいから疾く‼︎」

「死なないでね」


 そう言って王女は再び亀裂に接近していく。

「ティア‼︎王女様─」

「王女様の援護はこっちでやるのでユウジはアレを」

「おう」

 言わずとも伝わっていたらしい。


 さて、サラマンダーに向き直る。

 尚も奴は燃え盛っている。

 剣に魔力は──まだ流さない。


 魔物襲来の第二幕、そしてリベンジマッチのコングが鳴った

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