第4話 ブラッド
身体中が痛い。そして心も痛い
「あ〜昨日の俺ぇイタいよぉ〜何が聖剣だよぉ〜」
体が痛いのは地面に直で寝たせいだろう。心が痛いのは‥‥ダメだ思い出したくない。早くベッドで眠りたい。一日中ゴロゴロして心の傷を癒したい。が、生憎、硬い地面しかないので諦める。あぁ早く街に行きたい。
取り敢えず方針としては街に行くため森を出ることにした。もっとも、街がどこにあるのかは分からい上に森のどの辺りかも分からないが。
数分後、
「おっ、ミッケ」
道中俺は宝探し‥‥では無く薬草探しをしていた。そう、朝食をとっていないことを思い出してしまったのだ。前回の失敗を踏まえてできるだけ多種多様な食べられる植物の実や葉を集める。食後にファンタジーお約束の身体強化系のスキルを取ってみたらどうかと思ってステータスを開くと、
サワイ ユウジ レベル:2 種族:人間
HP:70/70 MP:25/25
VIT:16 STR:21 AGI:21 DEX:21 MEN:16 INT:16
固有スキル:薬草採取 lv2<発見>
スキル:言語理解、アイテムボックス、鑑定眼
称号:異世界人、晩熟
SP:10
薬草採取のレベルが上がっていた。少し気になったので薬草採取のスキルを除いてみると、
「おぉ?」
そこには
薬草採取lv2<発見>の次に薄い字で<植物系毒耐性>と<薬草効果up Ⅰ>があった。ちなみに説明は、取得可能(必要ポイント10ポイント)植物由来の毒に対する耐性がつく。ただし植物由来以外の毒に対しては効果がない。なんとも使えそうで使えないスキルだった。ヤッタードクキノコヲタベラレルヨウニナタッヨ 食べたくはないけど。
<薬草効果up I>の方は使用した薬草、実の効果が微量に上がる。薬草、やくそう、ヤクソウ?、やく(以下略)あれ?そう言えば、薬草を薬草として使ってなくね?薬草が食料扱いされてる⁈気を取り直して、うっ、頭が‥‥これ以上気にしてはいけない気がしたのでさっさとスキル〝遠走〟を取得する。これで移動が楽になるといいなぁ
サワイ ユウジ レベル:2 種族:ヒト
HP:70/70 MP:25/25
VIT:16 STR:21 AGI:21 DEX:21 MEN:16 INT:16
固有スキル:薬草採取 lv2<発見>
スキル:言語理解、アイテムボックス、鑑定眼、遠走
称号:異世界人、晩熟
SP:0
〝遠走〟をとっただけでSPガナクナッチャッタヨ
ちなみに〝遠走〟は常時発動型のスキルで、長い距離を走っても疲れにくいという、今のこの状況にはもってこいのスキルだ。
〝遠走〟をフル活用し、ランニングする様なスピードで森の中を進んでいると、
グギャャ、グギャ
ゴブがおった。2体とも棍棒を持っている。昨日は剣をまだ見つけてないうえにあんなことを言ってしまったが、今日はこっそり近づいて‥‥
グギャャャ
ボクッ
グギャ〜
斬りかかる前にゴブ同士で殴り合いを始めた。ここぞとばかりに斬りかかる。見逃すと思っただろう?さっさと経験値を置いてけヒャッハー
近くにいた方のゴブの胴体を背後から斬りつけ、もう1体のゴブも突然現れた俺に驚き硬直している間に肩口からばっさりと斬る。少し迷ったが、街についてからの資金にするため棍棒を回収する。死体は持っていてもなのでそのまま放置して進む。
しばらくするとまた、
グギャャ〜背後から斬りつけ‥‥
「流石にゴブ多くね?」
既にアイテムボックスには20本を超える棍棒が仕舞われている。少し休憩しようとすると、
「ぐっ」
「カイン⁈」
「うわぁぁ」
声というか悲鳴が聞こえたのでこっそりと声の下方向へ行くと、3人の少年少女が8体のゴブとツノがついた兎と戦っていたというよりボコられていた。戦っている3人の他にも近くに2人ほど倒れていて倒れた仲間のこともあり、逃げるに逃げられないようだ。とはいえ全滅するのも時間の問題だし、見捨てるのも寝覚が悪いと思ったので加勢することにした。まずは近くにいるゴブを後ろから斬る。
