第11話 〝力〟が欲しい(切実)
「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛疲れたぁ゛〜」
今日も今日とて完膚なきまでにボコボコにされ草地に倒れ伏す。体中が痛いぜ
ちなみに来る日も来る日も〝実〟を無理矢理口に突っ込まれ、斬りかかってはアルテアに素手でボコボコにされできたステータスがこれだ
サワイ ユウジ レベル: 6種族:ヒト
HP:478/6600 MP:460/2650
VIT:5291 STR:55 AGI:4500 DEX:4500 MEN:3500 INT:3500
固有スキル:薬草採取 lv5<発見><植物系毒耐性><薬草効果up Ⅰ>
スキル:言語理解、アイテムボックス、鑑定眼、遠走、毒耐性、受け身、物理防御lv11、剣術lv5
称号:異世界人、晩熟
SP:40
練習でボコボコにされ過ぎたせいで物理防御が取れた。しかもレベルが1番高い。
うぅ、殴られたところが痛いぜ
他にも〝毒耐性〟が取れた。〝植物系毒耐性〟があったのに最初の頃は気持ち悪くなっていたけど、それほどあの〝実〟の毒はヤバかのだろう。味は‥‥‥いつになっても美味しく食べられる気はしない。
とはいえ純粋に嬉しい進歩もあった。例えば、〝剣術〟もとれた。ステータスもSTR以外は軒並み上がった。特にVIT(防御)とHPは長い時間訓練をするために集中的に底上げされ化け物みたいな数値になった。
ただ俺には一つ物申したいことがあった。
「何でSTRは底上げしようとしないんですか?」
そうSTR(力)はここに来た時からまったく変わっていないのだ。
「‥‥」
アルテアは何処かの彫像のような微笑みを浮かべるだけで何も答えなかった。
その答えは夕食時今回食べる〝実の山〟を見て顔を顰めていた時に出た。
「ユウジさん私からそうですね‥‥3分間実を口に入れられなければ明日から〝実〟を食べなくても良いですよ?」
少しイタズラっぽい笑みを浮かべてそう言ってきたアルテアは俺が頷くのを見ると
「では、よーいスタートです」
そう言ったや否や、俺はアルテアに背を向けて走る。
隠れられる場所なんてないためひたすら走る。
ウオォぉお
裂帛の気合いと共に少女から逃げる
走りながら後ろを振り返るとアルテアは未だにスタート地点で座っている。
そうか、ついに〝実〟を食べる生活も終わりかぁぁぁ寂しく‥‥はならないけどなんかくるものがある
そして俺は信じられないものを見た。
不穏な気配を感じて後ろを見ると、アルテアがずっと立ち上がり、足にグッと〝溜め〟をつくったところだった。そのまま〝溜め〟を解放し、走ると言うよりほぼ水平に飛んでいるような感じでこっちに来て‥‥
刹那
衝撃
を感じたと思ったら倒れていて、後ろから抱きつかれていた。
そして、
柔らかいナニかが背中にあたって‥‥とか考える間も無く瞬く間にわずわかな抵抗すら押さえつけられ、口に〝実〟を詰め込まれる。
ウオォ相変わらず苦げェ パタリ
思わず体から力が抜けたところで
「これが昼間の質問の答えです。STRを強くしすぎると、こうやって無理矢理にでも詰め込むことができなくなるのというわけです。もっとも、こんな事をするのもあなたが死なないようにするためだけですからね?」
そんな声が降ってくる。思わず、ウソつけ‼︎その割には俺の口に〝実〟突っ込む時いつもすごく楽しげな表情してたぞ‼︎と言いたかったが言ったらどうなるのか分からないのでやめておry
「あの〜何で肩そんなに強く掴んでででい、痛い痛いいた‥ちょっといきなりどうしたんですか?」
「いえおかしな声が聞こえたなぁ〜と私が楽しんでるなんてそんな声が聞こえたんですよね〜空耳ですよね?」
えっ口に出てた、だと⁈
結果、夕食後に臨時‼︎大訓練祭‼︎の開催が決定されHPが2桁になるまで永遠とボコられたとか何とか。
しかし、流石にやり過ぎたと思ったのか翌日からはSTRの底上げも急ピッチで始まったし、翌日の訓練は少し、いや、かなり易しいものだった。
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