第14話 対ゴーレム戦
剣を構え、ゴーレムのもとへ走る。大した技術もなく、魔法は習ってないので使えない。ならば‥‥
「物理で殴る‼︎」
技も相手の硬さも体格差も、全てステータスでぶち壊す‼︎
俺めがけて放たれた右拳を右側に飛ぶことで躱す。ゴーレム自体のスピードはそれ程でも無いのでいつもの訓練の時のようにやれば回避できる。寧ろ訓練の方がキツいくらいだ。
ゴーレムの懐へ飛び込み斬りつけようとするが、
ゴゥ
次の瞬間視界に現れたのは大きな石でできた左の拳だった。
「危なかった‥‥」
右腕のパンチに対して、相手の内側である右側に回避した為、危うく左拳による二発めを喰らうところだった。慌てて斜め後ろに飛び難を逃れたが、冷たい汗が頬を伝う。それと同時にステータスを上げても今のように不意を突かれれば、あっさり攻撃を喰らうこともあるということを改めて実感した。
気を引き締め再びゴーレムの元へ、
今度は相手の外側へと回避し
「胴を掻っ捌く!」
ピキッキィィン
あっ、あれっ?確かにゴーレムの硬さを突破し奴の腹部には大きなヒビが生えた。だが、
「剣が折れたぁぁぁ⁈」
ステータスで全てぶち壊すと宣言したその全てには、どうやら俺の剣も含まれていた様だ‥‥だが、剣が折れたくらいで、
「まだまだぁぁ‼︎」
まだ拳がある!それがダメなら体当たりで!
そこにはゴーレムと素手で殴り合おうという
拳で殴る
「っつ〜」
硬い‼︎手が痛くなる。だが、石片が落ちた。ダメージが通っている証拠だ。このまま奴が倒れるまで殴り続ければ‥‥
ゴッ
「バカですかあなたは?」
後ろから殴られ、そのまま抱えられて強制的にその場を離脱させられる。
「な、何すんだよ」
「ゴーレム相手に殴り合おうって何考えているんですか?相手は硬さが取り柄のモンスターですよ?」
「つっても剣が折れたし‥‥」
「一般的には剣が折れるというのはピンチなんですよ?そうなったら下がれと言ったじゃないですか。‥‥すこしくらいは信用して頼ってくれたっていいじゃないですか‥‥」
「ごめん、下がれって言った後なんて言った?
そう奴の足音はうるさいのだ。
「な、なんでもないです。そ、それより速く片付けますよ?」
そういうとアルテアは手に持っていた二振りの長剣のうち一振りをこちらに投げてよこした。どうやらこれで倒せということらしい。壊してしまわないか少し心配になっていると
「その剣は思いっきり振っても大丈夫ですよ。まず折れることはありません。」
お墨付きを得たので改めて剣を握りゴーレムへ向かって走る。
あと八歩、
相手がこちらを認識し、一歩下がる。
後七歩、
ゴーレムが右腕を引き始め‥‥
後五歩、
振りかぶった腕で溜めを作り‥‥
後三歩、
間に合わない。しかも全力で走っていたので、急には回避行動を取れない。
一撃必殺の威力を持つパンチが放たれる、
せめて直撃だけは避けようと、剣を盾の様に構えるが、
スッ
いつのまにか、瞬間移動にも近い速度でアルテアが拳との間に割り込み、長剣で剛拳を受け流す、その二対の美しい翼が生えた背中がいつもより頼もしく見えて‥‥
「チクショウ」
早く追いついて、隣に立てる様なやつになるつもりが全然遠いじゃねぇか。そんなことを思いつつ残りの三歩を走り抜き、
「うらぁぁぁ」
渾身の一撃を受け流され体制が崩れているゴーレムに力一杯剣を叩きつける。はたして今度の剣は‥‥今度の剣は、力を余すことなく伝え、
スッ
ゴーレムの右腰から入った金色の刃はあっさりと体を切断し、左脇から抜けていった。
「勝った‥‥」
レベルアップの音を聞きながら、草地に寝っ転がる。
「てかこの剣こっわぁぁ、めっちゃ切れるんだけど‥‥」とか言っていると
「ユウジ、前」
起き上がり、前を向くと目が真っ白になって‥‥‥
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