第5話 ギルドのドン?

 街についたが、ギルドの場所が分からないので魔物の素材を売りに行くブラッド達にギルドまで案内してもらうことにした。

「ここがギルドです」

 そう言われてみた建物は、いかにもギルドという感じだった。扉を開けると、何人かまだ昼間なのに酒を飲んで酔っている人がいる。また、少し怯えたような顔をしている人もいるが、全体的に静かで、とてもここはガキの遊び場じゃねぇ‼︎的なギルドのテンプレが起きそうな気配がなかった。

「ここって随分治安がいいギルドなんだね?」

 ブラッド君に耳打ちすると、

「そうなんですか?俺たちはここ以外のギルドに行ったことがないので。でも、時々オイタをした冒険者がおばさ‥‥サリーさんに連れて行かれているらしいですよ」

 おい、今おばさんと言いかけた時、明らかにヤバい殺気が飛んできたんだが‥‥サリーさんって何者?なんて考えていたのがバレたのか

「そこのあんた達入り口で止まってないでこっちに来なさい」

 受け付けのおば‥‥あれがおそらく噂のサリーという人だろう。殺気が凄まじい。冷や汗でビッショリだ。

「あ、あれがサリーさんです」

 ブラッド君も冷や汗でビッショリだ。あっ、酒を飲んでいる冒険者達はこっちを見て、良い肴を見つけたって顔をしてやがる。

 受け付けのおばじゃなくてお姉さんサリーさん?のところに行くと、

「あたしはこの冒険者ギルド、フューレン支部の受け付け嬢サリーだよ。あ、あと間違ってもオバサンとかいうんじゃないよ⁈まったく冒険者たちはそこらへんの配慮が足りていないったらありゃしない。ところでそこのみない顔のボク冒険者登録は必要かい?」

「えぇ宜しくお願いします。でも今手持ちがないので素材の売却を先にお願いできますか?」

 と聞くと、

「ほぅ、敬語を使えるとは、初対面でババァとか言った誰かに見習わせたいねぇ」

 そう言ってブラッドの方に流し目をおくる。ブラッド君はビクッぅぅぅとする。ブラッド君は勇者だったらしい。命知らずともいうが。

「まっ、良いよ。ほれ、素材を出しな少し負けてあげる」

 そう言われたので、森で狩ったゴブリンの耳を4つほど取り出す。ついでに拾っていた棍棒は6つ取り出す。棍棒は耳が売れると知る前から回収していたから数が多いのだ。

「ほぅ。アルミラージの角かい。あんたギルド登録する前に樹海にでも行ったのかい?若いんだから命は大事にしなさいよ」

 そう呆れられる、だけでは終わらなかった。

「一緒にいたってことはブラッドあんた達も樹海に行ったと‥‥」

 ブラッド君達の眼はサーッと泳ぐ。オリンピックの競泳か?ってぐらい泳ぐ。

「後で、奥にきなさい。そうそこの我関せずみたいな顔をしているお嬢さん達も、もちろんあんたもね?」

 えっ、マジ?俺も怒られるらしい。

「鑑定終わったから次はギルドカードの登録さね。必要事項をここに書いて」

 出身地とか書けないぞ⁈と思いながら差し出された紙を見るが問われているのは、名前、年齢、性別のみだったため、ほっと胸を撫で下ろす。必要事項を書いて提出すると、

 冒険者登録するにあたりランクはFからSSまであり、依頼の達成度によって昇格があること、現在はAランクまでしかいないこと、基本冒険者は、自分のランクと同じパーティと時は自分のランクの一つ上のランクの依頼までは受けられるということ、魔物の素材はギルドで買い取るということ、冒険者同士の争いは基本ギルドは関わらないが、大事になれば処分を下すこともあるということ。そして、依頼からは必ず生きて帰って来なさいと強く言われた。そうして差し出されたギルドカードと残りの金を手にギルドを出ようと回れ右をして一歩踏み出そうとして、後ろから襟首をガッされた。首だけ振り向くと、

「奥に来なさいって言ったじゃないかい。逃しはしないよ?」

 おばサリーさんがとても良い笑顔でいらっしゃった‥‥‥それから実に2時間ほど正座でお説教をくらい、新人の冒険者が如何に死に易いか懇切丁寧に説明され、話が終わるころには、すっかり足の感覚がなくなっていた。

「足が、足が〜」

 ブラッドム◯カ大佐がおられた。眼じゃないのが悔やまれる。眩しい光はお望みか?

「ひどい目に遭いました」

 カイン君もグッタリ。

「ところで何処か泊まれそうなところ知らない?」

 ヨロヨロしているブラッド君に聞いてみると、

「な、なら俺たちが泊まっているゴブリンの宴亭はどうだ?安いし飯もうめぇぞ」

 とのことなので足の痺れが取れてからゴブリンの宴亭とやらについて行くことにした。


「ここです」

 目の前の建物の軒先には確かに『ゴブリンの宴亭』と記されている。ブラッド達に連れられ中に入ると、

「いらっしゃいませ。ご宿泊ですか?」

 おぉ、ここはちゃんと看板と言う感じだ。お約束通りらしい。なのにギルドの受け付け嬢は‥‥うん、忘れよう

 一通りの手続きを済ませて、食事にする。宿代には食費も入っていたため、いくら安いとはいえ手持ちのほとんどが吹っ飛んでしまった。果たして食事の味は‥‥

「うめぇ」

 今日のメニューはシチューっぽいナニカだった。味的にはブラウンシチューといったところだろう。

 食事を終え自室に戻り明日のことを考える。

 とにかく、金を稼がないと飯も食えないので明日から簡単な依頼をこなして行くことにした。 金欠勇者♪睡魔に沈む‥‥‥

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