大きな木 【ブラック童話】

 そのまちには おおきな がありました。


 はる、なつ、あき、ふゆ。


 いつでもそのには、たくさんのくだものが みのっています。


 まちでくらすひとたちは、このくだものを みんなでわけて しあわせにくらしていました。


 あるひ、まちのえらいひとが くだものをほかのまちにうって おかねもちになろうと かんがえました。


 えらいひとは、まちのひとがくだものを、かってにとらないようにおおきなかべでをかこんでしまいました。


 まちのひとたちは、くだものがたべられなくなって、とてもかなしくなりました。


 あるひ、やさしいまほうつかいが、そのまちにやってきました。

 まほうつかいは、まちのひとたちをかわいそうにおもい、たすけてあげることにしました。


 まほうつかいは えらいひとに「くだものをみんなにわけてください」と、おねがいしましたが、えらいひとは「いやだ」といいます。


 えらいひとはおかねもうけができるを、じぶんのものだけにしたかったのです。


 おこったまほうつかいは、えらい人の おでこに『じゅう』というすうじを かきました。


 すると、えらい人は大きな木になってしまいました。


 どうしてそうなったのでしょうか?

まほうつかいは『人』に『十』という、じをかきました。

 この2つのかんじを かさねてみてください。

 すると、『木』というかんじになりますよね。

 これが、まほうつかいのつかった、まほうのしょうたいでした。


 ––––そのまちには、大きな木がありました。

 はる、なつ、あき、ふゆ。


 いつでもその木には、たくさんのくだものが みのっています。


            おわり。

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