第42話、王都襲来
「取り敢えず、ギルドとかで聞いてみるか」
何か情報が入っているかもしれない。
ギルドに向かおうとした矢先。
『あら?これは困ったことになったわね』
アンジュ様が脳内で悩ましげな声を上げる。なんかエ○い。
『変なこと考えてないかしら?』
心読めるんでしたっけ?
「そ、それより!どうしたんですか?」
『ユーくん、この前精霊の相手をして逃げられたでしょ?』
「え?えぇ」
次会った時は仕留めるつもりだ。経験値オイテケ
『それがもう少しで現れるわ…王都のど真ん中に…しかも、大量のお供と一緒に』
ヤバくね?あれが王都のど真ん中に来たら終わりだぞ?
『って事で討伐お願いしていい?あ、ついでにやらかした犯人も』
「犯人を先に捕まえれば…」
『無理ね。だって昨日の段階で巫女には知らせてたから犯人探しはされている筈。今まで見つからなかった人を後5分で探すのは無理ね。早くしないと広場に出てくるわよ、精霊』
「ちなみに広場には兵士は…」
『一応いるけど足りないわ』
「…ティアも走るぞ!」
「え?えぇ?」
困惑しているティアもレアで可愛…じゃなくて急がないとマズい。
急いで教会から出る。シスターさんが、迷える仔羊に祝福を…って、そんなに急がないでも…という声が聞こえた。
走りながら後ろを振り返るとティアが猛烈な速度で追いついてきた。
「ところで広場への道分かってますか?」
「…知らない」
「でしょうね。あっちですよ」
「うそん…」
まさかの逆方向。はじめての街だから仕方ないよね。
「よく…知ってたな」
走りながら喋るのがキツいのは異世界でも共通のようです…。
「本当は教会を見た後、あの近辺で朝食を取る予定でしたので」
ティアは普通に話してる。
これが、ステータスの差か…。
そして広場に出た。
朝から賑わっていて、何も知らなければ平和だとしか思わないだろう。
だが、今はどうにかして避難させたい。
あっ、いつぞやの王女様がいた。
彼女ならなんとかできるかもしれない。
「…はぁ?遂に頭おかしくなりましたか?」
まったく聞き入れてくれなかった。…そりゃそうだ。あちら側からしたら爆弾があるから駅を封鎖しろとか言っているのと同じだ。前の世界でもこんな事をおおっぴらにやったら逮捕されるからな…。あれ?でも王族なら知ってそうなものだけど…。
「おい、あれは何だ?」
どこかで誰かが叫ぶ。
見ると空中に割れ目が出来ている。
「嘘、本当に?」
隣で王女様がワナワナしてる。頭おかしいってバッサリ斬った事が数秒後に現実になったからな…
「おい、マジで知らなかったのか?巫女からは昨日、知らせがいってるような事を聞いたんだが」
「昨日は城に帰ってなかったのよ‼︎だいたいこんな事想像できるわけないじゃない」
半ギレ王女。
「ところでどうするよ、これ」
「巫女に御告げが来たってことはお父様は何か対策をなさっているはず」
その対策が十分じゃないんだよな〜これが。
「国民よ、落ち着いて避難しろ‼︎オルト、メタ、避難誘導をしろ‼︎パラは私と奴を抑えるぞ‼︎」
広場のあちら側で騎士っぽい人が叫んでいる。
ただ、こんなことはあまりないのか、混乱状態に陥っている人もいる。
「冒険者の人がいるなら協力してほしい。報酬は騎士団が持とう」
「ティア、参加でいいか?」
「元より、そのつもりでしょう?」
「じゃぁ参加ってことで」
チラッと王女様を見る。
「な、何よ‼︎私も参加するわよ‼︎」
何かキレてるアーコワイコワイ
「そこにいらっしゃるのはソフィア王女で?」
さっき指示を出していた騎士がこちらへ走ってきた。
「久しぶりですトルエン副団長、スチレン団長はどこに?」
「私からは詳しく言えませんが単独任務の最中です。そんなことより避難を」
「いえ、戦力が足りなそうなので加勢します」
「は、しかし…」
少し困ったような顔をしたトルエン副長の視線が俺にぶつかる。
「君達、見たところ冒険者の様だな。彼女を頼んだ。」
そこまで言った時、空に浮かんでいた割れ目が大きくなった。そして、
「っ、来たぞ」
魔物が溢れてきた。
大型の魔物は…いない。
精霊もまだ出てきていない。
ならば、今のうちに頭数を減らしてしまうのが良いだろう。出来ればティアやの実力は隠しておきたいし、ティア程ではないが俺も大分ステータスがおかしなことになっている筈だから隠せるものなら隠しておきたい。
「王女様は魔法使いか?」
「え、えぇ一応全属性使えるわ」
「なら集団のど真ん中に最高のを一発頼む」
「詠唱にどれだけかかると思ってんのよ‼︎」
「なら、初級でいいから次から次へと…」
「詠唱時間‼︎」
チッ、使えねぇ。
いや、無詠唱でポンポンやってるティアがおかしいのか。
さてどんな事をやらかしているのかと
「風の刃よ、……〝風刃〟」
普通の魔法だし、マシンガンみたいな速度で撃ってる訳でもない。危なそうなところに的確に魔法を放っているだけで、ちゃんと自重しているようだ。
でもな…詠唱が必要なかったから唱句なんて知らないのは分かるが途中にナントカカントカはよくないと思うんだ…。
「さてと、俺もお仕事始めっと」
次第にこちらにも魔物が集まってきたので剣を構える。フハハ、ここを通りたくば、私を倒していけ…なんてね。あれ?俺死んだ?
『ユウ君の死亡フラグいただきましたぁ』
「この戦いが終わったらなぁ。友人に会いに行くんだ」
『死亡フラグの重ねがけ⁈しかもそこは普通結婚式を挙げるんだ〜とかじゃない⁈』
「結婚って誰とですか…」
遂に蟷螂型の魔物がこちらに攻撃を仕掛けてきた。
「うおっと」
慌てて回避する。蟷螂の様なモンスターの攻撃を剣で防ごうとするのは得策ではない。剣を挟まれ動きを封じられたうえにもう片方の鎌で、ずんばらりとやられるからだ。
普段なら瞬殺するのは目立ちそうだが、幸運なことにこちらを見ている余裕のある人はティアくらいしかいないはず。
再び鎌を振り上げたタイミングで蟷螂の懐に潜り込み頭を刎ねる。
緑色の体液が噴き出る。
「うわグロっ」
ともあれ取り敢えず一体。
さて後何体いることやら…
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