第7話 昇格と新たな権利と洗礼
薬草採取や、ゴブリン狩りなどをこなし、1週間ほど経ったある日、今日も1日の成果成果をギルドへ持っていくと、
「おめでとさん。これであんたもEランクさね。Eランクからはパーティでダンジョンに入ることが許可されるけど、くれぐれも無理をするんじゃ無いよ」とサリーに言われる。
マジ?ダンジョン入れんの?テンション上がる〜と思っていたら、
「ブラッド達にも言ったが、ギルドではダンジョン攻略の際、パーティを組むこと奨励している。ソロだとなんかあった時に困るからねぇ。どうしてもソロで攻略したいなら一つ上のDランクになる必要があるさね」
再びの言葉でテンションが崖から突き落とされた。
「ま、フツウニカンガエレバソウデスヨネーアブナイデスヨネー」
ダンジョン行きたかった
「なんか、とても済まないことをした感じがするねぇ〜ほら、元気出しなさいよ、どうせあと1、2ヶ月もすりゃあDランクに上がるんだし」
翌日、今日からDランクの依頼も受けられるということで良さげな依頼が無いか見てみると、アルミラージの討伐(何体でも可)があったのでそれを受注する。ついでに薬草採取も受注する。薬草王に俺はなる?ところで薬草王とは?
そしてクエストに出発して‥‥
キュウ
ヒュッ
うお‼︎ っぶね!
手短に言うと俺は今ダンスをしていた。ミスったら即、脚にツノがぶっ刺さるクレイジーな奴だ。正直、所詮ツノあり兎だと侮ってました。しかし一匹ならともかく複数で来られると反撃するより先に他の兎の突進が来て避けるだけで精一杯で‥‥
なんてことをしているうちに
グギャャ
ゴ、ゴブリンまでやって来た。
なので‥‥
チクショー覚えとけー
撤退することにした。ウサギやゴブリンから逃げる勇者って‥‥
ゴブリンはその後一体だけ追って来たのでサクッと返り討ちにしたが、とにかく今のレベルでは複数のアルミラージを相手にするのは難易度が高過ぎるので一匹でいる奴らを狩ろうと決めたが、
キューウゥーー
ア゛ァァーまたかーー
またもや悲哀と怒りに満ちた声が樹海に木霊する。このパターンはもう何回目だろうか。
一匹のやつはとんでも無く逃げ足が速かった‥‥
奴らはとても耳が良いのだ‼︎しかも1匹では凄く臆病。後ろからこ〜っそり近づいても、
キュウ?キュウーー
奴が1匹の時は残り5メートルがどうしても縮まらない。
アルミラージをギルドのカウンターに持っていくと
「あ〜あんたも兎の洗礼を受けましたって顔さね」
そう言ったのはいつにも増して優しい目をしたサリー嬢だった。
鑑定してもらっていると、酒を飲んで出来上がっていた冒険者が
「へへ、あいつ兎の洗礼受けたってよ」
「兎も満足に仕留められないとかハハハハ」
「まーそう言うなってあいつなりに頑張ったんだからよーハッハハハ」
「この黎明の剣のリーダー、ハンス様が直々に教授してやろうか?ハッハハハ」
なんか言っていたが聞こえないふりをしていると、
ダァーン
「あんた達少しうるさいわよ?」
ヤのつく自由人のような目をしたサリー嬢だった。
悠二はそこにサリー嬢の恐ろしさを見た。
「だいたいハンスにガイルにフレッド‼︎あんた達初めてアルミラージ狩りに行ったときパーティで2匹しか仕留められずに帰って来たじゃないか、ねぇ?」
サリーさんが流し目をおくる。
何人かが笑いを堪えるようにプルプルしている。
「じゃあ黎明の狩人改め兎の狩人かな?」
誰かが追い討ちをかけるようにそう言うと
ドッ
と笑いが起こり、そこら中からちげえねぇだの良いぞ兎の狩人(笑)だの聞こえて来た
が、サリー嬢がとても良い笑顔で声のした方を見るとみんな顔をサーっと逸らし一斉に静かになった。笑い声も無くなった。
悠二はそこに、サリー嬢の恐ろしさを見た。
恥ずかしい過去を暴露され、新しいパーティー名をプレゼントされた3人はすごすご去って行った。
3人の背中を見ていじられキャラという言葉が浮かんだのは内緒である。
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