第4話 喫茶店

喫茶店の店内は薄暗く、仄かな灯りが店の雰囲気を洒落たモノに感じさせる。

今時珍しいが、店内でタバコも吸える喫茶店だ。


この店は白髪のヒョロリとしたマスターが、一人で運営している様だ。


適当な席に座り、ホットコーヒーを二つ頼んだ。


「それで、お前が見たってゆうのは、、?」


護が口火を切った。


「投身自殺だよ!女子高生の...あんなの見せられたらたまらないよ」


俺は涙腺が熱くなりそうになりながら、何とか涙を堪えるのに必死だった。


「それはいつ起こったんだ?」


「護が調べてくれた彼女のそれとほぼ同じ時刻なんだ。不思議じゃないか?」


「9月9日の午前11時って事かーー同じ頃、二人の人間が連続して、投身自殺か!ーーうーん。ありそうだけど...違和感もあるな」


9月9日ーー午前11時。

1.2分の差はあったかも知れないが、ほぼその時間だったと言う。


ジャーナリスト仲間の柏崎護かしわざきまもるが教えてくれた。


「自殺を図ったのは、神奈川県に住む西島佳子、同じく16歳ーー特に変わった様子もなく突然、電車に飛び込んだーー精神を病んでるとかそんな感じもなかったんだ。それなのにーーオカシイ。どうしても納得出来ないんだ」


柏崎護も、俺と同じ気持ちらしい。


「ーー俺、澤口望の自殺の瞬間を見ちまったんだ。お前が言った様に、特におかしな様子もなく、まるで何かに操られているように、澤口望は突然飛び込んだんだ。この事件を俺と一緒に調べないか?」


「ーー事件って、その二人以外にも自殺者がいるのか?」


柏崎護が不思議そうに言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る