出会い
その日は早くに寝た。
ママンは意外にもスパルタだったので身体がついて行かなかった。
結局パパンには会えなかった。
忙しいそうだ。
また後日だな。
「お休みなさいませ。マスター」
「その挨拶はどうなの?」
そして明晰夢の中。
寝る前に魔力を限界まで使って気を失うように寝たが、魔力の増加にはこれが良いらしい。
星4の魔力増加が2つある現状だから成長に期待したい。
適応されるのが1つだけとかだったら悲しみだけど、ピエン。
「お昼寝のさいにご命令を頂きましたが、可能でございました」
「あ、本当に? 見せてもらって良い?」
「どうぞ」
俺はお昼寝した時にこの世界で勉強できるように授業で見た本を明晰夢内で読めるか検証を始めた。
結果は成功だ。
これで寝てる最中でも勉強ができる。
他にもいくつか分かったことがある。
【明晰夢ルール】
1、この世界で俺の体力や魔力が減ることはない。
2、現実世界で受けた俺のダメージはこの世界に反映されない。
3、経過時間を遅くも早くもできる。
などなど。
まぁ日々検証だな。
「マスター。時間加速は2倍でよろしかったでしょうか?」
「良いよ。どうして?」
「明晰夢内で16時間も過ごすことになりますが本当に良いのですか?」
「いろいろやりたいしね」
「かしこまりました」
てか、この子に名前を付けようかな?
「名前いる?」
「名前ですか? 私に?」
「うん。どうだろう」
「ありがたき幸せでございます」
土下座をするな!
「う~ん。スイミンってのはどう?」
「……」
あ、これは否定はしないけど嫌がってる時の反応か。
「ネムイ、ネタイ、シュウシン、レム、ノンレムなどなど」
「……」
これもお気に召さないか。
「何か提案はあるかな?」
「ポピーではダメでしょうか?」
ポピーか。
花の名前とは可愛いから良いね!
「よし、君の名前はポピーだ!」
「ありがとうございます」
さて、今日の勉強の復習をっと。
「マスター。勉強も構いませんが、剣術もしっかり復習いたしましょう」
「え? 身体を動かしても意味なんじゃない? 疲労もしないし」
「逆です。マスター」
逆とな?
「疲れずにずっと動けるなど最高の修行環境ではありませんか!」
「え? さすがにそれはやり過ぎなんじゃ……」
「私はマスターのお母さまの動きを模倣できますので一緒に頑張りましょう!」
「え? ちょっと! 待って! イヤ~~~!?」
ポピーはお母さまよりもスパルタだった。
そしてこんな生活が一月続くと面白いことが起こった。
《スキル【剣術】を獲得いたしました》
おぉ。
さすがにスパルタな生活を1ヵ月もしているとスキルも身に着くか。
【★剣術】
・剣を扱うさいに動作補正がかかる。
相変わらず簡単な説明だ。
星は一つのスキルか。
なるほど、星4のスキルが大当たりなのは間違いないようだ。
これだけ頑張ってやっと手にするスキルが星1ってことはこの世界で星4のスキルを6つ持つ俺は異質なのだろうな。
誰にも言えないな。
まぁ俺がおかしいってのはお母さまは薄々気が付いてるけどね。
「剣の成長が著しいわ。これが若さなのかしら?」
この前の稽古でそう言っていた。
俺的にはママンも十二分に若いのだけどね。
検証して確信したのは明晰夢が異常なスキルだいうことだ。
あのスキルはヤバい。
てかポピーがヤバい。
あいつ、ママンの動きをすぐさま模倣するのだ。
試しに本気で動いて欲しいとママンに言った事があったが、俺の目にはブレただけで動きが目に追えなかったのだが、ポピーはちゃっかり模倣していた。
あいつはおかしい。
そしていつの間にか明晰夢のレベルが五になっていた。
「マスター。明晰夢のレベルが上がったことにより更に私が強くなりました」
「お前はどこを目指してるんだ?」
良く分からない
他のスキルに変化はなく。
順調に成長してくれていると思っている。
魔力も毎日枯渇させている。
体感覚延長のスキルを連発させればあっと言う間に枯渇する。
燃費の悪いスキルではあるが、今の俺には都合が良い。
まぁこのスキルも凄く良いスキルなんだけどね。
【ステータス】
名前:ベルクリンデ・ルーファス・エルデール
スキル:
・【★★★★】健康体(Lv四)
・【★★★★】回復力増加(Lv六)
・【★★★★】魔力増加(Lv四)
・【★★★★】明晰夢(Lv五) 《+1》
・【★★★★】体感覚延長(Lv四)
・【★★★★】魔力増加(コピー)(Lv四)
・【★】剣術(Lv一) 《NEW》
何だろうな。
星4スキルの中に星1スキルがあると可哀そうに見えてくる。
安心しろ。
そのうち別のスキルが生まれるさ。
「魔力は体内にあり、それを感覚的に認識することができます」
魔法の授業が始まった。
俺がママンに魔法を教えて欲しいと言ったら目を輝かして教えてくれた。
そして俺に魔法の才能はあまりないらしい。
俺の才能は魔力量(予定)だ。
後は練習量でカバーだな。
生まれてくる妹たちに追い抜かれない為に兄ちゃんは頑張るぞ!
「まずは魔力の循環を。馴れたら放出を。更に馴れたら詠唱を唱えて魔法を放ちます」
これが難しい。
魔法の才能がないとまず躓くポイントがココらしい。
最初に躓かせるとかやめて欲しいね。
「魔力の循環は常に意識していれば問題ありません。放出は慣れれば抑えることに応用できます。詠唱は無意識に発することができるまで練習しましょう」
待って!