グギャャャ
斬られたゴブの断末魔の悲鳴でゴブも冒険者も俺が参戦したことに気づいたようだ。
「加勢は必要か?」
後で揉めるのも嫌なので聞く必要ないと思うが、一応聞いておく
「お願い‥‥して‥いいですか‥のわぁ、あっぶねぇ」
角付き兎(仮)の突進がギリギリを掠っていった。
聞くタイミングが悪かったようだ。少年よスマン
加勢して、一体は倒したものの依然ゴブと兎の方が数が多いので、囲まれぬようゴブを挟んで少年達の反対側で戦う。ゴブが混乱しているうちにもう1体減らし‥‥‥
そうして十数分後、悠二は激怒した。ゴブの死体を放置した自分に激怒した。どうやらゴブ耳はみんな大好き冒険者ギルドが買い取ってくれるらしい。これまで倒したやつ切り取ってねぇーじゃん。とはいえ昨日倒したゴブは恐らく既に肉食獣の腹の中なので、諦めるしかないが。
「えっと、ありがとうございます。助かりました」
助けた少年にお礼を言われる。助けたお礼として、耳が売れることがわかったので切り取り方を教えてもらい、作業していると、倒れていた仲間も無事回復したようだ。
「俺達はこれからフューレンの街へ戻りますけど一緒に街まで行きませんか?」街へ行くらしい
「ついて行っていいか?」
「こちらこそよろしくお願いします」
さっきまで仲間を治療していた少女がいう。
歩くとしばらく、ヒマになったのかさっきお礼を言ってきた少年が話しかけてくる。
「名前、なんでいうんですか?俺はブラッドです」
苗字を名乗るか名前を名乗るかで少し迷ったが、
「悠二だ」
名前にしてみた。
「ユウジさん‥‥ユウジのアニキって呼んで良ばせてくだせぇ」
特に断る理由もないので、
「まあ、良いけど」
と返しておく。
「ところで、アニキはどうして森に?冒険者なのか?」
うぐっ、素直に異世界から召喚されました〜なんで言えれば楽だがそうしたら間違いなくヤバいやつ認定だ。異世界最初の知り合いをそんなことで失いたくはない。なので、ベタな嘘をつくことにした。
「迷った。ところで此処って何処?」
「迷った〜⁈」
うん、ベタな反応ありがとう。
「ここは、ラウルトの樹海の北の端、ユーグラミア王国の南だぜ‼︎」
「ラウルトの樹海は、ユーグラミアの他にもエーゼンハルト皇国やユートリッヒ連合国、リーズラント商国に面している樹海で、ってここは知ってますよね」
さっき気を失っていたカインという少年がブラッドの言葉を引き継ぐ。
「ちなみ僕達は、最近冒険者ギルドに登録したばかりなんですが、ブラッドが調子に乗ってゴブリンを追いかけ回して森を進んでいたら囲まれてしまい‥‥その後はユウジさんの知っての通りです」
「うっさいなー」
ブラッドが拗ねてる。
ポカリ
あっ、魔法使いっぽい娘に杖で叩かれた。
「うつさいなーじゃないわよ。私達もう少しで死にそうだったんだからね?」
叩いた少女はこっちを向くと、
「私は、フレイです。で、そこにいる回復職の娘は、ユーナです」
フレイが指差した方を見るとさっき同道を申し込んできた少女がペコリとお辞儀をしていた。取り敢えずよろしくとお辞儀を返す。
そうこうしているうちに、
「見えてきたぜ」
ブラッドの声につられ顔を上げるとまだ少し距離があるがどでかい城壁がある。道中で聞いた話では、魔物の侵攻が度々あり、それを防ぐために巨大な城壁ができたらしい。
「さぁ、宿まであと少しさっさと行こう‼︎」
フレイがズンズン前に進んでいく、
「あっ、まちやがれフレイ、リーダーの俺が先頭だ〜」
ブラッドも走って行く。
似たものどうし?
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