第5話

大学に着くと既に来ていた那月が大声で俺を呼ぶ

「おーいサキラ!こっちこっち」

声のした方に向かうと那月と一緒に千春と瑠輝がいた

「サキラくんおはよー!2人同じ講義受けてたんだね。全然気づかなかった」

笑いながら言う千春に挨拶をして那月の隣に座る

大学では高校までと違って同じ学部でも講義が違うと1日合わないなんて事もよくある。そんな中で瑠輝と同じ講義を取っていた事は運命だと思った


1限目の講義が終わったら3限目まで講義はなく時間があったから那月と売店に行った


「あのさ。ちょっと相談あるんだけど」

「なんだよ?何かあった?」那月が心配そうに見つめてくる。こいつ本当に良い奴だよな。


「いや、実は昨日カラオケ行った時から瑠輝ちゃんの事が頭から離れなくて」

「え!何お前、瑠輝ちゃん好きになったの?」

「…うん」

言葉にした途端、自分でもビックリするくらい心臓がドキドキした。俺の心臓このまま破裂するんじゃないかと本気で思った


そんな俺をニヤニヤしながら見ていた那月が不意に口を開いた

「なら告っちゃえば?」

なんとも簡単に言われた。それができれば、こんなに悩んでない


今までは付き合った相手に好きって伝えるなんて簡単だったのに。本気で恋をすると、たった2文字が言えなくなるんだと初めて知った



俺に本気の恋を教えてくれたのも、他人を愛する気持ちを教えてくれたのも全部瑠輝だった。

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