常に意識とか無理!!
慣れてもいないのに応用とか言われても出来ません!
無意識ってそれはもうただ病んでるだけでは!?
そんな訓練内容だ。
俺は午前中は座学をして午後は身体を動かすことが日常になっていた。
魔法は良く分かならいけど、ポピーがいろいろ教えてくれている。
「そろそろ訓練は別の人に代わってもらうわ」
ママンのお腹が大きくなってきた。
それによって身体を動かすことが禁止されたそうだ。
確か、爺さんが神官にも使えるって言ってたからママンにも使わっているのだろう。
才能豊かな娘が生まれるってことが。
凡才な俺の妹が天才だとはお兄ちゃんは嬉しいぞ。
そのせいもあってか少々過敏になってはいるんだろう。
「明日にでも会ってもらうわ」
「分かりました」
どんな人が来るか楽しみだ。
「この人があなたの先生よ」
「う、うむ。よろしく頼む」
「よろしくお願いします!」
少し緊張しているのかオドオドした感じの男性だった。
あれ? この人どっかで見たような?
まぁどっかですれ違ったのかな。
「彼は主に剣術を教えてくれるわ。魔法は私が教えるわ」
「分かりました」
なるほど、動くのは男の人に任せるのか。
「で、ではどの程度動けるか手合わせるか」
「はい!」
ボッコボコだった。
俺が。
「ふむ。基礎しか教えてはいないのか?」
「そうね。でもその子3才よ? 十分でしょ」
「これも若さか……。少し厳しくしてもかまわんな?」
「あの子の成長に合わせてあげてね?」
「もちろんだ」
俺のことを気遣えよ。
地面と抱擁してる状態だぞ。
「エルデール。来なさい」
「はい! お母さま」
おっと。
泥だらけだから突撃できないや。
「もう動けるのか。なるほど、面白い」
「お母さま。この人がイジメます!」
「な!? そ、そんなことはないぞ!」
「フフフ。それは大変ね。私が後で言っておくわ」
「いや、私はイジメてはいないわけで、何か言われることはないぞ。ク、クソ~」
そう言って走ってどっか行ってしまった。
逃げたな。
「お母さま。あの人がお父さまですか?」
「そうよ。よく気が付いたわね」
「お母さまが親しく話してたので」
「あら、そう見えたの?」
「えぇ」
フフと笑っているが、とても嬉しそうで母親の顔というより一人の女性としても顔になった。
愛し合ってんね!
あの人がパパンか。
確かに俺と初めて会話した時はめっちゃ緊張してたよな。
剣を打ち合ってく内に普通になっていったけど。
「あの人は子供は好きなんだけど、怖がられることも多くてね。そのせいで子供に近づかないのよ」
「面白い方ですね」
「フフフ。そうね」
そして魔法の授業になった。
やっぱり循環がキモのようだ。
「忘れていたけど、明日はある方と会ってもらうわ」
「ある方、ですか?」
「えぇ。会ってからのお楽しみよ」
イタズラを準備したかのような笑顔だ。
俺に何かするつもりなのかな?
まぁしょうがない。
驚きのリアクションを取るのも親孝行かな。
次の日。
時間にして10時頃だとは思う。
この世界時計無いし。
家の玄関に連れられ、ある馬車を出迎えた。
こういった出迎えは初めてだったからどんな人が来るか少々ビビッていた。
面子は俺とママン。
パパンは忙しいそうだ。
そして馬車から下りてきたのは一人の少女だった。
「お初に目にかかります。
「これはご丁寧に。ベルクリンデ王国、王妃デルセイアとこの子がエルデールよ」
これが位の高い人たちの挨拶か。
初めてみた。
二人が俺を見ている。
え? 俺も挨拶するの?
しょうがない。
見よう見真似でやってみるか。
「ご紹介に預かりました。私はベルクリンデ王国、長子エルデール・ルーファス・ベルクリンデです。本日はお会いでき嬉しく思います」
「フフフ。よくできました」
ママンが俺の頭を撫でる。
「王国の長子はしっかりしていると噂は聞いていましたが、まさかここまで聡明だとは……。失礼とは思いますが年齢を聞いてもよろしいでしょうか?」
はて?
俺って他の国でも噂になってるのかな?
まぁ王国の子供ってだけで他国はどんな子供かってのは知りたがるか。
こう言っちゃブーメランかもだけど、バカな息子が王座に着いたら国が危ういし最悪は戦争に発展する。
警戒とか含めて知っておきたいってことか。
「3才です。シャシャターナさま」
「まぁ! 私は7才ですので私のことはお姉ちゃんと呼んでくれたら嬉しく思いますわ! それに親しい者にはシャシャと呼ばれていますわ」
「はい! シャシャお姉さま!」
「可愛いですわ!」
ワシャワシャされる俺。
この可愛がり方って犬とか猫のようだな。
俺ってペット枠だった?
「あ、これは失礼いましました」
赤面して頭を下げるシャシャネータン。
可愛いやないか!
「良いのよ。この子が可愛いのはその通りだもの」
はい。
親バカ発現。
「そうですわね。エルデール様は可愛い弟です」
ペット枠ではなく弟枠だった。
そしてしらっと俺の姉を自称している。
「それでは屋敷を案内するわ」
「ありがとうございます」
新たに姉ができました。
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