第15話 尾行中

尾行中。


青白い顔をしていた彼女は、歩くたび人にぶつかったり、段差もないのに躓いて《つまづいて》見せたり、やはり様子がオカシイーー今のこの彼女なら、自殺をしてもおかしくない。


敦の直感は、基本的には当たらない。

だが、この彼女はもしかしたらーー第4の被害者になるかも知れない、と直感した。


「ーーちょっと、、君に聞きたい事があるんだけど?」


フラフラとしている彼女の横を歩きながら、敦は歩きながらそう切り出した。


ふとこちらを見て、彼女は足を止める。


「何ですか?」


ようやくこちらと目を合わせてくれた彼女がいった。


ポケットから写真を取り出すと、敦は彼女に見せる。


「この子、知らないかな?」


写真をよくよくみてから彼女が言う。


「ーーヒロ...ミ」


「ーー知ってるんだね?」


「はい」


「彼女に何か変わった事なかった?」


「あ、そーいえばよく耳打ちしてた言葉があったなぁーー何だっけ?」


「それはーー?」


彼女は宙を見ながら考えている様な素振りをしてから「うーん。ダメだ!思い出せない」と頭をふった。


「他に変わった様子はなかった?」


「なかったと思う」


「じゃ、この子たちを見た事はある?」


沢口望と西島佳子の顔写真を彼女に見せる。

その一瞬だけ彼女の顔に赤みが差して、勢いよく彼女の手は二枚の写真のうちの一枚を指差して言った。

彼女が指差した写真、そこに映ってるのは、西島佳子だ。


ーーあぁ、この子。


「ーーえ?知ってるの?」


「うん。確か、あれはーー??」


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